〈マッスル10〉 厨二刑事登場
ルアンさんの頰を涙が伝う。恐ろしく雑な推理であった気がするが、本当に彼が犯人だったようだ……。
「ルアンくん……。証拠が無いのに、色々言ってしまった事は申し訳なかった。だが、ボクは普段からキミらと楽しく触れ合っているからこそ、ボクの腹直……いや、直感が今回の答えを教えてくれただけの事さ。勿論、探偵としては失格さ……!」
今度は、見事なフロントダブルバイセップスを決めながら言う。
「いえ、やはりアナタは、私の愛した立派な探偵よ……。見事な推理だったわ。私が、言う立場じゃないだろうけどね……。しっかり罪を償って来るわ……」
「ここにいる
ルアンさんは、デジルの優しくも怪しい言葉を聞いて、その場に泣き崩れた。彼がやってしまった事は、取り返しのつかない事であり、そして、許される事でもない。デジルの言葉が、ルアンさんの心をオーバーワークに至らしめた。
「なんだ……。俺が、わざわざ
突然、私の背後から、まるでアニメの主人公の如き声が聞こえて来た。私は、びっくりして後ろを振り返る。
「なんだ……。お前にも、俺の姿が見えるのか……? やれやれ……。
何だ!? このバカは……!?
スーツを身に付け、左手には包帯を巻き、電子タバコを咥え、そして右手で顔を覆っている。
「
「フン……。別にお前を助ける為に来た訳じゃねぇさ……。ただ、誰かの悲痛な叫びが、俺の心に届いたのさ」
「いえ、私が電話で呼びました。がぶっ!」
風炉島さんが、邪魔をする。
そうか、このバカが、デジルの言っていた刑事なのか。厨二病拗らせ過ぎだろ。
「無江くん……ルアンくんを連れて行ってくれ」
「結局、最後は俺の
こうして、突然起きたお茶会での事件は幕を閉じたのだった……。
ルアンさんは、しっかり罪を償う為に、厨二刑事の無江さんと共に去って行った。そして一方で、ルアンさんの強い反省、後悔の想いと、筋肉達の想いが届いたのか、なんと万鳥さんが息を吹き返したとの連絡が病院からあった。
超回復を遂げた筋肉が一回り大きくなる様に、皆の関係が元通りになった時は、更に楽しいお茶会が出来る事をひっそり私は夢見ている。
因みにあの後、林田さんが急性アルコール中毒で搬送された。
第1章 プロテイン殺人事件
ー 完結 ー
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