コミュ障吸血鬼、ルルの秘密(?)を知る


 僕がツンデレとかそういうのは一度置いておくとして、二人のテンションが異様に高いのはどういうことなんだろうか。

 まぁ、たぶん、怒った僕が自ら二人に会いに来たことが原因なんだろうけど……。


「……ねぇ……」

「なぁに、ティアナ、私に抱きつきたいの?」

「違う」

「即答!?」

「では、お姉様、私ですか?」

「違う」

「お姉様!?」


 ダメだこの二人……。

 話し掛けただけで、抱きついてきてという期待の目を向けてくる。

 それならこっちにだって考えはある。


「……やっぱり、部屋に戻る……」

「えっ!? な、なにがいけなかったの!?」

「待ってください、お姉様! 私が悪かったので、部屋に戻らないでください!」


 ルルは物分りがいいけど、アンナは完全にわかってない顔をしてる。


「……ルルは、アンナと違って、物分りがいいね……」

「それはそうです。私、これでも200年生きてますから!」

「……に、ひゃく、ねん……?」


 えっ、もしかしなくても、ルルって僕より歳上?

 そうとも知らず、僕はルルを歳下として扱ってたのか……。


「……ご、ごめん、なさい……」

「お姉様が謝ることはないんです! 見た目が幼いのは自覚していますし、私が勝手にお姉様とお呼びしていただけですから!」

「……でも、僕、生まれてきて、まだ二日……」

「関係ありませんよ。尊敬しているあなただからこそ、お姉様とお呼びしているのですから」


 その言葉に歳上の貫禄を感じ、本当にルルは歳上なのだと確信した。


「ですから、今まで通りに接してくださいね? してもらわないと、私がどう接して良いのかわからないので!」


 お願いしますぅ、と上目遣いで縋ってくる。

 200歳とはいえ、まだ子どもっぽいところはあるようだ。

 いや、今までのルルがそうだったんだから、当たり前か。


「……うん、そうする……」

「! はい! そうしてください!」


 そう言って嬉しそうに笑うルル。

 どことなく良い雰囲気になっていると、


「ちょっと! なんであなたが私よりもティアナと仲良くなるのよ!」


 と、アンナの抗議が割って入った。

 そういうところだよ、アンナ。


「あなたが変態だからでしょう? 少しは自重したらどう?」


 アンナに対しては歳上感を出していくスタイルなんだ……。

 いや、これも、今までもそうだった。

 ルルに核心を突かれたアンナが苦虫を噛み潰したような顔になる。

 それもある。

 でも、なによりアンナとあまり仲良くできないのは、アンナとのやり取りが精神的な疲れを要するものだから。

 あ、でも、それはアンナが変態だからか。

 うん、原因はルルが言った通り、アンナが変態だからだ。


「だ、だって、ティアナは可愛いし、可憐だし、儚いし、守ってあげたくなるから……」

「あなたが一番、お姉様に別の意味で危害を加えそうだけれどね」

「うっ……。そ、それは、ティアナが可愛すぎて、こう、胸の高鳴りが抑えられないというか……性的に襲い掛かりたくなるというか……」


 はい、アウト。

 というか、言い換えた後の方が酷いことってあるんだ……。


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