第2章 にゃおぱれす殺人事件
〈マッスル11〉 物理的パワースポット
「いやぁ、素晴らしい景色だ! ボクの筋肉も喜んでいる!」
「デジルの筋肉ってさ、いつも喜んでいるじゃん……」
「え、そうかい?」
あの事件から、1ヶ月の月日が流れた。不思議な事に、デジルとは、毎週休みの度に会う程の仲となってしまった。デジルが私の会社で作っているプロテインを気に入ってくれたし、筋肉達と一緒に居れば、なんだか元気を貰えるような気がするのだ。以前と比べて、ポジティブにもなれた。
「はぁ〜、萌様。やはり、
「よし、じゃあ今すぐ窓から飛び降りて」
「はぁ〜、棘のあるお言葉もお美しい……」
今日は、
これぞ秘境。
車道に沿って流れる川の水の透明度。黄色や
本当に素晴らしい場所だ。
だけど、一緒にいるメンバーが意味不明だ。なんであの厨二刑事まで一緒に来ているの!?
「酒が進むぅ! かんぱぁい!!!!」
酔っ払いサイドプランク野郎の林田も来ている。それから、景色を観ながらブロッコリーを齧る
そして……。
「林田さん、ダメだよ。こんなにアルコール飲んだら……。ぼく、困っちゃうよ」
万鳥さんの命の恩人である、
噂通り、可愛い容姿の男性だ。目がパッチリとしていて、私よりも女性らしいかもしれない。
「亜房先生も一緒にかんぱぁい!!!!」
林田さんは止まらない。林田さんもやっと退院したばかりなのに……。バスの座席を利用して、相変わらずサイドプランクをしながらの飲酒だ。良い子は絶対に真似しないでほしい。
「もう、林田さんったら仕方ないなー」
亜房先生は困り果てている。しかし、その姿もまた可愛い。
「デジル、まだ着かないの?」
私達以外に、運転手を除いて、一人だけ緑のベレー帽を被った女性がいるのみ。皆、退屈してないのだろうか? 私は、林田さんのせいで車内が酒臭いから、一刻も早く外の神聖なる空気を吸いたいのだ。
「あと30分もすれば着くんじゃないかな? 萌ちゃん、楽しみに待ってるんだ……!」
目指すは、パワースポット・筋肉岩。
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