第135話 逃げるは勝ち
『おおっと!最後尾にいたノーマル種が物凄い勢いでいきなり先頭にいた結殻竜の前に飛び出し。結殻竜と並んだぞおおーー!!。』
わーーーーー!!わーーーーー!!
『何っに!?。』
前に突然飛びしたノーマル種は結殻竜の横に並ぶ。ニョキといきなり現れたノーマル種に結殻竜リストラは絶句し。次の対応に遅れる。
「どういうこと!?。何で最後尾にいたノーマル種がいきなり隣にいるの!?。」
後尾でもそれなりに離れていた。リストラの結殻竜の能力、加速形態により。更に遠くに突き放しした筈なのだ。それなのに隣に既に並ぶように現れたノーマル種にサブリナは何が何やら理解出来なかった。
「ライナ、どうやら先頭に追い付いたみたいね。」
ギャアラギャアギャアガアガアギャアラギャアギャアガアガアギャアギャアラギャアギャアガギャア
「そうですね。あれ?隣にいる騎竜は確か人化が鱗肌をさらすエロい格好していた騎竜
のお姉さん。」
人化したままでも竜の名残を残す姿にはっきりと印象に残っている。
前とだいぶん印象が違うような····、
『くっ、矢張お前が私の天敵のようだな。』
リストラの竜のくちばしが苦渋に軋む。
『いいだろう。ノーマル種ここで決着着けようか!。』
リストラは激しい竜の雄叫びを上げる。
『変殻!!。』
パン!パン!パン!
リストラの体を覆う殻再び離れ。周囲をぐるぐる回る。
ガシッ!ガシッ!ガシッ!ガシッ!
飛び回る殻が腕、脚、胴体、頭部、尻尾、それぞれに接着する。
『変殻完了!!。アタックラッシュフォーム(攻撃特化形態)』
リストラの容姿が甲殻を覆う武装したような格好へと変貌する。
何それ?変形ロボみたいカッケえーー!。
俺は体のパーツがドッキングするように姿を変えたリストラに歓喜する。
変形ロボのように変身した姿に俺は好奇な眼差しを向ける。
『パワードラッシュ(豪力の連打)』
ギャギャア!
「おわっと!。」
ドお!ドお!ドお!ドお!ドお!ドおお!!!
甲殻が武装した姿でリストラは素手や尻尾や脚を使い肉弾戦のラッシュを加える。
俺はすれすれに避けてかわす。
師であるレッドモンドさんから接近の肉弾戦を教わっていた。
ギャヤあああーー!!
「竜波掌!!」
俺は右の竜の素手から気の衝撃破を放つ。
ドオオオオオ~!!
竜波掌の衝撃破が竜の胴体に直撃し。リストラの甲殻の武装に響く。
『くっ、遠くで確認していたが。矢張おかしな技を使うな。魔法でもないスキルでもない。ならば。』
リストラは再び瞑想する。
『変殻!!。』
パン!パン!パン!
体を覆うリストラの殻が再び離れ。周囲を飛び回り再びリストラの体に接着する。
ガシッ!ガシッ!ガシッ!ガシッ!
頭部と肩から胴体まで覆うように接着された。
『変殻完了!!ディフェンスアーマーフォーム(完全防御形態)!。』
アルマジロを思わせる甲殻をリストラが身に纏う。
ギャアあああーー!!
「竜破掌!!」
ドギャん !
アルマジロのような硬い殻に竜破掌が弾かれる。
ギャ!ギャラギャガアガギャラギャアギャア
「くっ!硬い。まるで絶帝竜並みの硬さだ。」
俺は気を練り直し精霊を呼ぶ呼吸を行う。
ごおおおお~はあああ~~~
ギャアあああーー!!
「竜炎掌!!。」
ボオオオオオオオーーー!!!
アーチの炎をうならせ。
炎はそのままリストラの甲殻に触れる。
ボオオオオ!!
リストラの体に炎が燃え移り。炎が殻の体から燃え上がっていたが。熱さに耐えるような素振りをみせていない。
効いていないのか?。ならば他の精霊で。
俺は水の呼吸を行う。
すぅ~~はぁ~~~~~
真下は運河で余すほどの多量の水がながれている。
水の粒子が真下の運河に集まる。
ギャあああーー!!
「竜水掌!!」
ドっパーーーーーん!!
真下の運河から水柱ができそのままリストラの甲殻の体にぶつける。
ドドドドドド ドッパーーッ!!
