ラストマッスル

〈ラストマッスル〉 ブロッコリー農園、筋肉よ永遠に

「じゃあな、バカ……」


 私は、とある人物が眠る墓に向かって手を合わせる。ウザかったけど、いなくなれば案外寂しいものだ。


 色々あった。


 ここ数ヶ月で、私の生活はすっかり変わった。デジルに出会い、これまで退屈だった私の人生に花が咲いた。筋肉は裏切らない事を知った。


 だけど、数週間前、働いていたプロテイン工場をクビになった。デジル達といたせいで、無断欠勤が続いてしまったからだ。


 更にそんな矢先、無江警部バカが突然この世を去った。新作のポケモンをやり過ぎて、その過労が突然死を招いたのだ。


「私の知り合いのブロッコリー農園で働いてみませんか? がぶっ!」


 無江警部バカの葬式やらが終わった後だった。突然、風炉島さんが声をかけてくれた。


 もちろん仕事を失っている私は、迷わず承諾した。


 ブロッコリーに愛を込め育て、そして、皆様の食卓へと運ぶ、実に遣り甲斐のある仕事だ。それに加え、そこのブロッコリー農園では、朝と夕方に、全世界のブロッコリー教に向けてのツイートをするのが決まりとなっている。SNSを通じて繋がるブロッコリーの輪。


 人生の新たなスタートだ。


 不安は何一つ無い。


 筋肉がある限り、私は前に進む。





 ー 完結 ー

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る