パルスオキシメーター

 コロナ騒動になってから、パルスオキシメーターを買った。


 あれば便利だろうと思い、中国の通販サイトで見てみると、何と300円で売っていたので、1つ即買いした。


 数週間後、いつもの灰色のビニール袋に入って、商品は到着した。中の箱は相変わらず潰れていたが、商品は無事だった。


 早速在庫の単四電池を2つ挿入してスイッチを入れると、300円のその装置は見事に稼働し、私の心拍数と酸素の濃度とやらを表示しはじめた。


 ただ、同封されているストラップを通すのがかなり難しく、これは後回しになった。


 殆ど使うこともなく、私のいつもの場所に放り投げて、数週間が経過した。


 妻が先日、激しい動悸を発症し、時間外の外来を受診することになった。幸い何ともなかったようだが、このパルスオキシメーターの心拍数表示は、自分の心臓がどのような状態にあるのかを数字で確認する事ができるので、妻曰く、付けているととても安心するのだと言う。


 要望があったので、苦戦しながらもストラップを通し、これを妻専用とした。彼女は常に持ち歩き、職場にも持って行き、症状が出ているのかな、という時に装着して、数値を確認しているのだという。


 中国の通販では数限りなく、いろいろな物を買っているが、今回ほど妻に評判の良い商品は始めてだ。ということで、昨日自分用にともう一つ注文したところ、即日発送していただけた。届くまでにはそれなりに時間がかかるけれど、結構彼らもきちんとしてくれているので、私はそれを評価している。


「Amazonに同じの売ってるよ。1980円で売ってて、日本製って書いてあってレビューで叩かれてる。同じだよ、これ」


 妻が何やら某大手通販サイトをチェックしたようで、嬉しそうに私に言う。


 私も嘘はついていないけれど、同じような事をしかけていたので、あまり責めることはできない。でも嘘はいけないし、写真も中国通販の物をそのまま使っているのはどうもなという感じである。


 今や同じようにして、フリマサイトなどでは中国の商品が溢れかえっている。


 1500円粗利が取れたとして、10個売れても1万5千円の利益である。やり取りや梱包、発送などを考えれば、それ程おいしい商売ではないような気もするし、商品を発見してもすぐにライバルが出てくるしで、この転売ビジネスは足を洗って正解だったと思っている。


 妻は今日もパルスオキシメーターを持ってパートに出かけた。300円の道具で安心を買えるのなら、安いものだ。中国通販に感謝である。

 

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