高揚

 昼休み、トラックの中でメールをチェックする。


 新車で買って15年以上乗っているトヨタのカルディナという車が車検を控えている。10万キロも走ったからか、要整備箇所が見受けられる。普通の人が普通に行うように、修理屋さんに頼めばいいのだろうが、私は普通じゃない。「車検をお願いします」と言ってしまうならばとんでもない出費になると思われたので、今回自分で全てを修理するべく、昨日MonotaROで部品や工具を調達した。


 前置きが長くなったが、そんなこんなで、工具やら部品やらのオーダー確認メールが3通ほど来ていた。今はLINEの時代のようだが、時々こうやってメールをチェックするのは、昔からの習性である。時々、アフィリエイト関連で未確定成果が発生したとか、儲かる系のお話もあるのだが、最近ではめっきり少なくなってきた。


 あまり見かけない「カクヨム」から、メールが来ていた。「新しい応援コメントが1件あります」との表題だ。カクヨムは少し前に登録し、いくつかの文章を投稿した記憶がある。何を書いたのだか、自分のペンネームさえも正直よく覚えていないので、早くお昼のおにぎりを食べようと思いながら、メールを見た。


 開いてみてびっくりした。


 法律云々あるかもだが、引用させていただくと、


”屋久島時代からファンでした。忘れられずに検索してたら最近発見しました。楽しみにしてます。”とのこと。


 20数年前の私の読者さんが、未だに私の事を覚えていて下さり、「あの人はどうしているかな」と、忘れられずに検索し、こちらにたどり着いて下さったと言うのだ。


 久しぶりに味わう、心の高揚だ。ありがたい。ありがとうございます。


 今は本名も出していないし、やる気も昔ほどではないけれど、私のプロフィールや、やって来た事は、今の時代でも少しは価値があるのかな、と、そんなことを考えながら自己紹介をつらつらと書いたのだった。今更ながらに読み直してみてそう思った。


 私はなんと、読者の方の心の中に20年以上とどまり続けることができたばかりではなく、検索され、コメントをいただき、誰もがそう簡単に味わうことはできないだろう、心の高揚を味わうことができている。


 打たれるのには弱いので、今のSNS時代にはおとなしくしているが、今回のような人と人とのつながりは、自信を持っていいだろう。


 早々に返信差し上げようと思うも、何やら使い勝手がよくわからず、お返事できずに申し訳なく思っている。こちらがお返事ということで、ご容赦いただければ幸いであります。


 トラックには毎日、ヨドバシ.comの60回払いで買った、現行型ポメラを持ち込んでいる。かつてワードプレスのブログを書いていた時期もあったのだが、どうにも自分の立ち位置や、やっている事への価値を見いだせずに、自然消滅してしまった。これを機会に、また少しだけ頑張ってみようと思っている。しかし、自衛隊にいたとするなら既に定年を迎えるような歳になっているので、続くかどうかはわからない。


 人と人とは、例え離れていようとも、月日が経とうとも、心で繋がっている。


 その力は、何物にも代えがたい。


 本当にありがとう。



 

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