第214話 新たな決意

    バザルニス神竜帝国大学

       専用詰問室



「何か申し開きすることはありますか?。ベローゼ・アルバーニャ。」


ベローゼ・アルバーニャと武羅鬼竜、我怒羅は大学内の法廷のような大きなホールにいた。一人一匹を責めるように6騎特待生と担当教師、学園長がそれぞれ高めの段差の席に座っている。更に高い段差の更に上の土台にはあぐらをかき。くつろぐ人化していない騎竜が鎮座している。鎮座する竜の隣には美しい白髪と白い瞳をした令嬢ロファーシア・ミリアネルが傍に付いており。この竜の騎竜乗りの主人というよりはまるで使用人かのように己の騎竜に振る舞っている。


『ロファーシア。僕お菓子食べたい。』

「はい、今、用意しますね。」


ニッコリと作り笑みを浮かべ。ロファーシアはミリアネル家のお抱えメイド(人間ではなく何故か人化している騎竜)に頼まれたことを依頼する。

詰問室内に漂う緊迫したぴりぴり感の空気などお構い無く。鎮座する騎竜はくつろいでいる。


ベローゼ・アルバーニャはまるで罪人か犯罪者かのように段差が低い机前に立っていた。隣には不貞腐れ気味の武羅鬼竜がいる。後ろに付き添った一年後輩二人が控えるように立っている。


「ないな·····。」


ベローゼは悪びれる様子もなく返事を返す。


「6騎特待生であろうものが。校則を破り。他の大陸に勝手に渡りレースし。しかも敗北して帰ってくるなどと。6騎特待生として恥をしりなさい!。」


6騎特待生担当教師はベローゼ・アルバーニャを激しく叱咤する。

難しげに沈黙続けていたバザルニス神竜帝国大学、学園長バーサラは重い口を開く。


「ベローゼ・アルバーニャ。貴女ほど実力を持った騎竜乗りがそう易々と敗ける筈がありません。相手はだれですか?。どのようなレースでしたか?。」


バーサラ学園長は物静かな口調ではあるが。言葉の節々に鋭いトゲが刻まれていた。老いた瞳の奥底では元騎竜乗りとして培った鋭い眼光を放っている。横暴で大雑把なベローゼでもそのバーサラ学園長の年期の入った威圧感気迫に気圧されそうになる。


「出場したのは風車杯だ。スリーマンセルで風が吹きすさむ障害レースだ。敗北した相手は風姫のチームだ。」

「風姫?、アルビナス騎竜女学園に在籍するセラン・マカダインですか?。確か風姫の騎竜はエレメント種の疾風竜でしたね。確かに風が吹きすさむレースコースであるならば。エレメント種の風竜族にとって地の利も生かされ。有利に進みますが。貴女の相棒である武羅鬼竜の能力をもってすれば。遅れをとるとはおもえませんが?。」


6騎特待生担当教師も困惑する。


『違うぞ。風姫に敗けたのではない。風姫の連れに敗けたんだ。』


武羅鬼竜は割り込むように口を出す。


「連れ?。まさかシャルローゼ・シャンゼリゼですか?。確かに彼女と絶帝竜のペアと一緒ならば敗ける可能性もあるやもしれませんが。」


バーサラ学園長は顎に手をあて考え込む。


『シャルローゼ・シャンゼリゼは出場していない。見なれない騎竜乗りと騎竜にやられたんだ。』

「見なれない騎竜と騎竜乗り?。」

『ああ、アルビナス騎竜女学園と二年の間に目撃していないということは新入生だろう。』

「一年の騎竜乗りと騎竜に敗けたというのですか?。あり得ない····。」


6騎特待生担当教師は動揺する。

有数精鋭で塗り固められバザルニス神竜帝国大学の6騎特待生がたかたかだか新入生に敗北するなどあってはならないことである。


「その騎竜が武羅鬼竜以上のレア種であるならば可能性はあるでしょう。未熟な一年でも能力を優れた竜(ドラゴン)を使役していれば或いは。で、その一年の騎竜はどのような竜種を使役していましたか。明確に答えなさい。」


バーサラ学園長はきつく問い詰める。アルビナス騎竜女学園の一年に優秀なレア種を騎竜にする一年が入ったとならば悠々しき事態である。無情に勝つような竜種はいないだろうが。それでも懸念すべき事柄は把握すべきであろう。


「連れの一年の騎竜はエレメント種の地土竜。そしてノーマル種だ。」

「ノーマル種って!?。ノーマル種がいるチームに敗けたのかよ。わっ、だっさ!。」


ギロッ!

