第41話

週が明けて月曜日。


僕は大輝といつも通りに待ち合わせ場所まで行こうとした。


…しかし、僕は異変に気付いた。


「!……大輝。こっちに…」


「どうした?」


僕は大輝の腕を引っ張り、物陰に隠れるように誘導する。

静かにするようにと大輝に合図し、顔だけを覗かせた。


「…………」


僕の目に映ったのは、神崎先輩と話す雪菜の姿だった。

何やら真面目な表情で受け答えをしている。


「〜〜〜〜〜」


「〜〜〜〜〜」


……此処からでは遠すぎて会話の内容は聞こえてこない。

僕は大輝の方を向いて尋ねた。


「…どう思う?」


大輝は難しそうな顔をしていたが、すぐに首を横に振った。


「…分からないな。」


「そうだよな…」


正直、直ぐにでも二人のもとに行きたいが……


僕達はあの人に接触するのは避けたいのだ。


つまり、ここで先輩が去ってくれるのを待つしか無い。



…そして、それから30秒後。


「……お。行ったな。」


「ああ。」


意外な事に、先輩は雪菜を登校に誘うなどという事はせず、そのまま手を振って去って行った。


「…取り敢えず、雪菜の所に行こう。」


「そうだな。」


僕達は隠れていた物陰から体を出すと、急いで雪菜の所に向かった。


「雪菜。」


「…あっ、おはよ……」


挨拶をすっ飛ばし、僕は先程の事を聞く。


「さっき、神崎先輩と話してただろ?」


「…見てたんだ。」


「ああ。」


雪菜は別段驚いた様子を見せなかったので、見られる事は想定していたらしい。


雪菜は一つ溜息を吐いて、僕達に話の内容を教えてくれた。


「…あの人、私と拓海がどういう関係なのかって聞いてきたの。」


「…それで?」


「”何でそんな事を知りたがるんですか?”って聞いたら、”只の興味本位”だって答えて、そのまま歩いていっちゃった。」


「そうか……」


「…ちょっと胡散臭かったな……」


そう説明する雪菜に、僕は昨日の事を説明した。あのトークの件だ。


「…そんな事が?」


雪菜は僕の説明を聞いて目を丸くしていた。


「あぁ…だから、あの人は警戒するようにしてるんだ。」


「だから出てこなかったんだ……」


「…ごめんな?覗き見みたいな真似して。」


「ううん。それは別にいいよ。」


「ありがとう…」


そして、僕は寝起きの脳味噌を巡らせて考えてみる。


…普通、振られた相手に対して話しかけるのはかなりの勇気がいる筈。

そんな事をするのは……それに見合う見返りがあるから?


…いや、考えすぎか?


でもな………


そんな風に思考を巡らせていた時、大輝がハッとした様に雪菜に問いかけた。


「そうだ…月城さん、神崎先輩は拓海の事をなんて呼んでた?」


「…え?確か…”結城”って呼んでたような……」


「成る程……」


「何が成る程なんだ?」


そう聞くと、大輝は説明してくれた。


「……神崎先輩は、一年に対してでも君付け、さん付けをする事で後輩から慕われてるらしいんだよ。」


「…それってつまり、僕だけを特別視してるって事か?流石に考えすぎじゃないのか?」


「あの完璧超人の神崎先輩だぜ?そんなミスをする筈ないだろ。」


「そうか……いや、そうだよな……」


確かに、雪菜のことはさん付けしているのに、僕の事を君付けしないのはおかしい………って、


「……これ、どうでも良くないか?」


「……そう言われると…そうだな…」


……いや、この時間何だったの?


「取り敢えず…学校行こうぜ…」


「そうだな……」


「うん……」


僕達はさっさと学校に行く事にした。



……だが、後になって僕達は後悔するのだ。


何故異変に気が付かなかったのか、と。





<作者より>


昨日更新できなくてすみません…


一日中、神崎のキャラとストーリーについて悩んでおりました。


そして今日出来上がったのがコレ…


小説…難しい……(-.-;)y-~~~



次回もよろしくお願いします!




















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る