第290話 尻尾、尻尾舐めないで···
ライナの竜の瞼がうっすらと開く。
ライナは見知らぬ地に立っていた。
ギャア······ガアギャア
(ここは·····ああ、夢か。)
ライナはここが即座にここが夢だと判断する。
何故なら目の前が光景がピンク色に染まっていたからである。雲のように地面がピンクに染まっており。空も薄くピンクに染まっている。こんな世界など異世界にでもないだろう。これが即座に夢だと判断できる。
ギャアガアギャアラギャアギャ
(夢ならさっさと起きなければな)
にゅるにゅるにゅるにゅる。
「な、何だ!?。」
突然ピンクのふわふわした雲のような地面から何か生物的な根っこようなものが伸びてきた。根っこは固くなくにゅるにゅると無生物に蠢いている。
ギャアガアギャアギャ·····
(なっ、これってまさか····。)
俺はこいつに見覚えがあった。同人やエロ本、エロゲーでお世話になった定番のアレである。
にゅるにゅるにゅるにゅるにゅるにゅる
ピンクの雲の地面からわいた根っこは俺の存在を感知したのか無造作に伸びてくる。
ギャアラギャアギャ~~~ギャアあ!!
(やっぱ触手じゃねえかああ~~~!!。)
俺は悲鳴を上げてその場を逃げだす。
にゅるにゅるにゅるにゅるにゅるにゅるにゅるにゅるにゅるにゅるにゅるにゅるにゅるにゅる
触手は俺に追ってくる。
ギャア~~~~ガアラギャアギャアラギャアガアギャアラギャアギャアラギャアギャああああーーーー!
(ギャア~~~!。人間の女性はともかく竜(ドラゴン)に触手やっても何処にも需要ねえええぞーーー!。)
にゅるにゅるにゅるにゅるにゅるにゅる
俺は正論をぶっこむが。そんなの関係なくピンクの触手は俺(ドラゴン)に襲ってくる。人間或いはエルフや獣人の女性なら兎も角。竜(ドラゴン)=オスに触手をやっても何処にも主要はないだろうが!!。
正直色物過ぎて上級者向けといっても過言ではない。
にゅるにゅるにゅるにゅるにゅるにゅるにゅるにゅるにゅるにゅるにゅるにゅるにゅるにゅる
ピンクの雲のからわき出た触手に俺は抵抗虚しく捕まる。
長首を胴体、脚、股間何処もかしこも触手によって絡めとられる。
ギャアああああーーー!ギャアガアギャアラギャアギャアガアギャ~~~~!
(ギャアーーーーーーー!。本当に何処にも需要無ええええええぞ~~~~!。)
俺は何度も需要ねえと触手に訴えるが。そんな触手はそんな倫理観など関係なく俺を襲ってくる。
にゅるにゅるにゅるにゅるにゅるにゅるにゅる
(ギャああああああああああーーーーー!)
にゅるにゅるにゅると滑った触手に絡めらとられ。ライナは触手の渦に埋もれていく。
*******
ギャ~····ギャ~····ギャア···ガアギャアギラギャガ·······
(う~ん····う~ん····尻尾····尻尾舐めないで·····。)
ライナの竜顔は懇願の寝言を繰り返し魘される。
ハッ! パチッ
ガバッ
ライナの竜の身を勢いよく起こし。竜の瞼が大きく開く。
竜の全身には異様に冷たい汗がながれる。
ライナは周囲を確認すると巨大な円形のキングスベッドに寝かされていた。
ギャ······ギャ···ガアギャアラギャアギャアガアギャ
(はあ····はあ······酷い夢だった。悪夢の分類に入るだろうが。前世の俺でもあんな酷い夢みないぞ。)
竜(ドラゴン)になって触手に襲われるってどういうプレイよ。どこにも需要ねえだろうが。
俺は荒くなった竜の息を整える。
ギャアガアギャアラギャアガアギャアラギャアギャガ?