武羅鬼竜、我怒羅は冷やかした六騎特待生の一人。悪童の異名を持つマルケ・ロゼスタにひとにらみのがんを放つ。。


「お~、怖っ」


マルケは小さな手をそっと口元に手をあておとぼける。


「地土竜にノーマル種?。ふざけているのですか!。どちらの竜種として能力は低く。貴女の武羅鬼竜には遠く及ばないではありませんか。ふさげるのも大概にしなさい!。」

「いいえ、バーサラ学園長これは事実ですよ。」


スッ割り込むようにメレン・ミラソースが前に出る。

バーサラ学園長の眉間が怪訝に寄る。

話に割り込んだのは神竜聖導教会では神童とも言われたメラン・ミラソースである。


「どういうことですか?。貴女までその様な世迷い言を言うのですか。」

「いいえ、竜(ドラゴン)ではなく。騎竜乗りを確認した方が宜しいかと。」

「竜ではなく騎竜乗りですか。なるほど。確かに騎竜よりも騎竜乗りが優れているという話もなくはありませんが。しかし矢張騎竜乗りが優れても所有する騎竜によっては力の差やレースの勝敗が決まるものです。」


騎竜乗りの能力が高くても結局のところ騎竜の力や能力、竜種によってレースの勝敗は決まる。例え乗竜する騎竜乗りの戦闘能力が優れていても。騎竜が底辺レベルの力しかなければ優秀な騎竜乗りは簡単に敗北するのである。大学内では熱心に騎竜乗りの英才的な教育を施してはいるが。それでもレースは騎竜の竜種によって勝敗が決まると確信している。でなければこの大学内に7大貴族のミリアネル家に頼み込み。5年も在籍してもらっている無情の最強説など生まれなかったのである。故にバーサラ学園長はレースの勝敗は竜種で決まると腹の底から思っていた。


