板金

 愛車ランクルの修理が一段落ついた。


 まだまだではあるが、昨年車検時に検査員と約束した修理箇所に、何とかなりそうな目処がついた。


 左リヤと左のタイヤの上の部分がかなり錆びており、ここを次の車検までには何とかして下さい、と言われていた。


 私の車はランドクルーザーの通称ランクルヨンマルという車なのだが、一番はじめはドアの下の部分が錆びてきた。普通なら修理業者に頼む所だが、この先もこのように錆びてくるだろうということと、板金や塗装に少しだけ興味があったので、自分でやってみることにした。これがそもそもの始まりだ。


 今となっては通販で何でも手に入るようになったが、これを考えた15年前は、今ほど通販は発達していなかった。まず、材料の薄い鉄板を、どこで手に入れようかと考えた。


 鉄工所に行けば分けてもらえそうな気はしたが、小売りで素人にちょびっとだけ売ってくれるかどうかが心配だったし、商売の邪魔をしてしまいそうで申し訳ない気もして、これは最後の手ということに取っておいた。


 結局、オフィス家具のリサイクルをしているお店に高さ2メートル程のスチールの棚があり、これを分解してもらったものを使うことにした。


 一番始めに行った板金修理、両側のドアの下の部分には、このようなスチール家具の鉄板が使われている。


 塗装は、塗料を販売している業者さんのHPで勉強した。塗装がダマになったりしたが、自家用として使うレベルには差し支えなかった。スプレーガンは、プロの使うアネスト岩田という一流の会社の物を買って使ったが、私のスキルが道具のレベルに追いついていない感じがした。


 これが第一次板金で15年前。


 去年の車検の前に、右側の後ろと右側のタイヤの上を直した。これが第二次。


 そして今回が第三次で、去年の車検終了時からコツコツと準備を進めてきた。


 鉄板は、みがき鉄板というものがMonotaROで販売されていたので、厚さ0.8mmと1.0mmのものをそれぞれ二枚ずつ用意した。


 塗料は何とAmazonで売っていた。以前は廃盤ですね、といわれてしまった私のランクルのTOYOTAの532という黄色い塗料を、いとも簡単に手に入れることができた。


 切り出した鉄板は、本来なら溶接でボディーに貼り付けて仕上げる。この辺りが今回一番悩んだところで、この厚さの薄板溶接は、かなり技術を要する。第一次の際に電気の溶接機も買ったのだが、なかなか使いこなすことができなかった。


 今回、変圧器を買って電圧を上げ、何とか溶接してみようと試行錯誤を繰り返し、何とかなるんじゃないかとのレベルまで到達したので、作業に踏み切った。


 しかし実際には、錆びたボディーの部分をサンダーで切り落とすのが怖く、結局、古い鉄板は殆どそのままに、上から新しい鉄板をかぶせて、リベットで止めるという方法になった。


 真夏の炎天下の元、作業を開始したのだが、昼過ぎにドリルの刃が立て続けに折れてなくなったのと、リベットも足りなそうだったので、ホームセンターへ買いに行こうと作業を中止すると、ちょうどいい具合なのかどうか雨が降ってきた。


 屋外での整備は、このように雨が降ってしまうと辛い。


 ドリルの刃と、リベットの玉?をホームセンターで買って帰って来ると、雨がやんだので、作業を続けた。


 切り出した鉄板に穴をあけ、ボディーにも合わせて穴をあけ、リベットで貼り付けて、シーラーを塗って錆防止をして格好をつけた。本来ならパテでツラを出すのだろうが、パテを扱うと削った時に粉まみれになり面倒なので、シーラーにした。


 こんなもの、誰も興味を持たないだろうな、と思いながら写真を撮り、インスタグラムにアップすると、それなりに評判が良かったので、報われた気持ちになった。


 後は、左のフェンダーを同様に板金し、塗装をすれば出来上がりの予定だ。


 免許の返納まであと20年位、外装は何とかこれで大丈夫だろう。



 

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