(取りあえず。起きて顔でも洗って。走り込みでもするか。ん?。)
俺は何かに気付く。
やたら俺の尻尾の先が生温かいのである。
さっき夢の中で触手に尻尾を舐めとられた光景が悪夢として鮮明に甦る。
まさか·····
俺は巨大なキングスサイズの円形ベッドのシーツを恐る恐るとる。
バサッ
ちゅぱちゅぱちゅぱ
············
俺の尻尾の先にマリス王女が寝ていた。マリス王女はまだおしゃぶりの癖が抜けきれないのか。寝ぼけて俺の尻尾の先を美味しそうにちゅぱちゅぱ舐め舐めしている。おかげで俺の尻尾の先はマリス王女の涎まみれである。
ギャ ガ·········
(うっ わ············)
俺は何ともいえぬ気持ちにかられる。
俺は今マリス王女のベッドで一緒に寝ている。あの謎の裸腹掛け変態般若仮面の女に斬られ。王族直属薔薇竜騎士団が俺を賊から守られなかったことが問題となり。俺はより一層王族のペットとして厳重に警護されることになってしまったのである。ある意味VIP待遇とも言える。それだけでなく。マリス王女が姉達との水入らずのピクニックから帰ってきたとき俺の姿を見た途端。発狂し泣きじゃくってしまったのである。まあ斬られた姿を見ればそうなるわなあ。マリス王女は俺から離れないと駄々をこねてしまい。姉達がなんとか宥めて。中間とって毎日就寝の時間帯にはマリス王女の寝室で一緒に寝ることになったのである。
王族だからキングスサイズのベッドなのでノーマル種のサイズでもまるまるおさまった。
今はペットから王女様の抱き枕状態になっている。
何だかどんどんとレースの騎竜からかけ離れていっているような気がするが。気のせいか?。
「むにゃむにゃ。ライナ····。」
俺はマリス王女を起こさぬように静かにベットから離れる。
これからアイシャお嬢様と授業があるのだ。
マリス王女はまた癇癪を起こして泣き喚くかもしれないがこればっかりは仕方ない。
俺はそ~と静かにマリス王女の寝室を出る。
ガチャ
ギャア、ギャアガアギャ
(ふぅ、なんとか出れた。)
俺はマリス王女を起こさずに寝室から出れたことをホッと安堵する。
「すまないな。ライナ。色々面倒をかけてしまって。」
突然俺はマリス王女の寝室前の廊下で声をかけられる。
声をかけられた方に竜長首を向けるとそこにはマリス王女の姉である銀髪レイヤーショートヘアーのメディア王女が立っていた。メディア王女はいつもの鎧を着ておらず。そのかわりネグリジェ姿の格好をしている。
メディア王女のネグリジェからこぼれる豊満なプリンセスダイナマーイ‼の膨らみが俺の竜瞳を根強く激しく引き付ける。
········
「どうかしたのか?ライナ?。」
ガ、ギャ、ギャアラギャアギャア
(あ、いえ、つい見とれてしまいまして。)
胸とは言えない。
「私を見とれるとは変わっているな。姉の方が兵士達から人気があるのに。」
ん?·····もしかしてメディア王女は姉であるシャルローゼ王女にたいしてコンプレックス抱いている?。
姉妹仲は見た感じ良好ではあるが。姉妹による能力の違いなのか。内心劣等感を感じているのかもしれない。そんなことはないのに。
メディア王女様にも姉にも勝る見事なプリンセスダイナマーイ卜があるのでから俺は内心をそうフォローする。
「シャンゼルグ竜騎士校に同行しよう。」
ギャアガアギャアラギャアギャアガアギャア
(いいですけど。薔薇竜騎士団も一緒ですか?。)
警護が厳重になったことで。薔薇竜騎士団が俺に同行することになってしまった。シャンゼルグ竜騎士校までついてこられるとちょっと困る。俺にもプライベートというものがあるのだから。血気盛んに訓練に勤しむ騎竜乗り科達の運動する姿を俺は心の底から楽しみにしているのだ。別に訓練中に動く令嬢生徒達の胸をガン見、凝視したいわけではないのだ。
「ああ、こればっかりは変えられん。我慢してくれ。まだあの裸腹掛け変態般若仮面の女がライナを襲いにくるとは限らないからな。」