「地土竜やノーマル種に騎乗する騎竜乗りがただの騎竜乗りではなかったらどうでしょうか?。」

「ただの騎竜乗りではない?。何が言いたいのですか?。メレン・ミラソース。」


メレン・ミラソースの煮え切らない言葉にバーサラ学園長はイラつきを覚える。


「メレン・ミラソース。はっきりと言いなさい!。その地土竜かノーマル種の騎竜乗りがただ者ではないならさっさとその名を口にだしなさい!。」


6騎特待生の担当教師はこれ以上バーサラ学園長の堪忍袋の尾が切れさせないようにとメレン・ミラソースに騎竜乗りの名を急かす。

メレン・ミラソースはゆっくりと静かに口を開き名をあげる。


「地土竜の乗り手はアーニャ・ハウンデル。そしてノーマル種の乗り手はアイシャ・マーヴェラスです。」

「マーヴェラスですって?。」


マーヴェラスの名に七大貴族であるロファーシア・ミリアネルが反応する。


「アイシャ・マーヴェラス·····。マーヴェラス家······救世の騎竜乗り····。まさかっ!?」


バーサラ学園長はハッ我に返ると一気に青ざめる。


「メレン・ミラソース!!。アイシャ・マーヴェラスという令嬢生徒の騎竜は本当にノーマル種なのですか!?。」


唯一無情を倒す可能性のある竜(ドラゴン)。最強の竜種、白銀竜よりも更に上位の神の領域に位置する万物を超越した伝説の竜、神足る竜。もしマーヴェラス家の血筋が神足る竜を従えアルビナス騎竜女学園に入学したならそれは悠々しき事態、脅威でしかない。救世の騎竜乗りの再来などあって欲しくはない。もしアイシャ・マーヴェラスという令嬢の騎竜が神足る竜なのであれば何としてでも我が大学に取り込まなくてはならない。バザルニス神竜帝国の皇帝も神足る竜を欲していた。神足る竜の保護を7大貴族とシャンゼベルグ王家に一任されていることに不服を感じていたからである。神足る竜は人類にとって全世界共通の救いをもたらす竜である。たった貴族のマーヴェラス家だけに所有すべきでないとバザルニス神竜帝国の現皇帝のお考えである。しかしそれは致し方ないことである。神足る竜はマーヴェラス家のものでしかな靡かない。何故ならマーヴェラス家は救世の騎竜乗りの血筋だからである。これは覆しようもない事実である。されどマーヴェラス家がバザルニス神竜帝国大学に入学することは禁止されてはいない。そこをつけこめばマーヴェラス家の救世の騎竜乗りの血筋と伝説の神足る竜、両方を手にすることができるのである。現皇帝も満足するに違いない。だがアルビナス騎竜女学園に在籍しているなら何としてでも引きはなさなくてはならない。三校祭で開催される三校対抗レースに我が大学最強の無情でも勝ち目はなくなるからである。

バーサラ学園長は焦りを覚える。


「いえ、神足る竜ではありません。普通のノーマル種です!。」


メレン・ミラソースの言葉にバーサラ学園長は眉間に紫波を寄せる。本当にアイシャ・マーヴェラスの騎竜がノーマル種なのか。今の段階で判断できないからだ。アイシャ・マーヴェラスの騎竜がノーマル種であるならば捨て置けばよい。無情の脅威にはならない。だがもしアイシャ・マーヴェラスの騎竜が神足る竜の可能性があるならば何としてでも手にいれなくてはならない。アルビナス騎竜女学園に勝利をもたらさないためにも。昔からのライバルだった今は学園長をやっている忌々しい狂姫、ラチェット・メルクライに何びと足りとも勝利の美酒など与えさせてやるものか。


「メレン・ミラソース。貴女の言葉だけでは判断しかねます。ここは確たる状況証拠調査が必要です。」

「と、言いますと?。」


メレン・ミラソースはこの話の流れに変わることを予測していたようでわざとらしく返事を返す。


「他校との合同合宿訓練の受けましょう。ただし、我が大学の手の打ちを全て見せるわけにはいきません。最小限の少数に止めます。」

「なら私達が行こう!。」

『他校と合同訓練なら強い奴がわんさかいそうで楽しみだな。』


ベローゼと武羅鬼竜、我怒羅はがんぜんやる気全開で参加する気満々である。

全く反省の色がない一人一匹を垣間見てバーサラ学園長ら冷めた眼差しで睨む。


「貴方達は暫く謹慎処分です。」

「なっ!。」『なっ!。』


ガガッーーン!!


一人一匹揃って顔面蒼白したまま固まる。


「当然でしょう。校則破って勝手に大陸渡ってレースに出場したのですから。罰則がないとおおもいですか?。」


バーサラ学園長の辛辣な宣言に一人一匹は揃って肩を落とす。


「さて、誰を派遣させましょうか?。無情を出させるわけにいきませんが。」


バーサラ学園長は思考を巡らし考え込む。6騎特待生ではない生徒を寄越すという手もあるが。神足る竜を判別するのには未熟な騎竜乗りと騎竜では役不足である。なるべくこれからくる三校祭のレースに支障をきたさないメンバーがベストである。


「バーサラ学園長。提案ですが。私達はどうでしょう?。」


合同合宿訓練にメレン・ミラソースが手をあげる。

バーサラ学園長はそんな彼女を怪訝そうに眉を寄せる。


「貴方も謹慎処分対象なのを解りますか?メレン・ミラソース。ベローゼ・アルバーニャに拐かされとはいえ。校則を破り大陸を渡り勝手にレースをしたことを私は許した覚えはありませんよ。」