水柱の水がリストラを襲うがリストラは水に押し流されることもなく弾かれる。
『無駄だ。この形態であれば例え精霊が放つ炎や水、風さえも容易く退けることができる。』
こいつ、絶帝竜並みの防御力を誇るのか?。
俺の竜顔が凍りついたように絶句する。
いや、明確には形態によって変化するということか。
あの覆われた鎧のような甲殻が変形することで能力が攻撃かスピードか防御かに区分けされるということか。
まともに戦ったら埒があかない。
戦闘に持ち込むと確実に長期戦になる。
後方には追い抜いた騎竜と騎竜乗り達ももう来ている。鉢合わせすれば確実に乱戦になる。そうなれば更に部が悪くなる。
・・・・・・・
『どうしたノーマル種?。我らはお前と戦うことを決めた。お前を私の天敵とみなしたのだ。誇りに思ってもいい。私は結殻竜、偉大なる竜にして殻を纏いし変容の竜(ドラゴン)。』
リストラは決めポーズをする。
背に騎乗する騎竜乗りの甲冑の女性は何故か恥ずかしそうにしていた。
ギャアラギャアギャアガギャアギャアラギャアギャアガギャアギャアラギャアギャアガギャアギャ
「アイシャお嬢様。このままだと長期戦になります。後方からも騎竜と騎竜乗り達がもう来ています」
「そうなの?。どうするのライナ。私は他の騎竜乗り達とも戦う覚悟よ。」
アイシャお嬢様は小さなガッツポーズをする。
アイシャお嬢様は騎竜乗り同士の戦いにまだ慣れていない。このレースに出場している
騎竜乗りの令嬢は庶民から貴族まで這い上がった実力者揃いのベテランの騎竜乗りだ。まともに戦えば不利になるのは目に見えている。尚且つ形態まで変える騎竜と騎竜乗りとも戦うのだ。乱戦は避けたい。
ならば俺のとれる行動はたった一つ。
ギャアガギャアギャアラギャアギャアガギャアギャアラギャアギャアガギャアギャア
「アイシャお嬢様。Boin走行をお願いします。俺は逃げに徹してゴールを目指します。」
相手が形態を変えることに能力を発揮するのなら。逃げに徹してゴールを目指すのが得策。もしスピード特化の形態に変形するなら攻撃を加えながらゴールを目指せばいい。攻撃、防御、速さに特化した形態に変わるというならそれ以外の能力は弱体化するということだ。勝ち目は充分にある。
「解った。ライナがそう言なら私はBoin走行で逃げに力を費やすね。」
ギャアラギャ
「お願いします。」
アイシャお嬢様は身を低くする。
アイシャお嬢様の豊かな発育良い2つの膨らみが背中は触れる。
むにゅう♥️
『どうした?来ないのか?。』
結殻竜リストラが攻撃を仕掛けてこないのは形態を防御に特化しているからだ。だから今攻撃仕掛けないことは確信していた。
「リストラ、もしかして攻撃仕掛けてこないのかしら。」
『ふん、ならばサブリナ。あのノーマル種の娘に攻撃を加えよ。見たところまだ半人前のようだな。お前の実力なら容易退けられるだろう。』
結殻竜リストラはふっと笑みを浮かべる。
「はあ~、あの娘、まだ若いし。弱いもの苛めはちょっと·····。」
甲冑を着用する令嬢は遠慮がちに眉をよせる。
これで確定した。ここは逃げに徹するのが正解だ。あの結殻竜の乗り手の令嬢も相当な実力者だ。結殻竜に対して突破口のない俺にアイシャお嬢様を守る術もない。
俺は集気法を行い大気から黄色の粒子集める。
すりすりすりすりすり
アイシャお嬢様の体が左右に揺すり始める。
2つの膨らみが鱗肌に満遍なく擦れる
「ちょ、ちょっと、リストラ、あの娘何しているのかしら?。」
アイシャお嬢様の行いにサブリナは動揺したように狼狽える。
『気をつけよ!サブリナ。何かくるぞ!。』
結殻竜リストラとサブリナはライナ達の行為に警戒し身構える。
すりすりすりすりすり
キタァ!キタァ!キタァ!キタァ!
漲ってキッタァーーーーーーー!!
俺は熱情と激情と劣情の竜の雄叫びが唸る。
翼をありったけ広げ猛スピードで飛び立つ。
ひゅん!!
ギャアあああーーーーーーーーーーー!!
(オパパイーヨ‼️オパパイーヨ‼️オパパイーヨ‼️オパパイーヨ‼️オパパイーヨ‼️オパパイーヨ‼️オパパイーヨ‼️オパパイーヨ‼️オパパイーヨ‼️オパパイーヨ‼️オパパイーヨ‼️オパパイーヨ‼️オパパイーヨ‼️オパパイーヨ‼️)
ライナは奇声とも呼べる意味不明な竜語を連呼し。結殻竜竜リストラとリストラに乗るサブリナをそのまま追い越し。ゴール目指しして猛スピードで突き進む。
・・・・・・・・・・・・・
暫くぽか~んと呆け。状況を掴めなかった一匹と一人だったが。数秒経って直ぐに我にかえる。
『まっ、待ってえーー!。ノーマル種!!。』
甲冑の令嬢と甲殻の竜は奇声を発しながら意味不明な言葉を残して飛び去ったノーマル種の後を追う。
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