第112話 それ、流行ってるの?
ロリ杯を無事優勝し表彰式を終える。
「おめでとうございます。お嬢様。」
ナーティアは笑顔でロリ杯優勝を祝福する。
「ありがとう。ナーティア。貴女には随分心配かけたわね。これからは商売でもレースでも貴女と一緒に頑張ろうと思うわ。宜しくね。」
「いいえ、そんな····。」
ナーティアは初めて発した主人の感謝の言葉にナーティアの閉じた瞳が潤み。感動していた。
二人からちょっと離れた場所でアイシャお嬢様と俺はその微笑ましい様子を見守る。
「良かったね。ライナ。」
ギャア
「はい。」
取り敢えずBoin走行のことで何か言われなくて本当に良かった。
今度のレースではBoin走行のことでアイシャドお嬢様が怒ることがなくて本当に一安心である。
「それではお嬢様。私はこれから竜券を換金しますので。」
アイシャお嬢様の隣で付き添っていたカーラさんはお辞儀をする。
「うん。」
ギャアガアガギャアラギャガアギャアギャア?
「カーラさん。俺に賭けていたんですか?。」
カーラさんはこういうことをしないタイプと思っていた。確かに優勝した賞品のマンゴスチンを売り捌くような性格をしているが。賭け事のような結果が曖昧なものには手を出さないと思っていたのだ。カーラさんの性格はきっちり大金が確定したものしか手を出さないそんな性格していると思っていた。
「このロリ杯に関しては別ですよ駄竜。本来ならその騎竜の戦績や人気度で賭け金の倍率が上下するのですが。このロリ杯に関しては騎竜ではなく。その騎竜乗りの容姿で賭け金の倍率が上下するのです。アイシャお嬢様の同級生であらせられるパトリシア・ハーディル様はロリとして確かにレベルが高いのですが。胸があるゆえにロリ度ととしてマイナスが加算され。人気が低くオッズが高く賭け金が高騰したのです。ですから私はパトリシアお嬢様が乗るライナに私の給金の半分を賭けえいたのですよ。おかげさまで賭け金が100倍にもなりました。これで私の趣味に全額注ぎ込むことができます。感謝しますよ駄竜。それでは····。」
「·······。」
カーラは笑顔で優雅に会釈し。浮き足スキップしながらロリ杯の換金所へと向かう。
本当相も変わらずカーラさんである。
「ホホ、乾杯だったわ。パトリシア・ハーディル。」
時は金なりのかかれた扇子を扇ぎ。きらびやかな着物姿でアキナイ・マカランティーヌが現れる。
「それにしてはあまり落ち込んでいない様子ね。」
パトリシアは敗北したのに何も動じていないアキナイに怪訝な顔を浮かべる。
「ホホ、結構楽しめたからね。完全敗北と言うのはこんな感じなのね。」
俺達に完膚無きまで倒されたことにアキナイお嬢様は嬉しそうである。
「やっぱりそれが目的だったのね。貴女の悦楽主義に付き合ってられないわ。」
「まったくですやん。わいの身にもなって欲しいですわん。」
同意したようにアキナイの傍でボロボロの姿で角を生やした山吹色の髪の青年が頷く。どうやらあれが宝輝竜オワシの人化した姿らしい。
「ホホ、まあまあ、、かたいこと言わないの。目的はそれだけじゃないから。」
アキナイは笑顔で俺の傍にいるアイシャお嬢様にすり寄る。
「どうも私、西方の商会を取り仕切っている。アキナイ・マカランティーヌと申します。」
「ああ、私はアイシャ・マーヴェラスです。ノーマル種ライナの主人です。」
いきなり自己紹介を始めたのでアイシャお嬢様はぎこちない返事で対応する。
「マーヴェラス?。」
マーヴェラスの言葉にはっとしたようにアキナイは咄嗟にパトリシアに視線を向ける。パトリシアは何か察したように頭を振る。
「そ、そうですか····。西方大陸もレースが盛んでございます。もし機会があったら寄ってみてくだい。」
「はい!。私も他の大陸のレースに出場したいと思っていました!。機会があったら是非!。」
アイシャお嬢様は目を輝かせていた。どうやらアイシャお嬢様は他の大陸のレース出場も考えているようだ。
「コラ!、ノーマル種!。貴方ののせいでボーナス分貰い損ねたじゃないの!。どうしてくれるの!!。」
突然クレームが俺に向かって飛び交う。
アキナイとの会話が中断され。三人の強豪の騎竜乗りと騎竜が現れる。
『止めましょうよ!。八つ当たりはみっともないですよ。お嬢様。』
クレームを放つロリエルフシャルウィに妖精竜マティは静止する。妖精竜マティは妖精竜ナティとお同じで人化していなかった。
「止めないでよマティ!。こんなんじゃ腹の虫が収まらないわ!。」
ロリエルフはキィーキィーと喚く。
「あら、ちゃんと上乗せして報酬を払ったでしょ?。足りなかった?。」
アキナイはちゃんと三人の強豪の騎竜乗りに迷惑料として報酬を上乗せしていた。
「そういう問題じゃないのよ!。私のプライドの問題なのよ!。」
どうやら俺(ノーマル種)に敗北したことが癪に触るようだ。エルフのリスさんとは偉い違いである。
ギャアギャア
「シャルウィさん。」
「何よ!。気安く話しかけるじゃないわよ!。このノーマル種が!。一丁前に精霊歌を唱って精霊まで使役してふざけんじゃないわよ!。」
ロリのエルフシャルウィの罵倒の嵐が止まない。
ギャアラギャギャアギャアガアギャアギャアラギャギャアギャ!?