「解っております。しかし訓練先である中央大陸は我が神竜聖導教会のもう一つの本拠地でもあります。私達ならそれなりに動きやすいとかと思いますが?。」


メレンの言葉にバーサラ学園長は考え込む。

確かに神竜聖導教会である二人なら王都でも動きやすいが······ただ······。


··························


「解りました。王都に派遣するのは貴女達二人を任命しましょう。ただし神竜聖導教会に情報を漏らさないように。特にアイシャ・マーヴェラスという生徒と騎竜の情報は。」


神竜聖導教会にアイシャ・マーヴェラスの情報、特に神足る竜であった場合の情報は知られる訳にはいかない。メレン・ミラソースのアイシャ・マーヴェラスの騎竜はノーマル種だという情報の確証はまだない。確証がない以上神竜聖導教会にこの情報を知られる訳にはいかないのだ。

それに約束はしたが。二人は神竜聖導教会の信徒である。口外しないというが。信用できない。二人のお目付け役としても他の情報収集要員は必要である。


「カシャラ・ミスマーチ。行ってくれますか?」

「え?私?。やったあーー♥️。丁度王都のショッピングしたかったのよねえ♥️。」

「遊びに行く訳じゃありませんよ!。」


バーサラ学園長ははあっと深いため息を吐く。


「後、ロファーシア・ミリアネル。」

「何でしょうか?。」


突然バーサラ学園長の話を向けられ。ロファーシアは戸惑う。


「貴女の妹も合同合宿訓練に参加させますが。問題ありませんか?。」

「はい、大丈夫です。ですが何故妹を?。」

「7大貴族であるならば神足る竜に詳しい筈です。確かめるのに一人でも多い方がいいでしょう。それに貴女の妹、スメリフ・ミリアネルは知られても構わない戦力ですし」

「そうですか······。」


6騎特待生として不出来な妹に学園長が戦力外通知され。姉であるロファーシア・ミリアネルは気を落とし哀しくなる。


カタカタカタ


「た、只今用意致しました。」


メイド姿の騎竜がお菓子が置かれたトレイを震える手で持ってくる。お菓子を依頼した竜を心から怖れているようで恐怖に耐えながれも運んでくる。

数メートル段々に台座の近づくにつれ。それが起こった。


「あっ!?。」


ガッシャン!


騎竜のメイドは足がもつれ。用意したお菓子の添えたトレイが床に落ちる。それと同時にトレイの上に添えられたお菓子も地べたぶちまける、

一瞬にしてその状況にその場にいた6騎特待生が凍りつく。教師、学園長に静寂が包まれる。


「も、申し訳ありません!。い、今すぐ用意致します。」


お菓子の置かれたトレイをぶちまけてしまう。メイド姿の騎竜は急いで片付けようとする。

台座に上に鎮座していた竜が瞳孔が冷たく縮む。


ビッ キィーーーーーン!!


突然金属のワイヤーが引き千切れるような音がホール内に響く。


「ゼピロス!?。」


ロファーシアの叫びにトレイを片付けを起き上がる人化の騎竜のメイドの首もとに一本の線が引かれる。線が引かれた空間空間の間に数㎜ズレか生じる。その瞬間メイドの首が離れた。


スッ パぁーーン!


ぶしゅううううううう

ドサッ ゴロゴロゴロ


血しぶきがあがり。メイド姿の騎竜と思われる生首が無惨に床へと転げ落ちる。

ドサッ

首がすっぱり切られ。メイド姿の騎竜とおもわれる胴体だけ残された身体は床に崩れ落ちる。


「何てことを·······。」


ロファーシアは目の前の惨劇に青ざめ悲嘆する。


『僕のお菓子を台無しにしたんだよ。当然の報いだよ。』


台座上に鎮座するゼピロスという名の竜は悪意も殺意も無く。ただ無情にその言葉を告げる。


「あ~あ。殺しちゃったよ·····。」


6騎特待生の悪童のマルケは床に転がった人化のままの騎竜の死体を嫌そうに眺める。

ベローゼは舌打ちし。我怒羅は不快に竜口が黙りこむ。6騎特待生全員は惨状を引き起こし平気な顔を晒す竜に寒気を覚える。


「はあ~、またですか。次はちゃんと粗相のない騎竜のメイドを用意しなくては。」


バーサラ学園長はこれがいつものことのようで毎度ため息を吐く。平気で残虐な行為をする竜を誰も咎めるものはいなかった。バザルニス神竜大学の最強の竜だからこそ許された行為である。この異常性に異議を唱える者は誰一人。否、誰もできなかった。

