210

 本来なら東京オリンピックが開催されるはずだった今週末の連休。


 土日は私もカミサンも休みの予定で、どこかへ出かけようね、という話になっていた。


 昨日の昼にカミサンからLINEがあり、福島の二本松のバイパス沿いにビジネスホテルのルートインが22日に開業する予定で、開業記念でかなり安いので、そこに宿泊する予定でどこかへ行こうという事になった。


 結婚したての頃は結構出かけていたが、最近はお金と暇がなく、なかなか泊まりで出かけることができていなかった。今回久しぶりに、それも新築のホテルに泊まることができるということで、久しぶりに嬉しくなった。


 帰ったら一緒に予約しようね、という事だったのだが、どうもカミサンの様子がおかしい。眉間にシワを寄せて変な顔をしたり、ソファーに座ったまま動きが悪かったり、ついにはソファーで座ったまま寝てしまった。


 義父の介護で心労も重なっており、疲れているんだなと思い、私は声もかけずにそのままにしておいた。


 しばらくして起きたものの、やはり調子が悪いらしい。


「めまいがするんだ。ごめん、明日のお弁当作れない」


 かなり悪いようだ。


 カミサンは血圧計を持って二階に上がり、ベッドで寝た。



 朝起きての報告によると、やはり血圧が高く、上が210、下も138とかあるとのことだった。私と一緒で、殆ど風邪を引くこともなく、パートの仕事も皆勤のカミサンだったが、やはり更年期と義父の介護が重なり、かなり身体に負担がかかっているようだ。


 「今日、車運転できるようだったら、医者に行ってくるね。血圧の薬、飲むようになっちゃうのかも」


 日本の医療制度では、血圧の薬は一度飲み始めると、一生飲み続けなければならないみたいな風潮がある。カミサンもそれをわかっているようで、かなり寂しそうな顔をしていた。


 今朝は久しぶりにカミサンの作ってくれたお弁当がなかった。昨日寝るときに、明日はコンビニで何か買って食べて、と、1000円札を一枚もらったのだが、私はどうしても仕事のお昼はお弁当を作って持って行きたいので、意地になって自分で作って出てきた。


 ご飯をおにぎりに丸めるのが面倒なので、その辺のタッパーにご飯を入れ、梅干しを入れ、海苔を敷いて、醤油をかけて、ご飯が完成した。台所を見渡すと、ほていのやきとりの缶詰があったので、これをおかずにした。


 私はサラリーマン時代、車の借金が多く、苦肉の策で昼ご飯代を節約するために、弁当を作って持って行っていた。屋久島時代も同じだ。


 今回、カミサンが倒れてしまったことで、いつも作ってくれているお弁当の有り難さをあらためて感じると共に、これからお互いに、身体に気を付けて行かねばならないなと思った。


 もう若くはなく、自衛隊なら既に退職している歳になった。同じ歳のテレビ出演者を見ると、私達もこんな風に見えるのかと、驚くことも多くなった。


 健康第一、身体には気を付けて行こう。


 

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