飲酒
東京にいる同級生の仲良し男子三人組が、早速飲み会を開催した。
女子も含めて10人程のグループLINEに、楽しそうに飲んでいる写真の投稿があった。
微妙な空気は隠しきれない。
女子グループは静観、メッセージを返す者はいない。
「いぇーい、忘年会やろうぜ!」
既読は付くものの、やはり誰も返事をしない。
数自体は落ち着いているものの、やはり皆、実際に集まるとなると怖いのだろう。私なんか、東京に行くこと自体が怖くて、参加どころではない。もう5年も彼らとは会っていないので会って話をしたら面白いだろうなとは思うものの、それ以上に今の状況は深刻だ。
積極的に飲み会に出てくる奴は大抵同じ。自身の努力もあり、50代半ばともなれば、人生の中で最高峰の給料をもらっている者もいるように思う。大手企業は、やはり年功序列的な給料なのだろう。
同級生なのでそんなことは考えたくはないけれど、平日の夜にこうして飲みに出歩いている人たちは、生活のレベルが違う、違うところで生活している人なんだろうなと思ってしまう。
私なんか特に運転職だし、前の会社では翌日のアルコールチェックで引っかかったなら、「即刻クビ」という状況だったから、外に飲みに出かけるという事に対して、自分にできることではないと、今でも思ってしまっている。
そもそもの生活状況、生活の様式が違う。
私達地方都市の田舎生活者は、自家用車がなければ生活して行くことができない。一方で都会組は、便利に張り巡らされた交通機関を使えば、夜の12時過ぎまで飲んでいたって、家に帰ることができる。
本当に外に飲みに行くのが好きな奴は、こちらでも運転代行などを使って帰ってくるようだが、そこまでのお金と時間をかける価値を、私は飲酒に見いだすことができない。むしろ、時間の無駄、浪費、と考えてしまうクチだ。そんな時間があるなら、楽器の練習をしたり、自分の家での仕事をもっと頑張れないかと考えたりする時間に充てた方がいいなと考えてしまう。
屋久島での田舎暮らしの際には、地域や近所での飲み会がよくあった。先日も話した、元大物音楽プロデューサーの家などは、地域の焼酎好きの溜まり場になっていた。私も時々顔を出してはいたものの、心から愉しんでいたかと言われれば、それはかなり微妙であった。
そもそも父親が酒好きで、小さい頃から家で酒を飲んでくだを巻いている父親を見て育っているので、酒に関しての嫌悪感が半端ではないのだ。
ストレス解消や人生の目的の再確認、はたまた日本人特有の本音を語る場として飲みが大切なのはわかっている。だけど私は、例えいくら時間とお金に余裕ができたところで、積極的に飲みたいとは思わない。
割り勘で会計をする際も、いい気持ちではない。私のようなこんな奴はそもそも黙っていればいいのだが、楽しく酒を飲んで騒いでいる仲良し同級生三人組に対して、何らかの形で意見を述べたいという気持ちを、今回ばかりは抑えることができなかった。
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