大聖堂-1
「うわぁ……!」
最初に出てきた感想は『驚嘆』。そして『感動』だった。
中は薄暗く、濁った光が朧に内装を映し出している。だが、その朧な光すらもこの大聖堂の神聖さを演出しているかのように荘厳な輝きを放っていた。
「これが大聖堂、ね。当時の人たちの技術も凄いけど、ここまで信じて突き進むことのできる信仰心も恐ろしいわね」
確かに辺りに置かれているステンドグラスや絵画には当時の信仰対象であろう作品群が並べられている。信者が創ったものなのか、他の誰かが創ったものかの判別はつかないが、このような作品群ができるほどには強く信仰されていたのだろう。
「さて、私もいろいろと散策をしてみようと思う。後ほど集合して成果報告というのはどうだい?」
「あ、いいですね。僕もいろいろ調べたいですし。ティアもそれで良い?」
「構わない」
「じゃあ決まりだね。それぞれ終わったらまたここに集合で」
そう言ってカメルは奥にあった扉を開け、奥へと消えていった。
「僕はもう少しここを調べるつもりだけど、ティアはどうする?」
「私は別のところに行くわ。それと──」
すっ、と顔を寄せて囁く。
「あまりカメルを信用しすぎないこと。常に警戒心を持ちなさい」
「えっ?」
おどろいて隣を見るが、すでにティアは背を向けていた。
「貴方は人間に対して警戒心が薄すぎるわ。この世界、そこまで善人だらけではないのよ?」
それだけ告げるとティアもカメルとは別の扉から奥へと消えていってしまった。
「警戒しろっていわれてもなぁ……」
とりあえず、探索に夢中になりすぎないようにってことなのだろうか。
「まぁ、いいか。とりあえずこのフロアを隅々まで探索しとこうかな」
奥にどれだけ広がっているのかはわからないけど、二人が奥に行ってるし、まずはこのフロアをしっかり探索してから移動しても良いだろう。
まずは、とクレイは壁に掛けられている絵画へと駆けよることにした。
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