車の修理工場
車を修理しようと自分で部品を手配し、取り付けをしようとしたら、ミスがあり、壊してしまった。金曜日夜の出来事である。
本来なら分解整備の資格のある人に頼みましょう、と言われているブレーキ関係の部品を、自己責任において、自分で修理しようとした。
しかし状況は深刻な事態になってしまった。タイヤが回らない。取り付けて走れば何とか回るけれど、加熱してしまう。これは明らかな異常だ。
ネットを検索したって、YouTubeを見たって、何が起こっているのか全くわからない。
これはプロに見てもらうしかない、と、本能的にわかってきたのだが、金曜日の夜に修理を完了し、土曜日はカミサンと近場へ用事を済ませに行く予定だったので、かなり慌てた。
近所迷惑を顧みず、意地で夜の11時過ぎまで格闘するも、どうにもならなかった。
幸いにも、歩いて行ける所に自動車修理工場がある。個人で営業しているけれど、きちんとしている、感じのいい工場だ。かつてユーザー車検に落ちてトラブルになってしまった時や、エアコンの調子が悪くなってしまった時などに駆け込んだ事がある。
土曜日は営業していたり休みだったりするので、調べてみると、第二と第四の土曜日がお休みだった。よかった、明日はやっているようなので、ここに持って行こうということにした。
寝る前に、これまた自分なりに調べてみると、もしかするとかなり高額な修理になってしまう可能性があった。純正部品が二万円、工賃が一万円位な感じで、タイヤは二つだから、これがx2。半額くらいの安い部品はあるけれど、手配しても間に合わない。仕方ないと諦めに近い気持ちになりながら眠りについた。
翌朝、早速お願いに上がった。社長も若いメカニックの方も感じよく私の話を聞いてくれ、朝の一服が終わると、朝一でブレーキをバラしてくれた。
やはりプロは違う。当たり前の事かもしれないけれど、車の整備のプロなので、きちんと環境が整っている。整備をするためのリフトがあり、道具があり、そして知識と経験がある。自分が夜の11時までかかってもできなかったことが、これならできるだろうという確信にも似たような感覚があった。
結論としては、私が部品を取り外しする際に、サイドブレーキを引いたままだったので、それが原因で調子が悪くなったのだろうとのことだった。確かにその通りだった。かなり強引に取り外ししたので、大丈夫かなとは思ったが、強引に取り外してしまったので壊れてしまったのだ。
メカニックの方は慣れた手つきで分解し、清掃し、再度組み付け、最後に調整してくれた。私がインチキな修正を施した箇所を、文句も言わずに、道具を上手に使って修正、修理してくれた。
この一連の作業を、私は目の前で見ていた。
無事に作業は終了し、社長から請求された金額を聞いてびっくりした。最低ラインの金額だったので申し訳なく、突然の修理で良くしてもらったのでもう少し払いますよ、と、私も本心から申し上げたものの、社長はそれを受け入れることはしなかった。
全てはブレーキの分解整備を甘く考えていた自分の責任だ。壊したって、何が壊れたのかもわからず、勝手に高額な修理を段取りしていた自分が情けなくなった。温厚で穏やかな社長と、その元で働くメカニックの技術に、私は救われた。
これと同じ事を今の時代、ディーラーの整備でやろうとすると大変だ。まず、予約を取らなければならない。予約は大抵の場合、すぐには取れない。土曜日なら数週間先になるかもしれない。
整備だって、目の前でやってくれる事はないし、順番があるだろうから、それなりに作業時間もかかるだろう。
今回、工場にお伺いして、一時間もせずに全てが終わって、家に帰ってくることができた。本当に助かった。
日本には、沢山の街の整備工場がある。多くはディーラーから安い仕事をもらいながら、何とか頑張っているなどと聞いたこともある。いろいろと事情はあるのかもしれないが、日本の街に根付いた自動車修理工場、これからも頑張って欲しいと思う。
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