ギャアラギャギャア
(そうですね。確かに)
メディア王女様の言葉に俺は納得する
3尺3寸の大太刀で一刀両断してきた謎の裸腹掛け変態般若仮面の女はまじもんの殺意を俺に向けてきた。
次も狙ってくるかもしれない。
用心に越したことはない。
シャンゼルグ竜騎士校正門
アイシャお嬢様との待ち合わせ場所である正門前に到着する。
正門前にはアイシャお嬢様と親しくなった騎竜乗り科のオリンお嬢様とラムお嬢様その騎竜である人化している鳳凰竜フェニスと魔剣竜ホロホスさんがまっていた。
親友であるパールお嬢様とレインお嬢様はいない。校舎内で待ち合わせているのかな?。その代わり何故かバイオレット色の髪と瞳と小柄の容姿のパトリシアお嬢様と黒眼竜ナーティアがアイシャお嬢様の傍にいた。
珍しいこともあるものだな。
「あれ?ライナ。この人達は?。」
アイシャお嬢様は俺の隣に薔薇模様の鎧を着た女性の集団に気付く。
物々しく俺を警護する姿に騎竜乗り科の二人とパトリシアお嬢様は何かを察する。
「申し遅れました。私は薔薇竜騎士団団長アーミット・フェネゼエラと申します。私達は王女を警護する竜騎士団で。今後一時的に王族のペットとなったライナ様も警護することになりました。」
「はあ、それはご丁寧に。でも王女様は兎も角。ライナは警護するほどの竜でありませんよ。そんな気遣いしなくて。」
アイシャお嬢様はそう薔薇竜騎士団のの謙遜する。
なにげに俺貶されてない?。
アイシャお嬢様建国記念杯依頼冷たくなった気がする。
「いえ、そんなことはありません。マリス王女様に大層好かれておりますし。」
一緒の部屋で寝る仲ですからね。後、尻尾を舐められる仲ですと俺は内心そう呟く。
薔薇竜騎士団の方達には俺が賊に襲われたことに関して伏せて貰っている。アイシャお嬢様に要らぬ心配をかけまい為である。
「そう言うことなので宜しくお願いします。」
「はあ····解りました。」
アイシャお嬢様は誠意をこもったアーミット団長の挨拶に少しぎこちなく返事を返す。
「揃ったわね。ライナ、アイシャ。話があるわ。商談と言ってもいいわ。」
「商談?。」
パトリシアお嬢様は俺とアイシャお嬢様が揃ったことで突然前にでて話を持ち掛けてくる。このまでグイグイくるとは珍しい。パトリシアお嬢様は俺達にたいして引け目というか一歩引いていた節があったからだ。まあ、過去の出来事が原因なんだろうけど。
「率直に言うわ。私、貴方達の出資者になりたいの。どうかしら?。」
パトリシアお嬢様の突然の提案にアイシャお嬢様は困った顔を浮かべる。
出資者(スポンサー)がもう一人できることは嬉しいことなんだが。あまりにも突然のことでアイシャお嬢様は少し戸惑っていた。
「えっと、出資者ですか····。」
「ええ、そうよ。私のハーディル商会は東方大陸を牛耳る商会だと知ってるわね。」
「はい、そうですね。」
パトリシアお嬢様の運営しているハーディル商会は大陸一の名を馳せている商会である。中央大陸を牛耳るヴァーミリオン商会と並ぶとされている。
「ハーディル商会の出資者になれば東方大陸内なら色々と支援できるわ。私の商会のワッペンを貼れば広告料もちゃんと払うし。東方大陸内にある全てのレースも紹介できるはずよ。どうしから?。」
パトリシアお嬢様はアイシャお嬢様にグイグイと交渉する。こんな積極的なパトリシアお嬢様は初めてである。傍にいるナーティアの顔を覗くと盲目のように閉じた素顔が申し訳そうに少し頭を下げている。
「どうする?ライナ。」
アイシャお嬢様はパトリシアお嬢様の誘い迷った顔で俺に尋ねる。
ギャアラギャアガアギャアラギャアギャアラギャアガアギャアラギャアギャアガアギャアガアギャアラギャアギャアガアギャアラギャア
(いいんじゃないんですか。出資者になればマーヴェラス家の復興資金も大分潤いになりますし。東方大陸のレースの紹介をしてくれるなら探す手間を省けます。メリットはあってもデメリットはないとおもいます。)
俺はアイシャお嬢様に素直の気持ちを告げる。
「そうだね。うん。解った。出資者の申し出受けます。」
「商談成立ね!。これが私の商会のワッペンよ。足りなくなったら直ぐに用意するわ!。」
パトリシアお嬢様はアイシャお嬢様に自分の商会の看板であるワッペンを手渡す。
ワッペンの絵柄は荷物を咥えている鳩の姿で意外と可愛いかった。
ぞろぞろぞろ
校門から広大なシャンゼルグ竜騎士校の敷地を通り。シャンゼルグ竜騎士校の校庭敷地へはいる。
シャンゼルグ竜騎士校の敷地には青とピンクの制服を着た竜騎士科と騎竜科乗り科の生徒が校舎に入ろうとしてい。
罵り合う声もなく。双方は今のところ喧嘩をしていない。
建国記念杯の件もあってか波風立たせるつもりはないのかもしれない。
俺がアイシャお嬢様で学年最強の竜騎士科の三竜騎士の二人に勝ち。騎竜乗り科の集団戦闘では完膚なきなまで倒してしまった。
双方が戦意喪失しても可笑しくはない。
一人のピンクの制服を着た令嬢生徒が俺の竜瞳と目が合う。
目があった途端カタカタ肩が震えだし。唇が引き付け眉を寄せ顔が恐怖歪む。
「キャああああーーー!パインオブザデットおおおおーーー(死を呼ぶ胸)‼。」
一人の令嬢生徒が悲鳴を上げると周りにいたピンクの制服をきた令嬢達が皆一斉にこっちを向く。
「ひぃ~~~~!パインオブザデット!。」
「いやぁ~~!パインオブザデットだわ!。」
「みんな逃げて!。パインオブザデットよ!。胸を揺らされるわ!。」
キャーーーーーー!キャーーーーーー!
キャーーーーーー!キャーーーーーー!
シャンゼルグ竜騎士校の校庭敷地にいた騎竜乗り科の令嬢生徒達は皆一斉に悲鳴をあげ。校庭敷地を逃げまどう。
キャーーーーー!キャーーーーー!
············…···
「なんかライナ、騎竜乗り科の人達に怖がれててるね。」
状況を掴めていないのか。アイシャお嬢様は俺を見て逃げまどう騎竜乗り科の令嬢生徒を見て不思議そうに首を傾げる。
軍師竜ゼノビアの言ったとおり。俺は騎竜乗り科からパインオブザデット(死を呼ぶ胸)と呼ばれ恐れられているらしい。騎竜乗り科の令嬢が俺と目があった途端悲鳴をあげて逃げだしてしまった。騎竜乗り科の騎竜は特に恐れられてはいないが。何か突き刺ささるような視線がとてつもなく痛い。
なんか嫌われている方がましなような気もしてきた。
ギャアラギャアガアギャアラギャアギャアラギャアギャア
(取りあえずアイシャお嬢様。教室に向かいませんか?。俺は校舎外で待ってますから。)
「そうだね。解った。ライナはお利口にして待ってるんだよ。」
ギャア
(はい)
俺は玄関前にアイシャお嬢様が授業を終わるのを待つことにした。薔薇竜騎士団方達も俺が訓練、授業を受けるまでつきっきりである。
何か·····落ち着かない。
しばらくぼーとシャンゼルグ竜騎士校の玄関入口につたっていたら登校する四人の令嬢と二人(二匹)が目にはいる。
四人の内二人は同じ濡れ鴉色の髪を伸ばし。その令嬢の一人は楽しそうにもう一人後ろ髪を紐で結っている令嬢に話しかけている。話しかけられている令嬢は無言を貫いているので。会話が成り立ってるのかも怪しい。もう二人は同じ銀髪ブロンド色の髪をした令嬢は妹の方は男装しているが。姉とは楽しそうに普通に会話をして仲良さげである。特に姉の方はとても嬉しそうにしている。その付き人(竜)である角を生やしている無精髭を生やした侍とおかっぱ頭の着物を着た少女が静かに主人の後をついている。
校舎玄関前で薔薇竜騎士団と一緒に待機している俺(ノーマル種)の存在に気付くと。濡れ鴉髪の二人の令嬢は射貫くような鋭い視線を向けてくる。もう片方の銀髪ブロントの姉妹は俺にとびっきりの笑顔を向けてくる。
姉妹と令嬢二人の対応の落差に俺はガクッと竜肩を落とす。
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