〈おっぱい34〉 夢ならばどれほどよかったでしょう

 おっぱい堂には、私と陸様、そして、自称14歳美少女のおっさんであるさくモンの3人だけとなった。さくモンは、陸様の背後にひっそりと隠れていやがった。


 せっかく、陸様と二人きりになれたと思ったのに非常に残念だ。


 ちなみに、さっき無江警部バカを連れて行った、おウタと言う人はまだ戻って来ていない。


「早速ですが、あなたの名前を教えてくださいますか?」


「尊田 萌っていいます」


「萌ちゃんですね。可愛い名前です」


「陸様、ありがとうございます! おっぱぁぁぁい!!!!」


 私は今、幸せだ。


「あなたはこれから、おっぱい神に認められる為に、このおっぱい村にて、厳しい修行に耐えなければなりません。その覚悟はございますか?」


「ぱい! もちろんです!」


「よろしい……。きっと、あなたなら大丈夫でしょう。先ずは、あなたの声を歌にし、おっぱい神に届けなければなりません。さくモン……歌詞カードを萌さんに」


「ぱい……」


 さくモンが、私に一枚の紙切れを差し出した。


『Oppain』と書かれている。


「これが、おっぱい教の聖歌です。米津玄師の名曲、Lemonのメロディに合わせて歌ってください……」


 おお……! 素晴らしい!


 そうだ。切り分けた果実レモンの片方に似た形をしたおっぱいも、存在したっておかしい話ではない。


「では参ります……。せーの……」


「夢なーらばどーれほど良かったでしょー

 未だーにあなたーの胸をゆめーに見るー

 忘れたブラを取りに帰るようにー

 古びーた思い出のHOTほっと ANDあんど COOLくぅる


 はぁ〜、尊い歌やわ〜。


 なんて素晴らしい詩なんだ。何故だか、目からは大粒の涙が零れ落ちた。詩の意味は、ちょっと何言ってるか分からないけど、とにかく雰囲気が素晴らしい。


「きっと、おっぱい神にも、萌さんの魂の歌声が届いたはずです」


「ぱい……届いたと思います……!」


 涙で声が震えてしまった。


「さくモン……。萌ちゃんが、これから1週間生活する部屋に案内してあげてください」


「おっぱぁぁぁい!!!! さぁ、萌ちゃん、私と一緒に参りましょう!」


「ぱ……ぱい……!」


 私は、さくモンに連れられ、おっぱい堂を後にした。さくモン曰く、本格的な修行は明日から始まるらしい。今日は、おっぱい村を好きに散策してもいいとの許可をもらった。


 おっぱい村は、非常に自然が多い場所だった。今の日本で、ここまで自然を存分に味わえる場所は、そう多くは無いだろう。


「おっぱい宿舎に空き部屋があるから、萌ちゃんはそこに泊まってもらうからね!」


「ぱい!」


 それは、山のふもとにあった。おっぱい堂から歩いて5分ぐらいの所。村人の家が密集している箇所とは反対側に位置する。


「萌ちゃんの部屋は、『垂れ乳の間』……。この宿舎の2階だね。あ、でもその前に、おウタに用事があるから、ちょっと一緒について来て!」


 あー、あの真っ黒ブーメランパンツ男か。


 さくモンは1階奥にある、『褐色おっぱいの間』へと進んだ。


「おーい、おウタ! さっき萌ちゃんと一緒にいた、貧乳好きの男はどうなった?」


 さくモンは、ノックもせずに、おウタがいる部屋の扉を開けた。


 そして……そこに広がる光景は、私にとって生涯忘れられない物となってしまったのだ。

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