あじさい

 庭の紫陽花が満開だ。


 あじさいは庭のメインの場所ではなく、横っちょの通路にある。以前は何も感じることなく、ただただ邪魔だと思っており、強い剪定をして花を咲かなくしてしまったこともあった。ここを通るのは、主に週に一度やってくる、裏の灯油タンクへの納品の業者さんかもしれない。


 今、まさに、ピンクの綺麗な花を咲かせている。これらは写真を撮るととても綺麗に映り、インスタグラムなどに上げてみると、世界中の方々が見てくれる。面白い時代になったものだ。


 紫陽花は、土地の成分によって色が変化する。我が家はピンク色なので、今年始めて高校時代の同級生の女子が、インスタグラムで「かわいいですね」と言ってくれた。そうか、これもかわいいのか、と、今年はかなり熱を入れて、我が家のあじさいを応援している。その女子は、かつては女優か芸能人かと言わんばかりの美女であった。今でもかなり綺麗だ。現役時代は殆ど喋ることなどなかったが、歳を取ると不思議なもので、お互い動物好きなことなどもあって、よく喋るようになった。


 我が家の庭は四季折々、いろいろな花が咲いたり、新緑が出てきたりで、とても綺麗である。でも、これもきちんと手入れをしなければ、楽しむことができない。これからは蚊が物凄いし、紫外線や熱中症のリスクも背負いながら、とにかく喜んでくれる人の顔を想像して、手入れに励んでいる。


 東京の実家の団地にも緑があり、これもかなり綺麗だ。でも、やはり、一戸建ての庭に展開する、庭師が造った昔ながらの日本庭園はひと味もふた味も違う。


 めだかのビオトープの石や、アクアリウム用の石、盆栽用の石など、その気になって買おうと思うととんでもない値段がする。そのまた昔、社会問題にもなってしまったが、四輪駆動車で富士山を走り回っていた時期があった。溶岩石の上などをよく走ったものだが、これなどもビックリ価格で販売されている。また、我が家に当たり前に存在する紫陽花の苗木を、この前ホームセンターへ行ったときに見てみたら、これも結構なお値段がした。実は我が家の庭には、結構なお金がかかっているのであった。


 屋久島時代は、漁師の仕事と、とびうおの発送と、日記の執筆に一生懸命で、すぐそこにあった土や緑などには殆ど興味がなかった。あそこで緑に目覚めてしまったら、大変だったろう。島を離れて以来一度も行っていないけれど、何とまあ、グーグル神のお力添えがあり、私の所有する土地をインターネットで見ることができるようになった。かろうじて20フィートの日本郵船 NYK Lineリーファーコンテナは確認できるが、そこはかつての面影など微塵も垣間見ることできない、ただのジャングルとなっている。行っても草刈りに何日もかかりそうだから、行かないだろうな。二軒お隣のFさん、ごめんなさい。



 

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