無駄な時間

 私は腹が弱い。


 50半ばにして、薬も飲んでいないし、酒も飲まないしタバコも吸わないし、カミサンの事があってからは更にストイックになり、毎日野菜ばかり食べているので、一応健康だと思う。会社の検診ではコレステロールと体脂肪で引っかかるが、これは遺伝的なものもあるし、今はかなり数値も良くなっているので、あまり気にしていない。自分では健康だと思っている。


 だけど、腹だけはダメだ。


 今の仕事は、大きな車を運転する仕事なので、途中で腹が痛くなることは避けなければならない。幸いにも、時間がきっちりと決まっている仕事なので、身体のリズムが取りやすくて助かっている。


 しかし、聞けば驚くと思う。


 私は腹の調整をするために、要するに便をきちんと出すために、出勤時間の三時間以上前に起きる。朝ご飯を食べたり、歯を磨いたり、風呂に入ってヒゲを剃ったり、最近ではメダカの世話をしたりするわけだが、この時間がもったいないと思うことが時々ある。


 カミサンはもう慣れているようだが、カミサンの仲のいい友人にこの事が知られたときには、かなり驚かれたようだ。しかし、今の仕事だと、うんこを出さなければ、一日を気分良く始めることができない。うんこを完全に出すまでには、起床後、三時間が必要なのだ。


 屋久島で漁師をしていた頃は、こんなんじゃなかった。屋久島のとびうお漁船団の中でも、私の乗っていた重丸という船にはトイレの便器がついていて、最先端を行っていた。


 しかし、ここでうんこをするのはそれなりに難しく恥ずかしく(ドアなどはなく便器だけなので、野外解放海に直行、究極のぽっとんトイレ)、慣れも必要で、船を操る親方に気を遣わせてしまったりもするので、できれば避けたかった。この頃は夜も忙しく、朝もギリギリまで寝ていたので、うんこは毎日出ず、時には一週間出ないなどの便秘になっていた。


 我が家の水道代は、結構高い。私の住んでいる市町村は下水代が高いので有名なこともあるが、私が朝、何度もトイレに行くのが、水道代高騰の原因なのはわかっている。大変申し訳ない。


 会社には節水型の大便器があり、かなり水の使用量が違うのが実感できるのだけれど、我が家のトイレを改修し、節水タイプに取り換える工事をする予算はない。


 一日三時間は勿体ないと思うけれど、仕方ない。


 CSのニュースをぼけっと見ているのも生産性がないので、今日から朝、勉強をする事にしてみた。パソコンを開くまでの時間的余裕はないので、インターネットの仕事を勉強した際に取ったノートを見直し、復習した。


 そうだ、答えは簡単だ。


 運転の仕事をしなくても済むように、インターネットのお仕事をしっかりとマスターすればいいのだ。


 とはいっても、同じ教材を手にしたところで、誰もが成功できる訳じゃないのは、経験上よくわかっている。


 毎日少しずつ、ということで、取り組んでいこう。


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