コーヒー

 酒もタバコもやらないけれど、コーヒーだけは飲む。


 オヤジが呑兵衛で、いつも家族を困らせていたので、酒自体が嫌いになった。それなのに、高校の文化祭の打ち上げではじめて酒を飲んでしまったら(違反) 気分が良くなって、座敷の机の上に正座し、割り箸入れの割り箸を全て抜いて、その中にゲロをした。申し訳ないが、電車で吐いてしまった事もあるし、タクシーの中ではさすがにまずいと思ったのか、停めてもらってその辺で吐いてしまったこともある。酒を美味しいと思ったことはなく、ただただその場の雰囲気で飲む。飲むとよくしゃべり、King Gnuの井口のような感じになる。


 カミサンは私と結婚してもしばらくの間はタバコを吸っていた。屋久島でカシータ、キャンピングカーの中で猫と生活していた時には、白い猫の頭がヤニで黄色くなった。この時カミサンはまだ犬派を気取っていたので、私が飼い始めた猫とはあまり親密ではなかった。キャンピングカーの外で、私が放り投げて腐った「たんかん」に屋久ザルがやってきて、目玉をひんむきながら食べている光景を猫と共有し、それ以来猫と親密になった。


 1年前、東京の実家に帰った際、カミサンとオヤジは二人で酒を飲んだ。カミサンは義父が要介護なのに自分勝手極まりないのでストレスを溜めており、そのはけ口を求めていた。私は同級生の奥さんが亡くなったので、その間車で、線香を上げにモノレールの某駅近くまで行った。35年前には渋滞して車で渡るのに30分以上かかったあの悪名高き日野橋が豪雨で壊れており、ちょっと戸惑いながらも到着し、お線香を上げたついでに世間話をして帰ってきても、まだ二人は飲んでいた。


 その量と内容はすさまじかった。


 ビール、日本酒、ハイボール、などなどをぐるぐるのちゃんぽんで、軽く数えたところでも、二人で6リットル以上飲んでいる。オヤジはもう年だからあまり飲めないなどと言っていたが、本気を出すとやはりとんでもない。カミサンもかなりストレスが溜まっていたのだろう。


 翌日、オヤジはケロッとしていたが、カミサンは今まで経験したことのない二日酔いに悩んでいた。飲みながらも何度か吐いたようで、こんなのは初めてだと言っていた。酒の強いカッコつけ女を気取っていたカミサンおばちゃんでも、85になろうかというオヤジには敵わなかった。何でこんな人たちが私の周りにいるのか、何で私が酒飲みではないのか、全くもってよくわからない。


 マツキヨの東寺方店に、二日酔いに効く薬を買いに行った。気持ち悪い、吐きそう、などと言いながら店内を物色していたので、私が店長に声をかけ、薬を選んでもらった。さすがプロ、店長はカミサンの状況を詳しくヒアリングし、最適な薬を選んでくれた。マツキヨ大好きなカミサンは調子に乗って、もう一つ胃腸薬を買おうとすると、「それはやめておきましょうか」と、やわらかに制止してくれた。この店長は目先の売上げに目が眩むことなく、当事者の立場に立って考えてくれるいい人だ。


 カミサンは、少し暑くなってくると少しだけ缶に入ったアルコールを飲むが、常習性はない。タバコも大幅値上げを控えたある日を境に、一発で辞めた。たいしたものだ。


 

 繰り返しで恐縮だが、私は全く飲まないしタバコももちろん吸わない。コーヒーだけ飲むが、これも最近では生豆を買い、自分で銀杏焙煎用の網を使って焙煎して飲んでいる。


 焙煎は、なるべくチャフ、豆のかすが出ないように、あらかじめお湯で何度か洗い、煙や匂いも最低限となるよう、時間と方法を考えながらやっている。聞くところによれば、ブラックのコーヒーは身体にいいとの研究もあるので、自然の薬ということで、これは続けさせてもらおう。


 今まで半年に一度は親の顔を見に言っていたが、この状況でそれも敵わない。元気で頑張ってくれればいいのだが。


 コーヒーについて書くつもりが、いつもの通り、指定のキーワードからはなはだしく逸脱し、収集がつかなくなった。グーグルはキーワードに即した、いわば図書館の中にある本のような、濃い内容の、読みやすくためになり、読者の役に立つ文章を求めているようだが、私はケツをまくってこちらに鞍替えしたので、もうどうでもいいや。


 今日もお読みいただき、ありがとうございます。



 

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