猛暑は暑いだけじゃなくて

 猛暑が続いている。


 50年位前、東京の世田ヶ谷に住んでいた頃、今日は30度になるから気を付けよう、なんて言っていたのを覚えている。


 ほんの半世紀で、気温が5度も6度も上がってしまった。


 気の毒なのは、東北地方の豪雪地帯と呼ばれる地域だ。冬は毎日雪かきに追われ、やっとの思いで春がやってくる。梅雨の雨で作物は成長し、夏は暑いと言えども心地よく、穏やかに時間は流れていく、というのが普通のはずだった。


 しかし、秋田や山形、福島や岩手に至るまで、連日37度という猛暑が続いている。盆地だからというだけで、この気温は殺人的だ。私も配達に良く出かけた、岩手の一関あたりがこんな気温になるなど、始めて耳にする状況だ。


 当初、東京などは人口が多く、室外機などの装置によって空気が暖められてしまうので、気温が上がっているのだと思っていたが、この状況を見るとそうでもないようだ。


 雨の降り方も、変わってきている。ここ日本は間違いなく熱帯の気候になってしまった。


 この状況でオリンピックが開催される。死者が出なければいいけれど、と懸念している。暑さと湿度に慣れていない人には、かなり苦しい状況だ。体調を見ながら、積極的に試合放棄の提言をした方がいい。


 この先どうすればいいのかなんて、誰にもわからない。便利な生活を捨てることだと私がここで言ったところで、誰も戻りはしないし、聞いちゃくれない。


 災害への備えがあるに超したことはないが、一応の被災者から言わせてもらうなら、災害の当事者になってしまったら、何を備えていても苦しい状況になることには変わりはない。


 この猛暑が続いてしまえば、恐らく電力が逼迫する。


 オリンピックに忖度するあまり、全ての電力が使えなくなる事だってあり得る。


 家の電気が止まる。電車が止まる。コンビニが営業できない。スマホが機能しない。エレベーターが動かない。


 そんな事が今まさに起きてしまうかも知れない。


 突然来るものは、覚悟しておけば、少しは楽に感じられるだろう。



 便利な生活は、そう長くは続かないのだ。



 

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