第113話 膨らみで充分

「ノーマル種、ルルクルリお前気に入った。いつか村に遊び来るといい。村は西方大陸のロポポ村というところだ。」

ジジジジ


強豪の騎竜乗りの一人である小人族と草虫竜マームはロリ杯レース会場で別れの挨拶をする。すこぶる好印象であるのはノーマル種でありながらも強く。精霊も使役し精霊歌も唄えたことが要因のようである。小人族にとっても精霊歌は特別なものらしい。


ギャガアギャ

「機会があれば。」


『それでは私達もエルフの森に帰ります。』


妖精竜とマティとロリエルフのシャルウィも故郷の森に帰るらしい。


「どうかリストルアネーゼ様には私達のことを本当にご内緒にお願いします。本当に本当にお願いします!。」


何度も念を押すようにしつこくシャルウィは俺に強く懇願してくる。

シャルウィは地面に土下座しておでこが擦りつけてお願いしたことにより。おでこが真っ赤に腫れあがっていた。

大丈夫かよ。


ギャギャアラギャアガアギャアラギャ

「わ、解りましたから。話しませんから。」


正直あまりにもしつこく口止めしようするロリエルフのシャルウィの行為にに俺はかなりドン引きしてしまう。


「シャービト族の村にも遊びに来るといいルル。ルゥ様の恩人は歓迎するルル。シャービト族の村は東方大陸にある神精樹の森にあるルル。」

ギャギャア?

「神精樹?。」


『東方大陸の大森林の奥深くにある世界樹です。救世時代前からあると言われています。私達のことをルゥ様に宜しくと伝えおいてください。いつまでもルゥ様をお帰りをお待ち望んでいますと。』


清水竜アクラはヒレをぴくぴくさせ頼む。


ギャアギャア

「解りました。」


三人の強豪騎竜乗りと騎竜の別れの挨拶をすませ俺達も身支度を始める。


「アキナイ・マカランティーヌ。良かったら一位の優勝賞品の金の鯱あげるわ。私はいらないから。」

「ほんまに?。おおきに。」


アキナイは手を合わせ感謝する。


「無料ではないわよ。取引よ。商いなんだからそれくらい常識でしょ。ただほど安いものはないというのが貴女の常等文句でしょうに。」

「ホホ、でしたら西方大陸の農場土地まるごと差し上げますわ。」

「·······。」


アキナイの言葉にパトリシアお嬢様の小さな唇をひきつかせる。


「貴女の金銭感覚おかしくない?。何故金の鯱が西方大陸の農場まるごとの土地になるのよ。どうみても天秤にはかけてもおかしいでしょうに。」

「パトリシアはなんもわかっておりませんなあ~。私達西方大陸の商いにとって縁起物の品は土地よりも重要なのですよ。数々の縁起物の品を持ってるか持ってないかでは西方大陸にとって商いの底が知れてしまう。故にわてらは縁起物の品を土地よりも重要視するのですわ。」


アキナイは時は金なりのついた扇子を優雅に扇ぐ。


「ふ~ん私にとって理解できない価値観ね。」


パトリシアは素っ気ない態度をとる。


「アイシャ様、ライナ様、この度まことにありがとうございます。」


黒眼竜ナーティアの曲がりくねった角のついたカチューシャの頭が丁寧に下がる。


「いいえ、私は別にライナが頑張りましたから。」

ギャアギャアガアギャアラギャアガアギャアラギャアギャアラギャア

「気にしないでください。レェンドラの報酬もちゃんと貰っていますし。」

「でも、ライナ様のお願いがまだです。」


そう言えばナーティアが見返りに何が俺にして欲しいかと聞かれたっけ。当然俺は背中に人化したまま抱きついて欲しいと頼んだけど。メス竜はプライド高いから無理かなあと思われたがナーティアは快く引き受けてくれた。


