4-5 競泳用水着の破壊力w
例のアンデッド窪地を抜けてから、俺達パーティーは「サボるな」と社長に釘を差されずにすみそうなギリギリ最低限の距離を、毎日進んでいた。この寸止めテクニックを見よ!
だったんだが、水着を入手した途端、俺の中でなにかのモチベーションが目覚めたw
雑魚モンスターを蹴散らしながら一直線に猛進し、二日目には湖のほとりまで到着した。しかもちゃんと昼前だよお母ちゃん。
「さて、昼飯も食い終わったし」
俺は切り出した。今日に限ってもの凄い速度で弁当食いまくったんで、レナが怪訝な顔をしている。
「レナ、汗かいただろ」
「いや、ボクは別に」
「かいたんだよ、お前は」
決めつける。
「もちろん吉野さんもタマも汗まみれだ。おう、そうだ。ちょうどいいものがある。吉野さん、例のものを」
「あれ出すの、やっぱり」
「当然じゃないですか。水着回ですよ」
「水着回?」
「いえこっちの話で」
吉野さんは、こないだ買ったアウトドアウエアを着ている。なんかふんわかした雰囲気のある人だから、いいとこのお嬢様が山ガール化したみたいに見える。ヒーリングポーションやエンチャントポーション、薬草、毒薬から火炎弾などまで詰めた、無骨なハンティングベストを除けばだけど。
背負ったバックパックから、吉野さんは小分けの荷物を取り出した。
「い、一応持ってきてはいたんだ。すぐ湖に着きそうだったし、平くんの命令だったから」
「よし。タマ、お前にはこれだ」
「なんだ。マタタビでも入ってるのか」
怪訝そうな表情のタマは、中身を見て絶句した。
「お前……これは」
取り出している。紐を引っ張ると、その先に、三角旗のような布がついている。まるで手品の旗出しだな。
タマの水着は、特に布面積の少ないトライアングルビキニにしたんだ。なんせ獣人の体つきがどうなってるか、興味あったからさ。
「ここで沐浴しようというわけか」
「話が早いな。さすが知恵の回るケットシーだ」
わけのわからない褒め方になったが、まあいいや。
「お前、早口になってるぞ」
「そんなことはない。早く着てみせろ」
「見せろ?」
「あっいや、そういう意味じゃなくて」
それから怒涛の説得タイムがあったんだが、略。そんなの聞きたくないだろ。とにかく十分後には、タマも吉野さんも水着姿にひんむいた。レナにはドール衣装の水着を買ってあったから、それで。
「うん。まあ動きやすくはあるな。防御面に気を使わなくてすむ雑魚地帯では、むしろこの服が戦闘向けかもしれない」
水着を着たまま、タマは回し蹴りなどしてみている。
いやタマ、服の上から想像してたとおり、なかなかの体。筋肉質で腹なんかぴしっと一本腹筋の筋が浮いてるくらいなのに、胸はしっかりあるし。
褐色の肌に白と黄色のビキニが映えている。くそっいい女だ。
さすが獣人というか、頭から首、背骨の周囲から尻尾にかけてと、背中方面だけ、柔らかそうな
……撫でてみるか。
「はにゃーっ!」
跳び上がったな。
「殺すぞ、ボスのボス」
「いやすまん。手が滑った」
もふもふ最高だったが、二度としないほうがいいな。凄い目つきで睨まれたし。死にたくはないw
「あ、あの……平くん」
消え入りそうな声は、もちろん吉野さんだ。吉野さんにはあえて露出の少ない、紺無地の競泳用ワンピースを買ってもらった。スタイルのいい人には、ワンピースのが似合うしな(水着を買うという野望を持ってから、即席で調べたw)
いやこれたまらんな。ネイビーだから、飛び抜けて色白な肌が強調されるし。肌もきめ細かくてシミとか一切ない。
タマと違って、適度に肉の着いた柔らかそうなボディーがそそる。触り心地も良さそうだし、抱いたら天国の抱き枕って感じだろう。
なんせガチの競泳用を選んだからさ、実はあれこれ微妙に透けている。もちろん最初から、それが目的だ。恥ずかしそうに手で隠す仕草が、これまた……。
「ご主人様、ボクは?」
タマと吉野さんに見とれていたら、レナにどつかれた。
「ああ、お前もかわいいよ」
「ホント?」
「もちろんさ」
嘘ではない。小さいなりにスタイルはいいし。ひらひらレース付きのフェミニンな水着を着た「生きているドール」が動くんだから、かわいいに決まってる。
ただレナはサキュバスとしてのちょいエロ衣装も裸も見慣れてるんで、新鮮さがないだけで。純粋に水着姿だけ取り出せば、かなりのレベルだ。
「さて、みんな水に漬かって。そうそう。水棲モンスターはいないって話だけど、念のため腰の深さまでだぞ。そこでしゃがんで水着を濡らして。……そうそう。はい、立ち上がって」
膝くらいの深さの場所。立ち上がると、吉野さんは俺のほうを向いた。頬が少し赤らんでいて、恥ずかしそうに猫背になっている。
「モデルみたいに胸張ってみようか」
なんかキモい映画監督みたいになってるな、俺。
吉野さんは、胸を張ってみせた。両手で胸と下半身を隠しながら。
「ダメダメ、手で隠さないで」
「は、はい。平くん。ボ、ボスが……望む……なら」
手を外した。斜めに顔をそらし、恥ずかしそうに水面を見つめている。それでも言いつけどおり、けなげに胸を張って。
「うん……そう。おうふっ!」
濡れた競泳水着の破壊力、なめてたわ。当分、妄想のネタには困らないな。
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