「精霊歌も精霊が使役できるのも妖精竜から教わったんです。エルフに知り合いおりまして。」
『そうなんですか!?。』
妖精竜マティは意外そうに竜瞳を見開く。
「はん!。妖精竜に教わった?。エルフと知り合い?。ふざけたことぬかすんじゃないわよ!。高貴なエルフがあんたみたいな下賎なノーマル種に構うわけないじゃない!。」
シャルウィは鼻でせせら笑いながら胸を張る。(ないが)
ギャアギャアラギャギャアガアガアギャアラギャガアガアギャアラギャガアガアギャアラギャ
「教わった妖精竜はナティナーティと言います。知り合いのエルフはリスさんと言うのですけど。」
「えっ!?。」
シャルウィの小さな眉がつり上がる。
『ナティと知り合いなのですか?。リスさんとはもしや?。』
ギャアラギャギャアラギャギャアガアガアギャアラギャガアガアギャアラギャギャアガアガアギャアラギャガアギャア
「リスさんは琥珀色の髪で色白で美しい方です。師であるナティさんはマティさんと同じ容姿で少し背が小さめですかね。」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!。も、もしかして?そのリスってエルフのリストルアネーゼ・ベラ・ハフファーレ・ベイスと言う名前の方かしら?。」
シャルウィは驚いたように俺に聞き返す。
ギャ ギャアラギャガアガアギャアラギャギャアガアガアギャアラギャギャア
「はい、そうですよ。よく言えますね。名前が長くて俺は覚えられないのですけど。」
「····································································································································································································································································································。」
ぴょんっ!!
突然エルフのシャルウィは見事な跳躍みせ。天高く跳び上がる。そのまま空中を舞いゆっくりと地面に落ちる。地面に膝をついたシャルウィは正座したまま手のひらを前につき出す。地べたにおでこを擦り付け。何度も上下に擦る。
ズリズリズリズリズリズリズリズリズリ
「も、ももももももうしわけありませんでしたああああああああーーーーーーーっ!!。まさか!まさか!リストルアネーゼ様のお知り合いとは露知らず!。無礼な態度とってしまい!。本当に!本当に!申し訳ありませんでしたああああああああああーーーーー!!。」
ズリズリズリズリズリズリ
ギャああーーー!?
「えええっーーーっ!?。」
あまりにもロリエルフ、シャルウィの手のひら返しに俺は呆気にとられる。
『リストルアネーゼ様は我がエルフの国の第一王女様なんです。今は使命の為に国を離れているのですけど。』
妖精竜マティが坦々とエルフの実情を説明する。
そうだったのか?。気品がありそうな気がしたけど。リスさんは本当に王女様だったらしい。
「この事はどうかリストルアネーゼ様にお内密に。もしそんなことがばれれば····。私の!····私の···首が飛びます!!。」
シャルウィは必死に涙目の形相で懇願する。
ギャギャギャアギャアラギャガアガアギャアラギャガアガアギャアラギャギャ
「またまた、リスさんはそんな過激な性格じゃありませんよ。温厚で優しい方ですよ。」
リスさんの性格上、首をはねるような残酷な真似はしない筈である。
「いえ、あの方は普段は温厚で優しい方ですが。一度怒らせると精霊が震え上がる程ほど恐ろしいのです!。私は何度も怒られているので断言できます!!」
シャルウィは真剣な真顔で告白する。
あんた、何度も怒られているのかよ····
俺は微妙な竜顔を浮かべる。
「ふふん、エルフはプライド無いルル。土下座までしてみっともないルル。シャービト族の方がプライドあるルル。」
そんな土下座するシャルウィの様子を見た小柄のシャービト族のロコは勝ち誇ったように胸を張る(ないが)。
ギャアラギャギャアラギャ?