「そう言えばナーティアはライナと約束していたわよね?。」

「はい、背中に抱きついて欲しいと。」


パトリシアの小さなパープルの眉が寄せる。


「相変わらず本当に変わったノーマル種ね。ナーティアは私からしても美人なメス竜よ。関係を持つんじゃなくて背中に抱きついて欲しだけなんて。」


パトリシアとしては自分の騎竜であるナーティアとノーマル種ライナが関係を持つことのほうがメリットがある。マーヴェラス家や精霊を使役するノーマル種と繋がり持つことはハーディル家にとってとっても利益になるからだ。


「何ですや?。ノーマル種のライナはんは背中に抱きつかれるのがお好きなんですかい。そりゃあええ趣味しておりますなあ。私のマカランティーヌ商会に寄ればとびっきりの美人揃いが揃っております故。好きな時に背中抱きつかせて貰いますえ~。」


マジで!そりゃあエエなあ~。

俺は竜の鼻の下が伸びる。


「ちょっとアキナイ、変なモーションかけるのやめて貰える?。私達が先に目をつけたんだから。」

「何言いますやん?。早い者勝ちですわ。」


アキナイはずる賢くホホと口許に時は金なり扇子をあてる。


俺は背中翼を広げてナーティアが抱きつくのを待つ。いよいよあのヴィーナスのようにそそりたつ二つの柔らかな膨らみを味わうことができる。

俺の竜の尻尾は全開MAXリミットオーバーの如く激しく振っていた。


「それでは·····えいっ!。」


ナーティアはメイド姿の身なりを整え。礼儀正しくジャンプする。

むぅにゅううう♥️

ナーティアのメイドのエプロンから覗く2つの弾力が一気にライナの竜の背中に押し付けられる。


ギャアああーー!!ギャアああーーー!!ギャアあああ!!

「うおおおあーー!!うおおおあーー!!おおおおおお!!。」



ライナは感動で緑の竜の図体がうち震える。


ギャアギャア!!ギャアギャ!!ギャアギャ!!ギャアギャ!!

「ヴィーナス!!ヴィーナス!!ヴィーナス!!。ヴィーナス!!。」」


俺は歓喜の雄叫びを連呼する。


「ライナ、とっても嬉しそう。」


アイシャは背中に抱き着かれライナの嬉しそうに尻尾を激しく揺らす姿を笑顔で眺める。


「ほんま、このノーマル種の生態行動思考全然理解できへんわ。」


宝輝竜オワシもライナがメス竜に背中に抱きつかれて喜ぶ様を観察して。竜の視る目のスキルを用いても全然理解できない。

暫くロリ杯のレース会場内で竜言語で『ヴィーナス』という意味不明な言葉が流れたという。


       学園長室


トントン

眼鏡をかけ凛とした姿勢を保つ教頭は書類を整え戸棚におさめる。

学園長はデスクの上にある用紙の束を一枚一枚丁寧にハンコを押して束ねる。

パタパタ

ふと1羽の鳩が学園長室の外の窓枠に止まり突っつく。

学園長は気付き。窓の片側だけ開ける。

鳩は手慣れたように学園長室にはいり。羽をバタつかせ学園長のデスクの上に止まる。

学園長は鳩が着けた魔法石の首輪取ると呪文唱えると丸まった印章が刻まれた手紙が現れる。蝋の印章を切り手紙を開ける。

手紙に目を通すと学園長のしわがれた顔がぴくと硬直する。


「どうかしましたか?学園長。」


学園長の様子に教頭が声をかける。

学園長は静かに手紙を畳む。


「どうやら明日銀姫が来訪するようです。」

「銀姫?、あのシーア・メルギネットですか?。王竜騎士であり。7大貴族のメルギネット家のご息女。操竜の爵位を持つと言われている。」

「そうです。目的は多分彼女でしょう。7大貴族でメルギネット家は厳格で規律が高いところで知られています。下手なことをして首が飛ぶことだってあり得る。なるべく粗相無いようにお出迎えを致しましょう。」

「そうですね。うちらの令嬢生徒にも問題児が沢山おりますから。なるべく問題を起こさず。気分害することなく出迎えて送り出しましょう。」


学園長と教頭は来訪する銀姫の出迎えの準備を始める。


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