中古品

 別にやりたくてやっている訳でもない、ヤフーショッピングの申し込みが面倒だ。


 昨日も、あれやこれやの三つの違う部門からメールが来ていた。


 その中の一つに、【要ご返信】なるものがあったので見てみると、私が扱う商品は何だ?とか、金券類を扱うなら、この支払い方法はダメなので、そのように申請を直して下さい、とか、少しカチンとも来かねない、読み方によっては高圧的とも取れる感じのメールが来ていた。


 丁寧なのはいいのだが、丁寧すぎるのが逆に腹立たしくなってくる感じで、例えるなら、東京電力福島第一原子力発電所の事故の記者会見で、東京電力の偉い人が「ございます」を連発するような、そんなニュアンスが感じられるメールだった。


 申し込みのフォームに、販売予定の物は何ですか?という項目があったので、私は「中古品、骨董品」を選択した。これを選択すると、クレジット会社の決済が使えなくなる可能性があるとか、そんなことも言っていた。やらされている感の強い私にはそんなこと知る由もない。


 販売予定の具体的な商品名を教えて下さい、というので、


 こけし

 古いお椀、お皿

 ミニカー


 と、返信した。実際に販売するかもわからないし、販売するとしてもこれで生活する訳ではないので、あまり気合いが入らないのが現実だ。家にゴロゴロと転がっているこれらを販売しようと思い、書いた。


 メールを読んでから一瞬私もめらめらとしてしまったが、これは私の悪い癖なので冷静になり、割り込んでくる乗用車を入れてあげて、頭を下げて挨拶してくれる人の喜んでいる顔と、三回点滅したハザードランプを見ながら、心を落ち着けた。


 あとは、「表記の修正ありがとうございました。審査に入っていますのでお待ち下さい」というものや、「LINEの友達申請は、店の準備が完全に出来てからにして下さい。設定するべき項目を別メールでお送りしましたので、再度御確認下さい」とか、そんなメールだった。後のやつも高圧的で、かなり頭に来る内容だったが、我慢した。繰り返すが、私はやりたくてやっているわけではなく、ヤフオクストアに出品するのに、この手続きをしなければできなくなるので、やってくれ、と、ヤフーから言われたのでやっているのである。


 あまりやる気がないのに、窓口がいろいろとあって、それぞれが好き勝手な事を言ってくるので訳がわからない。


 一瞬、角の立つ発言を差し上げて放り出そうかとも思ったが、いろいろな決済方法が使えるらしいし、クロネコヤマトの新しい商品も使えるらしいので、これだけのために開店だけはしてみようと思っている。


 横の繋がりが感じられないのも、おそらくテレワークのなす仕業なのだろうな、と考えることで、怒りを出してしまうことなく、この問題も無事にやり過ごすことが出来た。


 確か1999年、私は自分のHPで「とびうおお試しセット」の販売をはじめた。


 フォームを作り、注文はこのフォームに入力して送信してもらった。料金は自分の口座へ、振込手数料お客さまご負担で振り込みしてもらう形を取った。代金引換以外、当時はこれしか方法がなかった。


 時代が変わり、今はあれやこれやの決済方法があり、日本を代表するような販売プラットフォームをとりあえずは無料で使わせてもらうことができるということなのでこんな風に取り組んでいるが、かつて自分で「とびうおのおすそ分け」を立ち上げた時の方が数百倍わくわくしていたように思う。


 こけしとお皿とミニカー。


 結果は自分でもうすでにわかっているのだけれどね。



 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る