ケチなコーヒー好きの顛末

 いつからか忘れたが、コーヒーをよく飲むようになった。


 屋久島に行く前、アウトドアなどをしていた時には、パーコレーターなどを買って、自分でお湯を沸かして、お気に入りの道具を揃え、コーヒーを淹れるのが至福の時であった。


 私のアウトドアのスタイルはいつも乗り物と一緒なので、荷物が多い。お湯はコールマンのツーバーナーをわざわざセットして沸かすこともあったし、シングルバーナーの時もあった。ご多分に漏れず、コールマンが好きだった。

 

 パーコレーターは上部から見えるお湯が段々とコーヒー色になっていくのが楽しみだが、バスケットと呼ばれる、コーヒー豆を入れる所が脂っこくなるので、これの掃除が面倒になり、やはり処理が簡単な、王道のペーパードリップへとシフトして行った。


 豆は、コーヒー豆を自分で買って、飲む直前に自分で挽くのがいい。


 20代の独身時代はそこそこ飲んでいた。屋久島時代は物価が高かったので、なかなか飲みたくても飲めなかった。結婚して運転の仕事をするようになってからは、インスタントのコーヒーを水筒に入れて持って行くようになった。そして50代の現在はというと…


 豆から抽出したブラックコーヒーは身体にいい、という情報を信じて、豆から挽いたものを毎日飲もうと思ったのだが、それなりの豆を買うと、かなり高くつく。そこで考えたのが、生豆からの自家焙煎である。


 そこで、いろいろと家庭用コーヒー豆を自家焙煎する機械を見てみたが、それなりの値段がするので、やはりどうしても手が出ない。


 考えたのが、銀杏を焙煎する手網を使い、コーヒーの生豆を焙煎する方法である。生豆の状態でコーヒー豆を買えばかなり安いし、焙煎の技術を覚えれば、味もコントロール出来て面白いんじゃないかと思い、銀杏の焙煎網を買ってみた。


 これが大正解。


 コーヒー豆は熱を加えていくと、爆ぜる。一度ではなく、二度爆ぜる。どのタイミングで火から下ろせばいいのか、どうすれば一番美味しくなるのかを自分なりに研究した。早く下ろしすぎて生臭いコーヒーになったり、火を入れすぎて炭になってしまい、コーヒーどころではなくなってしまったりと失敗を繰り返しながら、身体で覚えて行った。


 焙煎時に問題となるのが、においと煙とチャフ(爆ぜた豆のかす)。特にチャフは台所をかなり汚してしまうので、対策をしなければ夫婦間の亀裂の種となりかねない。当初は掃除機で吸い込んでいたが、掃除機の掃除が大変だとカミサンからクレームがあり、これはどうしたものかと思っていたのだが、生豆をあらかじめぬるま湯で洗い、チャフを減らすことで何とか解決。


 台所の警報器を鳴らしてしまう事も何度かあったが、これは、煙が一番出る時期を見極め、火力を調節することで何とかなっている。


 結果として、毎月定期的にかかってしまうコーヒー代を、かなり節約する事ができている。昨日はイオンに買い物に行き、100g 数百円で売られている豆を鑑賞して来た。


 今回、何度目かの生豆を注文したが、とあるメールオーダーで2kg入りを2180円で買うことができた。ポイントなどを使い、殆ど持ち出しはない感じで買うことができるので、とても助かっている。


 財布にも優しく、身体にもよく、これぞ一石二鳥である。

 


 

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