コミュ障吸血鬼、呆れる
「わ、私だって、真面目な会話くらいできるわよ……!」
どの口が言うのやら……。
「……僕の前だと、ずっと変態、だよね……」
「そ、それは、ティアナへの愛が溢れて仕方なくだから……! 決してわざとではないから!」
「……変態って、認めたね……?」
「ハッ!? しまった!?」
変態だと認めたことに狼狽するアンナ。
こっちはずっと前からわかりきってたことだから、やっと認めたかって感じしかしない。
「さて、アンナが変態だと認めたところで、話を変えたいと思うんだけど……」
「……待って……」
「ティアナさん? なにかあるの?」
「……アンナが、変態になったのは、女王のせい」
「えっ、ちょっと、ティアナさん? 何を言って……あと、私の名前、ルネリアだよ?」
あぁ、そう言えばそんな名前だった。
ずっと女王、女王、って思ってたから名前忘れてた。
「……女の子、同士が、イチャつくのは、普通って、言ったんでしょ?」
そのせいでアンナがこんなに変態になったのは確実だ。
「それは、だって……女の子同士がイチャイチャするのを見るの大好きなんだもん! 仕方ないじゃん!」
はい、逆ギレ入りました。
というか、その性癖でなんで前世の僕のことを好きになったのか……。
意味がわからない。
「でも、まさかティアナさんが佐山くんだったとは思わなかったから、今、なんだか複雑な気持ちだよ……」
そう言われても、僕じゃどうしようもない。
「アンナとティアナさんがイチャイチャするのは見てて興奮するんだけど、ティアナさんは私が好きだった佐山くんの生まれ変わりだと思うと……あぁ、もうっ! 私はどうしたらいいの!?」
知らないよ、そんなこと。
文句があるならゆるふわ神様に言ってほしい。
勝手に僕を女の子に転生させた張本人だから。
「ハッ! そっか! 元々、一夫多妻制だから、同性婚さえ合法にすれば私も
いいこと思いついたとばかりに言うルネリア。
ティアナと言ったはずなのに前世の名前に聞こえたのは気のせいだ。絶対に。
「あなたは世継ぎを産まなきゃいけないんですから、ちゃんと男性と結婚してください」
すかさずアンナがツッコミを入れる。
「わかってるよ、わかってるけど……そうだ! 同性婚に加えて重婚を合法にすれば……」
そう言って何事かをぶつぶつと呟くルネリア。
聞いても僕にはなにがなんだかわからない。
「はぁ……諦めの悪い人ですね……。そんなにティアナとイチャイチャしたいのなら、してもいいですよ」
「えっ!? 本当に!?」
アンナの言葉を聞いた瞬間、ルネリアは呟くのをやめて即座に反応を示した。
「まぁ、非常に不本意ですが……陛下には色々と恩もありますし、極端に言えばティアナを先に好きになったのは陛下ですので……」
アンナが折れた!?
「そんなめちゃくちゃイヤそうな顔をしながら言われても有り難みがないよ、アンナ」
えっ、そうなの?
気になってアンナの顔を見る。
うわっ、露骨に嫌そうな顔してる……!
「いえ、してませんよ。私は今、とても笑顔です」
「ならせめてひきつってもいいから笑ってよ。イヤそうな顔しかしてないから」
ルネリアの言う通り、全く笑ってない。
というか、さっきから僕の意思を全く無視してどんどん話が進んでくんだけど……。
それと、このやり取りは、いつまで続くんだろうか。
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