おばちゃんのリモート
カミサンがリモート会議とやらに参加してきた。
パート先にはリモートの環境がないので、新しくできた支店に行き、あっちこっちから集まった、同じ仕事をしている同僚7人でリモート会議に参加することになった。県内のあと二カ所でも同時開催され、本部と現場三台のパソコンが繋がれ、会議が開催される。
内容は、慣れた仕事に、ネットがらみの面倒くさい大規模な変更があるとのことで、これの説明である。バイト運転手の私なんかには到底縁の無いリモート会議。カミサンはガラケーからスマホの切り替えは完璧だったが、パソコンが入ると途端に弱くなってしまう。果たして大丈夫だろうか。
「だめだめ、カクカクしてさ、テレビでやってるのと大違いだよ。テレビのリモートはへんてこだと思ってたけど、実はすごいんだね」
「画面がフリーズして動かないんだよ。音も出ないし最悪」
「普通のパソコンだよ。こんなちっちゃいの。わざわざ行くんだから、大きな画面があるのかと思ったら、いつも事務所で使ってるようなパソコンで、それにおばちゃん7人が見入っているんだけど、後ろの人は見えないし聞こえないし、やっぱりうちの会社はとんでもないね」
「他の人なんか、リモートなのにさ、紙に『音が聞こえません』とか文字書いて掲げてるんだよ。めちゃくちゃだよ。後から若い男の子が来てフォローしてたけど…」
「とにかく画面が固まって動かなくてさ、あれじゃぁリモートじゃないよね」
「それに、おばちゃん沢山集まっちゃったから、いつも誰かが何か喋ってて、やっぱりおばちゃんは面白いよ。男でも女でもなく、おばちゃんという人種だね、あれは」
など、帰るやいなや、息つく暇も無くの報告があり、状況が想像できた。
会社で使っているパソコンは、大量使用を前提に組まれているのだろうから、おそらくCPUもそれなりで、普段使いでくたびれている上にリモート会議をスムーズに行うまでの余力が残っていなかったのだろう。
会社もITなどではなく、地方のそれなりの中堅企業なので、テレビにリモートで出てくるような大企業とは、同じリモートでもちょっと違うようだ。
とどめはおばちゃんで、ただでさえ楽しいおばちゃんが7人も集まり、今まで経験したことのないリモート会議などを開催したらどうなってしまうのか、想像にたやすいところである。
場所的には、東日本大震災で被害を受け、皆様のご支援の元、お金をかけて再開発させていただいた所にあるので、回線はきちんとしたものが来ているはず。
よく考えてみれば、今の若者は、否応なしにリモートをこなさなければ生きていけないという状況になってしまっている。学業も就活もリモートが必須だ。
おばちゃんリモートの結果を鑑み、今の人たちの苦労と、このコロナ禍を生き抜いていく難しさを再確認した次第である。
それにしても、こんな私だって、かつての何とかで、パソコンには画面をもう一つ作って、作業をしやすくしている。この位は簡単に出来ますよ、と、教えて上げたくなってしまった。
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