乾燥

 かつて気仙沼に行った際、鮫のフカヒレが干してあり、思わず写真を撮った。


 とある地域では、大根を輪切りにし、寒い風にさらして乾燥させ、商品化している。


 凍み豆腐なんていう商品も同じだ。


 干し柿もある。


 そうそう、何を隠そう、私だってかつては「とびうお」をさばいて二枚に開き、塩水に浸けた後にちょっとだけ乾燥させ、お裾分けの商品としていた。塩加減がいいですね、とか、うまみが出ていますね、とか、そんな感想をいただいた事もあった。


 普通に干しているとハエがやってきてウジ虫の卵を産み付けてしまうので、ハエが入らないように専用の網を買ったり、ハエのいない船の上で干したりと、いろいろと考えながらやっていたものである。


 爆弾低気圧のせいで、こちら東北の東側海沿いに位置する我が家でも昨日はとても寒く、細かい雪が一日中舞っているような状況だった。


 先日作成したやきもののコーヒーカップを家の中に置いて乾燥させていたが、これを寒くて気温の低い今、外に出して乾燥させれば按配良く仕上がるのではないかと考え、屋根の下の雪が積もらない、凍っているメダカの隣に置いてみた。


 数時間経過して見てみると、やはり乾燥が進み、色が変わってきたのがわかった。ひっくり返して裏側も乾燥させようと、何度か位置を変えながら乾燥させている。


 畑の作物は、冬を越すことによりうまみ成分が出て美味しくなる。それに加えて、自然での乾燥。やきものだから美味しくなるってことはないけれど、しっかりと乾燥させることで水分が抜けて母材の粘土が引き締まり、焼いた時のひび割れなども防止できるだろう。


 乾燥させる前、以前オーダーして数回しか使っていない落款印を押し、写真を撮ってみたらここだけは売り物みたいになったけれど、全体を見ればやっぱり売れるレベルの物ではない。


 何度か作り込めば技術も向上するような気もするけれど、この母材は結構高いので、上手く出来たとしても商売にはならないだろう。


 でも、何か面白いものができないかなと、今でもちょっと考えている。


 一生をかけての宿題である。



 

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