第17話
映画を見終わった後、時計を見るともう十七時だった。
そろそろ電車に乗らないと、日が暮れる前に向こうの駅につけない。
「雪菜。そろそろ帰ろうか。」
「え?……もうこんな時間……うん。分かった。」
雪菜は少し残念そうにそう言うと、僕に付いて歩き出した。
「…今日は楽しかったよ。」
「うん。私も楽しかった。……少し嫌な事もあったけど……」
確かに、ちょっと歩いただけで二回もナンパを受けるなんてな。しかも連れが居るのに。
今度何処かに行く時は、もっと人の少ない所にしよう…
僕はそんな考えも兼ねて、雪菜に言った。
「今度は、雪菜の家の近くの何処かに行ってみたいな。」
「うぇ?」
「…うぇ?」
「あ、いや、違うの!ちょっと意外だったから……」
「……意外?」
「なんでもない!……うん。わかった!次は私の家の近くに行こう!」
「お、おう。」
なんだかよく分からないが、次の予定は決まったみたいだ。
それから十分ほど歩き、駅に辿り着いた。
「…電車は……あった。」
五分後に急行/快速列車が発車するようだ。
「雪菜、あの電車に乗るぞ。」
「どれ?……分かった。」
雪菜は僕が指差した電光掲示板を見て頷いた。
ホームを見ると、既に車両は駅に着いている。僕たちは乗り遅れないように、先に乗ってしまうことにした。
二人席に並んで座り、電車が発車するのを待つ。
「……疲れたねー」
雪菜が欠伸をしながら言うので、僕も返す。
「…ああ。疲れたなぁ。」
(大半の原因は雪菜のスキンシップによるものだけどな……)
その後は、今日見た映画の話をして盛り上がった。一応、事前にあらすじ等は調べておいたので、あとは記憶にある映像に当てはめていけば話には着いていける。
映画に集中できなくても、大丈夫なのだ。
それからしばらく話をしていると、ちょうど五分経った頃に駅のアナウンスが流れ、ドアが閉まって電車が動き出した。
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