コミュ障吸血鬼、ツンデレ認定される
「えぇ!? そこまで!?」
と驚くアンナに頷いて答える。
だって本当にそう思ってるから。
アンナはその場に崩れ落ち、四つん這いになった。
「てぃ、ティアナに嫌われた……! もう生きていけない……」
地面を見つめながら壮大なことを言うアンナ。
「……見損なっただけで、嫌いになったわけじゃ……」
「本当に!? よかった……ティアナに嫌われたら、この場で自害しようかと思ったわ!」
僕の言葉を聞いて即座に立ち上がったアンナが僕の両肩をがっしり掴んで笑顔でそう言ってきた。
一瞬にして復活を遂げるアンナを見て、自然とため息が出て全身から力が抜ける感覚に陥った。
演技だったのかと疑いたくなるくらい、立ち直りが早かった。
やっぱり、アンナの相手をするのは一番精神的に疲れる。
でも――これだけははっきりと言える。
「……嫌いには、ならないよ……? アンナのお陰で、今の生活が、あるから……」
はっきりと言えるとはいえ恥ずかしかった僕は、アンナを見ないように顔を逸らす。
しばらく沈黙が流れた後、
「あわわわわわわわ……!」
アンナから聞いたこともない声が聞こえてきた。
それに驚いてアンナを見ると、涙ぐみながら口元を抑えていた。
「てぃ、ティアナがデレた! これが陛下の仰っていた〝ツンデレ〟なのね……! 確かに尊いわ!」
誰がツンデレだ、誰が。
デレたのは認めるけど、ツンツンはしてない……はず。
というか、ルネリア、そんなことまでアンナに吹き込んでたのか……。
今さらだけど、アンナの性癖の原因って、間違いなくルネリアだよね。
どういう経緯でアンナに
今度、少しお話する必要があるかもしれない。
その機会があるかはわからないけど。
ともかく、僕はツンデレじゃない。
「……僕、ツンデレじゃ、ないよ……?」
「なに言ってるの? 普段あれだけ私に対して冷たくあたってくるのをツンツンしてると言わずして、なんと言うの?」
うぐっ……言われてみれば、確かに。
「私の中ではもう、ティアナはツンデレ認定されてるから、なんと言われようと覆らないわよ?」
まぁ、僕もアンナのことドMの変態とか鬼畜外道とか思ってるし、一つくらいは許してあげよう。
それになにより、「確かに」って納得しちゃったし。
そう思っていると、「あの、お姉様?」と呼ぶ声に続き、右腕につんつんとされる感覚があった。
そちらを見ると、ルルが不思議そうな顔をしていた。
「……どうしたの……?」
「つんでれ、とはなんなのでしょうか?」
あぁ、うん。ルルは知らないよね。
「……ツンデレって言うのは……ツンツンした、敵対的な態度と、デレデレした好意的な態度の二面性のこと……かな」
確かそんな感じだったはず。
もっと他に意味があった気がするけど……まぁ、いいか。
「なるほど。つまり先ほどのお姉様のことですね、理解しました!」
う、うん、まぁ、その認識で間違いはないかな。
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