首を切り落とししてしまった無情、ゼピロスという竜はいつも通りに主人であるロファーシアに甘えるようにお願いを続ける。


       来客用竜舎


ギャアラギャガアギャ ギャアラギャガアギャア

(今日もきつかったな。レッドモンドさんのしごき。)


レッドモンドさんから竜牙列破掌と発気を覚えるためにしごかれている。他校との合同合宿訓練ためにもしごきというなの身体を鍛えさせて貰っている。合同合宿訓練の日までには技はだいたいマスターして間に合いそうである。でも身体はくたくたである。腕、脚首などほぼ筋肉痛である。

うう、寝るとき辛いんだよなあ~。

ここにカーラさんがいなくて本当に良かったと思うよ。絶対筋肉痛のところをつんつんして反応を楽しむに違いない。


うう····うううう······

俺は唸りながら藁の寝床に身体を預ける。


「ライナ、いる?。」


アイシャお嬢様の声が聞こえた。アイシャお嬢様も俺と同じでレッドモンドさんの主人である学園長にブーメランの扱い方と秘技を伝授してもらっている。レッドモンドさんいわく学園長の方がもっときついらしい。


ギャアラギャ ギャアラギャガアギャアラギャ?

(起きてますよ。アイシャお嬢様。)


学園長にどんなしごきを受けているか俺は知らない。狂姫と呼ばれる人だからきっと俺には想像できないくらい過酷なのだろう。


アイシャお嬢様が竜舎に姿を表す。しかしアイシャお嬢様は俺より俺以上にボロボロだった。至るところに切り傷擦り傷があり。両手も指の先まで包帯が巻かれており。まるでボンデージだった。俺はレッドモンドさんより狂姫である学園長の方がしごきがきつい理由を理解した。


ギャアラギャ?ギャアラギャガア

(だ、大丈夫なんですか?。アイシャお嬢様。)


俺は心配になって声をかける。


「うん、色々痛いところがあるけれど。強くなるためだから。私我慢する!。」


アイシャお嬢様はとびっきりの笑顔で返事を返す。


ギャアラギャガアギャアラギャ

(あまり無茶しないで下さいね。)


アイシャお嬢様は無茶をするところがある。俺としてははらはらする。


「大丈夫。私頑張るから!。」


アイシャお嬢様は微笑を浮かべる。


「ライナ。もうすぐ王都での合同合宿だね。」

ギャアラギャ

(そうですね。)

「王都ってどんなところかな?。私初めてなんだけど。」

ギャアラギャガアギャアラギャガアギャアラギャガアギャアラギャ?

(王都というのですから王様と王女様がいるんじゃないんですか?。)


王都はここからしてみれば数倍都会だろう。


「ライナ。あれから色々あったね。」


ギャアラギャガアギャアギャアガアギャアラギャ

(そうですね。色々ありすぎて疲れましたけど。)


学園最強と世界最強に敗北し。ドラゴンウィークの連休には銀晶竜ソーラさんと出逢い。レースに出場して炎竜の婚約騒動や人魚族のお家騒動に巻き込まれ。ソーラさんの最期に銀氷の精霊を受け継ぎ。成金貴族の集まる趣味の悪いレースに出場されたり。マーガレットお嬢様の性癖が悪化したり。風の吹きすさむレースでは6騎特待生の帝国の精鋭の騎竜乗りと騎竜に苦戦しながらも何とか勝てたり。ほんと密度があり過ぎる日々だった···············。

はあ····何だか疲れてきた·······。


ほぼ激戦のような日常だった気がする。

あまり本当に休んでない気がする。

今度の王都の他校との合同合宿は少しは落ち着けるかなあ~?。いやそもそも合同合宿だから更に過酷になる未来しか浮かばないのだが。



「ライナ。私、中央大陸の他校の生徒にも敗けないように強くなるね。」


アイシャはニッコリと微笑む。


ギャアラギャガアギャアラギャ

(その意気です。アイシャお嬢様。)


未熟な騎竜乗りと平凡な竜は新たな大陸の地へと夢を追う。


     スフィアマナン編 完

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