〈マッスル42〉 あぶみ骨筋
これは、
やはりデジルの予想通り、さくモンは、麻酔針でおウタを眠らせ、そして、おっぱい堂に吊るした。遺体が見つかる前の日の夜、ギシギシと音が聞こえていたが、正にそれが、おウタの遺体を吊るしている時のロープと金属の擦れる音だったのだ。
おっぱい堂のマイクがその音を拾い、おっぱい宿舎まで届いていたのだった。たまたまツユウさんが、マイクの電源を切り忘れていたのだ。
ロープからも、さくモンが飲んでいるプロテインの粉が付着しているのが発見されたり、確かな証拠が複数見つかった。
さくモンは、殺人と、男でありながら14歳美少女と自ら名乗る詐欺罪の疑いで無期懲役。
陸様は、殺人への直接関与は無かったものの、おっぱい費など怪しいお金を動かしていた罪に問われた。しかし、おっぱいは正義なので、執行猶予付きの判決になったらしい。
「デジル、ごめんね……」
「何を謝っているんだい、萌ちゃん?」
あの日から数ヶ月が経った。
マッスルタワーにて。
「私がおっぱい教になってしまって、筋肉を裏切ってしまったから……。いつか、ちゃんと謝らないといけないと思って……」
「何だい? そんなあぶみ骨筋みたいな事を気にしていたのかい?」
あぶみ骨筋。
それは、人体で最も小さい筋肉の名前。つまりデジルは、小さい事は気にするなと私に伝えたいのだ。
「逸れた道が正解か不正解なんて、実際に逸れてみないと分からないんだ。大事なのは、そこで不正解だと気付ける腹直……いや、直感力。そして、間違えを許してくれる仲間の存在だ。萌ちゃん、キミは十分恵まれている! これからも、好きな事をすればいい! 筋肉がある限り、ボクらは何処へでも歩いて行けるのさ……!」
そう。だから筋肉は素晴らしい。私達がこうして生きていけるのは、全て筋肉のお陰なのだ。
私は、死ぬまで筋肉と共に生きよう。
最終章 おっぱい殺人事件
ー 完結 ー
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