「あんたシャービト族だよね?。」
「何だルル!?。シャービト族だからって舐めるなルル!。ノーマル種!。」
小柄のシャービト族のロコは初対面から喧嘩腰である。
ギャアギャアラギャガアガアギャアラギャギャアラギャ
「友人のシャービト族がいていつも遊んでいるんだけど。」
俺は警戒を解こうと知り合いのシャービト族の説明する。
「ふふん、何だルル。シャービト族と一緒に遊んでいるのかルル。それは懸命な心懸けだルル。」
ロコは急に栗色の獣耳をぴくぴくさせ機嫌を良くなる。
『すみません。シャービト族はあまり種族的にも低い地位おりますので。他意がないのですがロコは舐められないようにいつも喧嘩腰になってしまうんです。』
シャービトのロコの騎竜である精水竜アクラは申し訳無さそうに詫びる。
ギャアラギャガアガアギャアラギャガアガアギャアギャアラギャガアガアギャアラギャガアガ
「いいえ、気にしてませんよ。実際俺の学園でシャービト族の差別や苛めを目にしましたから。」
ルゥとロロさんの現状を目にしてシャービト族の地位が低いのも理解できる。
「何だって!何処のどいつだルル!?。シャービト族を貶す者は誰でもぶちのめすルル
。しゅ、しゅしゅ!」
ロコはファイティングポーズをし。小さな手でジェブを繰り返す。
この世界にボクシングがあるのだろうか?。
ギャアラギャガアガアギャアラギャガアガアギャアギャアラギャガアガアギャアギャアラギャギャア
「大丈夫ですよ。相手の令嬢は私が決闘で敗かしましたから。ルゥもロロさんも今はぴんぴんしていますよ。」
「へっ?。」
突然俺が吐いた名前にピタッと時が止まったようにシャービト族の栗色の毛並みの顔色が一時停止する。
『緑森竜ロロ様とルゥ様のお知り合いなんですか!?。』
清水竜アクラのヒレは逆立ち驚く。
「はい、ルゥとはいつも休み時間のトレーニングで背中を乗せて走っております。」
俺はルゥとロロさんの出逢いの経緯を洗いざらい全て話した。
······ぴょんっ!!
突然シャービト族のロコは見事な跳躍でみせ跳びはねる。そのまま空中を舞いゆっくりとスローモーションのように地べたに膝をつける。小さな手のひらを前につきだし。顔面を地面におもいっきりぶつけるようにくっつけ。おでこを上下に擦り付けた。
「もも申し訳ありませんでしたあああああルルーーー!!。」
ズリズリズリズリズリズリズリズリズリ
再びシャービト族のロコも地べたに栗色毛並みのおでこが着けて擦られる。
それ、流行ってるの?。
俺は微妙な竜顔でくちばしが引きつく。
シャービト族のロコもエルフのシャルウィと同じように地べたに土下座して額を擦り付けながら謝罪をしていた。
「まさかルゥ様のお知り合いだとは知らなかったルル。(ズリズリズリ)しかも恩人だったルル。(ズリズリズリ)無礼働いたルル。申し訳なかったルル。(ズリズリズリ)」
ズリズリズリズリズリズリ
ギャアガアギャアギャ
「いや、気にしてませから。」
俺はロコの行いを止めようと宥める。
「駄目だルル。(ズリズリズリ)粗相したルル。(ズリズリズリ)おもいっきり叱って欲しいルル。何なりとして欲しいルル。(ズリズリズリ)」
ズリズリズリズリズリズリ
「どうかお願いします!(ズリズリズリ)。リストルアネーゼ様だけには本当に内密にしてください!(ズリズリズリ)。本当!マジでお願いします!(ズリズリズリ)。」
ギャアガアギャアラギャアギャギャ
「いや、本当に、もういいですから。」
静止しても二人の額を地べたに擦り付ける。
ズリズリズリズリズリズリズリズリズリ
「叱って下さいルル!。」
「どうか!」
地べたに互いに土下座しながらおでこを擦り付け続ける二人に俺は困った竜顔を浮かべ。暫く途方に暮れる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます