第295話 オールナイト


       王城内訓練所


「きゃははははは‼️。」

ギャアギャアラギャ~ラギャアラギャアギラギャ~ギャララ

(おっぱいゆらゆらゆ~らゆら。おっぱいゆらゆらゆ~らゆら)


ライナは今日突如シャンゼルグ竜騎士校が急遽休校となり。暇になってしまった。アイシャお嬢様がお城で待機するように言われ。

俺はいつものように王城の訓練場で第三王女であるマリス王女を背に乗せて尻尾をふりふりしながらあやしている。

怪しげなおっぱいの子守りを唄を口ずさみ。一緒懸命あやしている。

騎竜ののぞいて竜言語が解る竜騎士、メイド隊

或いは薔薇竜騎士団の面々はそのライナの口ずさむおっぱいの子守り唄に対して激しくドン引きしていたが。そんなことなどお構いもなく、俺はマリス王女におっぱいの子守り唄を口ずさみあやしている。それが主人であるアイシャお嬢様のご意向であり。主人に代わって日頃お世話になっているシャルローゼ王女様の親族に恩返しせねばらならない。

しかしアイシャがライナがシャルローゼ先輩の妹であるマリス王女に怪しげな子守りを歌っているなど知るよしもない。

竜騎士達の訓練が終える。



「よし!これにて朝の訓練を終了する。お前達は各自持ち場につけ。騎竜は見廻りの時以外城で待機!。では解散!!。」


ぞろぞろぞろぞろ

竜騎士団団長サルベルゴ・バルファルクの指示に団員と騎竜は次々に各持ち場へと戻る。何処と無く団員と騎竜の顔と竜顔がホクホクとにやけている。何か良いことでもあったのだろうか?。


『よっ、ライナ。今日俺達、夜は非番なんだ。一緒にドラキャバに行かないか?。』


マリス王女のお世話をするなか。親しくなった竜騎士団の副竜団長ジョーに俺は声をかけられる。


「ドラキャバ?。」


俺は聞き慣れなれない単語に竜顔をしかめる。いや、キャバというからにはキャバレーのことだろうが。お酒を飲む場所だろうか?。しかしドラキャバのドラという単語がやけに引っ掛かる。


「俺達今日ボーナスが出たんだよ。だからおごってやるよ。」


団竜員のゴロン、ツルン、ベロンはどや顔で竜の巨体からじゃらじゃらとお金を入った袋を見せびらかす。そんな三人のどや顔の姿に内心ライナはイラっとしてしまう。


ライナ無一文である。

お金はないわけではない。

お金に関してレースで稼いだ賞金は一応主人であるアイシャお嬢様に全部預けている。一部はマーヴェラス家の復興資金にしているが。その他はアイシャお嬢様の生活用品などに使っている。アイシャお嬢様は滅多にショッピングとかにいかない。この年頃なら行って楽しむ歳であるのだが。アイシャお嬢様はそんな余裕などないと行くことを拒否している。クラスメイトや親友の誘いなら一応行っているようだが。自主的に行ったことはない。

レース以外にはあまりお金を使わないのだ。一応俺もアイシャお嬢様に頼めばレースで稼いだ賞金を使うことは出来るのだが。特に竜(ドラゴン)になっても使う用途もないのでアイシャお嬢様に一度もお金を頼んだことはない。平たく言えば俺の財布は全部アイシャお嬢様が握っていると過言ではない。


でも何か妻に夫の財布を握られているような感じなのかなあ?。

全然違うのだけど·····。


ギャギャアラギャギャ

(いや、別にいいよ。)


俺は断りの返事をする。

ドラキャバというからにはきっとドラゴン専用のなのだろう。店内で美人?のメスドラゴンのキャバ嬢がお酌をしてくれるのだろうと解釈する。人化している姿なら興味があるが。人化が解かれたメスドラゴンにお酌されても正直全然嬉しくもなんともない。


『なんだあ~?。乗りが悪いなあ~。あーー!もしかして人化した姿がお好みかあ~い?。』


俺はギョッと竜顔がたらりと冷や汗を流す。

ジョー副竜団長はもしかしてエスパーなのだろうか?。俺の性、でなくて好みを的確についてくる。


『なら、安心しろ!。ドラキャバでお酌してくれるキャストは皆人化した姿だ。竜種によって人化を解いたら場所をかなりとるからなあ。ドラキャバのドラ嬢は皆人化してお酌をするのさ。』

『ちなみに俺たちも人化して遊びに行くんだぜ。』

『だから行こうぜ。ドラキャバ。』

『魅力的で綺麗なドラ嬢が待ってるよ~。』


ゴロン、ツルン、ベロンは俺にドラキャバ行くよう急かす。


ギャ~ギャギャア····

(ん~だが、しかし···。)


ライナは煮え切らない様子で竜口が渋る。

アイシャお嬢様にお城で待機するように言いつけられているのに断りもいれずに夜に遊びに行くのはどうなんだろう?。アイシャお嬢様が俺が夜遊びに行くと知ったら確実怒るような気がする。確かに奢って貰う形になっているので夜のお店で散財する心配はないだろう。しかし後でアイシャお嬢様がそのことを知ったら相当雷が落ちるような気がしてならない。

アイシャお嬢様のお金を使い方にかなり厳しい。原因は父親であるマーヴェラス伯爵の無計画な賭け事が要因になってるのだけど。

何か本当に妻に財布を握られているサラリーマンになった気分である。

友達に奢りで誘われ罪悪感を覚える必要はないのに激しく恐怖というか不安感が覚えるのだ。それにまたあの裸腹掛け変態般若仮面に襲われるという可能性もあるし。


「なあ、行こうゼ~。ボインボインのドラ嬢が待ってるよ~。」

ギャ!?ギャアラギャギャ!?

(なぬっ!?ボインボインだとっ!?。)


ライナはボインボインどいう単語に激しく反応する。ライナの竜瞳が鋭く光る。


『ん?ああ····ドラキャバ人気ナンバー1とナンバー3はかなりのボインで美人だぜ。あ、でもナンバー2は駄目だからな。ナンバー2は俺の推しの子だからな。絶対手を出すなよ!。』


どうやらジョー副竜団長はドラキャバのナンバー2がお気に入りのようである。


ギャアラギャアギャアガアギャアラギャ

(解った!。じゃ、行くことに決めたよ。)


ライナは即決断する。


『そうこなっくっちゃな。』


ジョー副竜団長はニンマリと竜口に笑みがこぼれる。


ライナはボインと聞いて一瞬にしてアイシャお嬢様に交わした約束を忘れてしまう。ドラゴンパブに遊びに行くことを決断する。


      深夜城北裏門


「遅かったな。」


城の北裏門前で人化したジョーが声をかける。ジョーの姿は熱血漫画にでてきそうなしなやかな筋肉をした優男であった。眉毛がも太く伸びて反り返っている。他の三人もゴロン、ツルン、ベロンも何処にでもいるモブキャラのような人間の姿をしていた。


ギャアラギャアギャアガアガアギャアラギャアギャ

(ああ、マリス王女を寝かせるのに手間取ったよ。)


マリス王女の子守りを務めているで寝かせるまで時間が懸かる。

今はマリス王女は王室でスヤスヤと眠っている。

マリス王女とは一緒に私室で眠ることになってしまったのだがらこれに関して仕方ない。

正直俺は藁の敷かれた竜舎で構わないのだけど。マリス王女が一緒に寝ると言い出してきかない。マリス王女のどでかいベッドで毎日マリス王女に添い寝をさせられている(ほぼ抱き枕状態でもある)。



「それは災難だったな。この時間帯は城の警護も薄れている。他の団員の騎竜にはライナと飲みに行くと伝えているから安心しろ。薔薇竜騎士団の奴ら関してはちょっとお堅いから秘密な。知られると色々面倒だからさ。」

ラギャ

(解った)


俺は竜の長首を動かし素直に頷く。

どうやら薔薇竜騎士団の騎竜と竜騎士団の騎竜はそりがあわないようである。そういえば双方親しいほど会話してていないよなあ。

仲悪いのか?。


ギャアラギャアギャアガアガアギャアラギャアギャ?ギャアラギャア?

(それでドラキャバのお店は何処にあるんだ?。やっぱ南地区か?。)


酒場やバーなどの繁華街は普通は商業地区である南地区にあるのが定番である。


「いんや、ドラキャバの店は北地区にあるのさ。貴族街のど真ん中だ。」

·········

俺は竜口が開き絶句する。本来普通酒場とかは貴族街に置かないと思うのだけど。しかも北地区には大聖堂や教会もあるんだぞ?。そんなところにドラゴン専用の酒場はんて普通に置くか?。

俺はあり得ない場所にドラキャバのお店があることに驚く。


「普通南地区の繁華街にあるんじゃないのか?。何で北地区にあるんだよ。しかも北地区は神竜聖導教会の神竜大聖堂も有るだろうに。罰当たりじゃないのか?。」

「まあ普通に人間の酒場は置かないけど。ドラゴン専用の酒場はドラゴンの心のケアも入っているからな。特別に許されているんだよ。まあお堅い薔薇竜騎士団の騎竜連中は俺らがドラキャバの店に行くことに関して軽蔑しているんだけどなあ。別に良いんじゃねえか綺麗なメスドラゴンにお酌され飲みにいっても。こちとら業務とか任務とかでストレス溜まりまくってんだよ~!。」


ジョー副竜団長は薔薇竜騎士団の騎竜に対してごもくそを吐きまくる。相当竜騎士の業務でストレスを溜まってるらしい。

まあ、ストレス貯まった竜(ドラゴン)がレースで暴れたりもするという噂もあるし。必要な処置なのかもしれない。俺はそう納得する。


「そんじゃ行こうぜ。」


ジョー副竜団長に先導され。ドラゴン専用の酒場ドラキャバのお店に向かう。貴族街に入ると既に貴族の住宅の窓の灯り消され。街灯の光だけが便りだった。

貴族街のいりくんだ路を進み。住宅の建物同士のすき間の路地を通る。ライナのノーマル種の巨体でも何とか通れた広さである。

左右の住宅が囲む路地を進むとふと右側の建物にネオンのような光を放ち。地下に続く階段のついた建物に到着する。そこでジョーの足が止まる。


「ここがドラゴン専用の酒場、ドラキャバ、オールナイトだ。」


オールナイトといういかにも夜のお店らしい名前である。

多分ここで美人?の人化したメスドラゴンが人化しているオスドラゴン(俺は竜のままだが)にお酌してくれるのだろう。騎竜の心と身体をリフレッシュする憩いの場みたいな感じだろうか?。


「この建物の地下の階段を降りると店があるんだ。」


ジョー達はて慣れたように地下の階段を降りていく。竜のままであるライナもそれに続く。階段を降り終えると目の前に少し豪華そうな大扉があった。ノーマル種位のサイズなら寸なり入りそうな大扉である。ジョーは豪華な大扉を何の茂もなく開ける。


ガチャ


カラカラ

扉ついた鐘がなる。


「コッコネ。今日も来たぞー!。」

「ジョー。待ってなの。」


きらびかなドレスを着た角を生やす娘が嬉しそうに笑顔で出迎える。


「俺も含めていつもの馴染み三匹と。後追加に一匹入るから。追加の一匹はノーマル種で人化できないから出来れば広いテーブル席を用意してくれ。」

「ノーマル種?。」


ノーマル種と言う言葉にコッコネというドレス着た角を生やしたドラ嬢は驚く。

まじまじとライナを観察する。

ああ、そういえばノーマル種って王都で下等と見なされていたんだっけ。人間の貴族は解るけど。王都で店を構える騎竜はどうなんだろう?。

シャンゼルグ竜騎士校では竜騎士科と騎竜乗り科の騎竜に相当嫌われている。

王都で店を構えているメスドラゴンがノーマル種に対してどう印象を持ってるか正直ライナには解らなかった。


「あっ!?、もしかして貴方建国記念杯で活躍した。あのノーマル種なの?。」

ギャラギャ

(あ、はい。)


俺は思わず返事してしまう。

建国記念杯で活躍した記憶はないのだけど。優勝もしていないし。建国記念杯を優勝したのは当然シャンゼルグ竜騎士校の最強の称号を持つあの二人と二匹である。俺とアイシャお嬢様は活躍してないと思う(悪目立ちはしたかもしれないけど。)。


「しかもこいつは王族のペットもやってるんだぜ。凄いだろ。」


ジョーは自分事のように自慢する。


「まあ、あの厳しい審査をくぐり抜けて。よく王族ペットになれたなの。それは凄いなの!。私ここでドラ嬢やってるコッコネなの。宜しくなの。」


コッコネは丁寧に俺に自己紹介と挨拶をする。

どうやら本当に王族のペットという役職?はなるのが難しいらしい。俺はお城に預けて貰う条件として半場強制的に王族のペットにさせられたんだが。



「なら三番席がいいなの。人化していない騎竜でも入るスペースがある席なの。」

「ならそこにするか。ライナ、三番席に行くぞ。」


ドラ嬢のコッコネさんにに案内され。オールナイトの店内にある三番席へと座る。確かに円形のどデカイテーブルとノーマル種サイズでも座れる大きなソファーがテーブルを囲むように設置されていた。


