〈マッスル21〉 レオパレス21

 お話し? 屋敷についての?


「数年前……。大雨の日の事でした……。屋敷にゃおぱれす背後うしろの山が崖崩れを起こしたのです。物凄い轟音がしました。直接被害は被ってないものの、それ以来、この建物は、常識では考えられない程に劣化してしまったのです……。恐らく、地盤が歪んでしまったのでしょう……」


「なるほど!!!! それで壁に穴が空くのか!!!!」


 林田さんが、くろつちさんの前にも関わらず、再び壁に穴を開け始めた。マジでコイツら人間じゃない。


「ご覧の通り、壁も、ティッシュかと錯覚する程に破れるし、床の上でジャンプをしようものなら穴が空きます……。2階に至っては、普通に歩いただけで床に大穴が空くのです」


「だから体重制限があったのか! しかし、不思議だな……。にゃおぱれすとレオパレス21……。名前の雰囲気が似ていると思わないか?」


 デジルが何か言い始めた。


「もしかしてこの屋敷も元々、法律で定められた規準を満たしていない不良物件じゃないのか……!?」


 バカ……! 涅さんに失礼だろ! まぁ、レオパレス21は本当に悪い事してたけどさ……。


「そうかもしれないですね……」


 アンタも否定しろ! 筋肉達の思うツボになるぞ!


「そうか……。じゃあ、ここで激しい運動は出来ないな」


「はい。申し訳ないですが……」


 申し訳なく思わないで……! 寧ろ、こっちが申し訳なさの極みなんですけど……。


 その時だった。


「うわぁぁぁあああ!!!! 止めて!!!! ぼ、ぼくの首がポロるぅぅぅ!!!!」


 2階から、亜房先生の悲鳴が聞こえて来た。この屋敷は、壁や床が薄い為か、やはり声が鮮明に聞こえる。


「どうした!? ボクが見て来よう!」


 デジルが真っ先に動く。


「ダメです! 普通の男性が2階に行けば、間違いなく床に穴が空き、1階へと落ちてしまいます! 階段でも壊れようものなら、最早、誰も2階へ上がる手段が無くなってしまいます……!」


 涅さんがデジルを止める。そうなったら……。


「じゃあ私が行く!」


 私は、亜房先生の危機だと感じ、体が直ぐに反応した。


「ま、待って……! 危ないから私も一緒に行く!」


 夏井さんも、私の後ろを追い掛けて来てくれた。

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