発送しました
買い物で使う通販のプラットフォームは、Amazonや楽天、はたまた中国のAliexpressが多いが、ごく希にメルカリやヤフオクも利用する。
Amazonとメルカリは、以前、販売を生業としていた時には出品もしていたので、一応、売る側と買う側の何たるかを、そこそこは知っているつもりである。
メルカリは初期の頃だったので、配送方法は今ほど充実していなかった。次第に匿名配送なるものが出てきてはいたが、私の販売する商品にはマッチしないかなという思いで見過ごしていた。
最近気になることがあって、その事に関する詳しい本を探していた。いつもなら図書館に行くのだが、時節柄あまりよろしくないな、という思いにどうしてもなってしまう。
Amazonで新品を買うと、普通の本でも1500円位する。
家の近くにあったTSUTAYAは、数年前に潰れてしまった。
これが、メルカリだと、300円程度で買うことができる。しかもメルカリは、この手の書籍なら殆どが出品者送料負担、送料無料で。
更に驚いた事に、300円で買った本はスマホで決済され、匿名配送にて、トラッキング付きでポストに投函される。
メルカリはプロの方もいらっしゃるだろうけれど、家の不要品を処分したいという方の出品が多い事で知られている。でも、ボランティアではやらないだろう。送料込み300円で、追跡付きのらくらくメルカリ便で送って、損はしないのだろうか?
ちょっと調べてみて驚いた。システムは驚くほどの進化を遂げている。らくらくメルカリ便は、暑さ3cmまでの書籍なら、コンビニに持ち込み、匿名配送、追跡付きで全国一律175円で送ることができるとのこと。
私は今まで、自分の商品を買ってくれた人に対しては、きちんと身分を明かして、自分の住所を書くのが礼儀だと思っていた。しかし時代は変化している。
売り手としてなら、買ってくれた人に対しての対応も然りだ。
私はメルカリでも、購入者さんに対しては、お礼から始まるそれなりの文章を書いてきた。ヤフオクを黎明期から使っていたからかもしれないが、きちんとすることが礼儀だと思っている。この思いは今も変わらない。
「発送しました」
今回、書籍を購入した方から、購入者の私に対しては、ただ一言だった。
これが時代の流れなのかと思うと寂しい。
今の時代はSNSもあるので、名前を知られると検索されてしまう、というような事情があるのかもしれない。スマホで簡単に、を売りにしているからなのかもしれない。
かつてのヤフオクは、落札したなら、簡単なお礼文からはじまり、送料はいくらですよ、こちらへお振り込み下さいなど、振り込みの口座を教えてもらう支払いに関しての詳細までが記入されたメールが来て、そうしたらこちらから振り込んで、確認してもらった後に発送され、到着しました、はい、ありがとうございました、と、何通もメールのやり取りがあったものだ。
これが偉いとか、これが当然じゃないかとか、これじゃなきゃダメだ、というような、古い価値観を押しつけるつもりは甚だないけれど、ほんの10年位の間で簡単になったな、というのが、個人間取引のシステムを黎明期から知る私の実感なのである。
私は一応、ヤフオクにもプロでなければ開けない「ストア」を開店している。今は出品もせず開店休業である。その理由は、このような取引が面倒だから、というのも正直なところある。しかし根本には、きちんと身分を明かして、安心してお取引したいという、本能にも似た願いがある。
変な所できちんきちんとしすぎてしまうのが、私のいいところでもあり悪いところでもあるのだけれど、時代の流れに乗って、自分を少しだけ押し殺して、メルカリをやってみるのはどうだろう。
発送しました、でいいのなら、できるかもしれない。
でも、やっぱりやめておこう。
ちょっと違うのである。人間が古いのだろうな。
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