修理完了

 初期不良だった腕時計の修理が予定より一日早く終わり、無事に帰ってきた。


 クロネコヤマトが丁寧に運んできてくれたようで、60よりも少し小さめの箱は工場で組み立てられたままのような綺麗な状態で我が家に戻ってきた。


 配達荷物は受け取りが面倒なので、何でもかんでも置き配して下さい、とお願いして、ハンコを玄関に吊り下げてある。勝手なお願い通り、今回も同じ所に無事配達されていた。


 数十万円もするような時計だったらちょっとまずかったのかもしれなかったけれど、新品でもAmazonの新生活セールで一万数千円のものだから、そんなに気にする必要はない。


 修理の内容は、さすがに日本のサポート、丁寧な仕事だった。梱包もAmazonのバイトが適当に包んでいるものとは訳が違い、資材から梱包の方法、見せ方までが考えに考えられて、効率よく、美しく見えるように工夫されており、修理品を「いつまでも大切に使っていただければありがたいです」というメッセージが聞こえてきそうだった。


 具体的な修理の内容は、時計の心臓部分、ムーブメントを取り換えました、との記載だった。秒針が落ちてしまったのはやはりかなりの重症なのか、私が特にお願いはしてはいない「大至急おねがいします」とのメッセージが、受け付けセンターから現場の修理の人へ引き継がれていた。


 この時計を買う前に、メルカリで中古品を数個買ったのだが、やはりダントツでこの時計がいい。


 ビンテージのものも確かにいいのだが、若干遅れたりもするようで、やはり普段使いをするならオーバーホールが必要なのかなと感じていた。


 修理品と同封されていた説明書には、機械式の腕時計は何年かに一度のメンテナンス、オーバーホールをすることで、長く使うことができます、との説明があった。三年後、五年後の私がどうなっているのかはわからないけれど、時計が調子よくなって戻ってきたよろこびのようなものを感じてしまい、今からお願いしてみたいなという気持ちになっている。


 仕事中の今も、その腕時計は左の腕にはまっている。


 しかし、もう一方の右腕に、中国製の安いスマートウォッチもはめてしまっている。電話がかかってきた時に誰からかがわかるので便利なのと、正確な時間がわかるのと、暗い所でも時間がわかるなどの理由から、何故だか右腕にこいつがいる。


 まあ、なんでもいい。最近は車も面白くないし、服は買うと収納する所を考えなければならないし、あまりときめく物がなかったのだが、こんな小さな腕時計一つで幸せな気分になれるということがわかったのはよかった。


 私のことだからそのうちに飽きてしまうのかもしれないけれど、こいつと、残り多数の時計たちと一緒に残りの人生を一緒に過ごして行こうと思っている。


 

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