「それじゃ、お酒を用意するなの。指名したい子いるなの?。」

「俺は当然オールナイトナンバー2であるコッコネ一筋だよ。それ以外は絶対指名しない!。」


ジョーの渋い角をはやした優男の姿をした口がキッパリと断言する。


「ありがとうなの。ジョー。嬉しいのなの。」


ドラ嬢のコッコネは嬉しそうに愛嬌ある顔の頬が微かに染まる。

ジョーとコッコネさんってもしかして付き合っているのだろうか?。何処とく二人(二匹)の間に甘い空気が流れているような気もする。


「あ、イリオナちゃんとカトレイヌちゃんが空いたみたいなの。」

「ウッホ~!オールナイトで人気ナンバー1とナンバー3の相席になれるなんて感激‼️。」


ツルン、ベロン、ゴロンは歓喜する。


「今日はついてるぞ。ライナ。オールナイトで人気ナンバー1の嬢王竜イリオナちゃんとナンバー2の美華竜カトレイヌちゃんに相席で酒をついで貰えるんだぞ。」

ギャ······

(ん、まあ····。)


俺は曖昧に返事を返す。

でも正体は竜なんだよなあ。ただボインであるならばその小さなことは気にしない。

俺は背中に胸を押し付けて貰えるならば全然種族なんて気にしないのだ。

て、そう言えばキャバっておさわり禁止だったよなあ。背中におっぱい押し付けて貰えるだろうか?。

そんな煩悩丸出しの願望を俺は考える。


「お酒御待ちしましたなの。」

「「「待ってましたーーーー!。」」」


コッコネとともに角を生やしきらびかなドレスを着飾った二人のドラ嬢がトレイの上に高そうな酒瓶を乗せて現れる。

酒と旨そうな酒のつまみが三番席のテーブルに並べられる。


「さあ!じゃんじゃん食ってくれ!。俺の驕りだ。」

ギャギャア····

(あ、ああ······)


俺は三番席にテーブルに並べたご馳走を口にする。

どれも上手く竜の口にあう。

竜専用の料理なのだろうか?。一般の人間の用意する料理とは一味違うような気がする。

魚料理も肉料理も野菜料理もどれも上手く。それにとびっきり酒にあう。


「どうもお酒つぎますね。」

ギャ···ギャア

(ああ···どうも。)


綺麗なドラ嬢が俺の空になったガラスのコップにお酒を注いでくれる。

確かドラ嬢ナンバー1の嬢王竜イリオナさんだったかなあ?。華やかなドレスからでんと見事なまでの谷間がみえる。人化が仮の姿でもう~ん堪らん。


「建国記念杯を見ましたよ。なかなか凄かったですね。」

ギャアラギャアギャ?

(ええ、そうですか?。自分は何も活躍していないとおもいますけど。)


この建国記念杯の話題に関して触れたくない。何せかなり女性陣達から白い目というか氷のめでみられているからである。


「私は応援しますよ。王都ではノーマル種の印象はあまり宜しくありませんけど。私は貴方のレース応援してますから。」

ギャアラギャアギャア

(ありがとうございます。)



なんかとてもいい人ではなくいい竜だなあ。色々学園内の騎竜からも毛嫌いされているのに嬢王竜イリオナさんを天使に見えてくる。


「あ、ずるい!イリオナ。私もノーマル種を話したい!。」


角を生やすグラマー系の容姿をしたドラ嬢ナンバー2である美華竜カレイヌが輪に入ってくる。


「おい!ズルいぞ!。ライナ。ドラ嬢ナンバー1とナンバー3に囲まれて!。」

「そうだ!そうだ!。」


ツルンとベロンは俺に野次を飛ばす。

そう言われてもなあ。

なんか俺、人間の女性よりも竜のメスにモテるような気がする。

いや、オスの竜なんだから当たり前なんだが。

何か複雑だ······


俺とジョーとツルン、ベロン、ゴロン、は綺麗なドラ嬢に囲まれ。有頂天に酔う。

まだまだ長い夜になりそうである。

まさにオールナイトである。



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