〈おっぱい39〉 ブロッコリー、散る

 デジルは、陸様の一言により捕まった。さくモンに押さえつけられ、抵抗する事なく、あっさり何処かへと連れて行かれる。


「ハッハッハ! ボクの迂闊な推理だったよ! 萌ちゃん、あとは頼む……!」


 デジルは、おっぱい堂を去る際、最後にそう言い残した。


 私にどうしろって言うの!?


 そもそも、本当にデジルが言うように、おウタは殺されたのかな?


「あの人は、僕達と昨夜からずっと一緒にいたんだよ! 犯人な訳がない……! あと、無江警部をどこにやったの!?」


 亜房先生が、今にも骨折しそうな声で叫ぶ。


「彼が犯人はあり得ません。ブロッコリー神に誓います! がぶっ!」


 風炉島さんも、ブロッコリーを齧りながらデジルを庇う。


「おっぱい神を信じぬ者共に、未来はありません……。未来は常に、おっぱいと共に……! おっぱぁぁぁい!!!!」


 再び陸様は、両手を天高く掲げる。やっぱり、尊過ぎるよ。


「村人達よ。この二人もおっぱい神を脅かす悪だ……! ブロッコリー神、そして、その隣の細い青年には、ポッキーの神が宿っている! 今すぐ生け捕りにするのじゃ! おっぱぁぁぁい!!!!」


 陸様の号令と共に、「おっぱぁぁぁい!!!!」と、おっぱい堂に野次馬で集まっていた村人たちが、風炉島さんと、亜房先生を取り囲む。


「ぐあっ!?」


 亜房先生は、周囲に大勢の人々が集まった風圧で骨折したのか、地面へと倒れる。一方の風炉島さんは、両手にブロッコリーを構え、戦う姿勢を見せている。


「風炉島さん、危ないから抵抗しないで!」


 亜房先生みたいに怪我したら大変だ。


「ここで引いたら、ブロッコリー神に笑われます……。がぶっ!」


 風炉島さんは、両手を前に突き出す。


「喰らえっ! ブロッコリーフラッシュ!」


 なんと、ブロッコリーの先端から、無数の小さいブロッコリーが放たれた。村人達は、悲鳴を上げながら逃げ回る。


 風炉島さん、むっちゃ強いじゃん!


 しかし、その時……。


 おっぱい堂に銃声が響き渡った。


「調子に乗るなよ? ブロッコリー野郎……」


 なんと、さくモンが戻ってきたのだ。彼の手には、拳銃が握られていた。


 宙には、ブロッコリーの蕾が沢山舞い、そして、ブロッコリーと共に風炉島さんは倒れる。


「おっぱいへの想いが足りなかったようですね。私が直接手を下す必要もありませんでしたか……。おっぱいは、必ず勝つ……! おっぱぁぁぁい!!!!」


 え、ヤバイよ、コレ!


 風炉島さん、撃たれた!?


 普通じゃないって……!


 さすがにヤバイよ。


 誰か……助けて……!


 こんなおっぱい教は嫌だ……!

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