第103話 策略
パン パパン
空に白煙が上がり花火が鳴る。
『さあ、今日もやって参りました。純真無垢な少女、美しき少女の造形美を保つ騎竜乗りが誘う競争の場、ロリ杯。私実況を務めさせて頂くロリンと申します。そして解説を務めるはこの二人、人形収集家や少女愛好家としられる貴婦人セルリア・キュースト様と少女を愛でる会、少女と戯れる老人会の会長を務めさせておられますオロゾフ・カルナドロス様です。どうぞ宜しく。』
『はい、宜しくね。それにしても、ンモ~~今日もプリティでチャーミングな女の子が揃ってるわ~。家の邸に招き入れてお人形さんみたく飾りたいくらいよ~。』
『全くですじゃ。こんな何者にも汚されぬみずみずしき肉体を保つ小さな腕、足、体、童顔。歳など関係なく儂の愛人として囲いたいくらいじゃよ。』
ゴージャスなドレスの貴婦人と白ひげはやすハゲ爺がテンションを上げながらレースの解説に自分の本心(或いは性癖)をさらけ出していた。
逮捕されないだろうか······。
俺はそんな問題発言を連発している解説二人に白く冷たい竜瞳の眼差しを送る。
名前からして問題ありそうなレースだと思っていたけど。案の定解説者も問題がある人だった。
「本当に変わったレースね。見たからには幼い少女や身なりが小柄の少女ばかりだけど。それ以外にも強豪の騎竜乗りもいるみたいね。」
パトリシアお嬢様はレース会場のスタート地点にいる騎竜乗りの少女達を品定めするかのように観察する。
「今宵のロリ杯に出場する期待の騎竜乗りはどんな方がいるのでしょうか?。解説のセルリア婦人。」
『そうですね。みなみなプリティ~てチャーミングな子達で選べませんけど。騎竜乗りの腕としてみるならば小人族ルルクルリちゃんやエルフのシャルウィちゃん、シャービト族のルリエちゃんかしら?。でも西方大陸から渡ってきたアキナイちゃんも良いロリ度よ。』
『儂も儂もそう思いますじゃ!。嗚呼~四人の幼さを残すまっ平らな小さな胸に儂の顔を埋めてみたい!。』
解説の白髭爺のオロゾフは年甲斐なく恍惚に酔いしれる。
本っ当に逮捕されないだろうか·····。
二人の解説者の気持ち悪さを除いては強豪はエルフや小人、シャービト族さっき知りあった西方大陸の商家の令嬢のアキナイお嬢様らしい。
「貴女がパトリシア・ハーディルかしら?。」
レース会場のスタート地点に声をかけるものがいた。
振り返ると幼い容姿のエルフと青と白のコントラスト模様したナティ同じ妖精竜が目の前に現れる。
子供体型のエルフ以外にも小人族の少女やシャービト族の少女も一緒にいる。小人族は小人ゆえに子供体型というよりは成人した感じだ。シャービト族に関してはルゥもそれなりに小柄だがそれよりも小柄だった。白色とちがい獣耳と毛皮の体は栗色をしている。
「ええ、そうよ·····。」
初対面であるパトリシアは警戒する素振りを見せる。商人としての直感か。三人の騎竜乗りをパトリシアお嬢様はパープルの眉を寄せ警戒していた。
「私の名はシャルウィ・スタット・シラ・ストーム・ラングリッサーよ。宜しく。この子は妖精竜のマティ・マティール。」
『宜しく。』
相変わらずエルフの名前は長いようだ。エルフのリスさんとは違い色白ではなく。健康的な肌色をしていた。幼い外見をしているが口調からかなりの年配者のようである。リスさんとは違い雪見大福のようなおおきな胸の膨らみもなく。まっ平らである。やはりエルフにも肉体的個人差はあるようである。
「貴女がノーマル種を騎竜にしていると聞いて珍しいと思っていたの。」
「そうなの?。生憎だけどライナはレェンドラ(貸借竜)してかりているだけよ。正直欲しいとは思っているのだけど。」
パトリシアお嬢様の言葉にエルフの意外そうな顔を浮かべる。
「意外ねえ。東方大陸を牛耳る商家の貴族が一頭のノーマル種を手に入れられないなんて。」
「そうね。お金で手にできる相手でもなかったし。決闘で手に入れようとしたけど。手痛い目にあったわ。おかげで私の収集してきた騎竜コレクションが全てパアッよ。」
パトリシアは小さなパープル色の薄紅の唇からため息がもれる。
パトリシアお嬢様はまだあの決闘のことを音に持っているようである。相棒のナーティアと一緒にレースに出場しなかったのも決闘での遺恨からだろう
「私ルルクルリ・ローネム。小人族。ルルクルリお前達に敗けないと宣言しにきた。」
エルフのシャルウィの前に小人族の少女が前に出る
「それはご丁寧にありがとう。」
小人族の少女の対応にパトリシアお嬢様は困った顔を浮かべる。
「ルルクルリ、卑怯な真似できない。だから早めにあなた達に攻撃仕掛ける。」
「「ルルクルリっ!!。」」
ルルクルリの発言に何故かエルフとシャービト族の少女が声を荒立てる。
「お前達、誇りない。卑怯な真似しない。ルルクルリ、正々堂々と攻撃を宣言して攻撃する。お前達誇りない。もう言うべきことは言った。ルルクルリ、さっさと去る。」
トコトコトコ
ルルクルリは小さな足で騎竜のいる場所へと向かう。ルルクルリは竜(ドラゴン)というよりは昆虫のような竜に飛び乗った。
「ごめんなさいね。ルルクルリはちょっと強情なところがあるのよ。」
「そう·····。」
パトリシアはルルクルリの言葉に何か察したようで小さな顎に手を当てる。
「シャービト族のロコです。ルル~。」
栗色の獣耳をぴくぴくさせる。
「ルルクルリは少し頭がおかしいのですルル~。気にしないで欲しいのですルル~」
三人の強豪の騎竜乗りレース前の挨拶すませ。パトリシアは俺の背に乗り暫く沈黙を保っていた。
「······。」
ギャアギャアギャ?ギャアラギャガギャ
「どうかしたのか?。パトリシアお嬢様。」
特に敬語つけるか迷ったがタメ口にすることにした。
「あの騎竜乗りの三人組、早々に仕掛けてくるわね。」
ギャアギャ?
「そうなのか?。」
確かにルルクルリという小人族は宣戦布告していたが。
「まあ、誰の思惑が察しがつくけど。」
ギャアラギャガアガアギャア?
「あの西方の商家のお嬢様か?。」
突然の俺の解答にパトリシアは目をぱちくりさせ驚く。
「どうして解ったの?。」
ギャ ギャアラギャギャアガアガギャアラギャガアガアギャアラギャギャアガアガアギャア
「いや、何かあのお嬢様パトリシアお嬢様のように腹黒そうだし。何か企みそうだなと思って。」
「腹黒いって聞き捨てならないわね。私はこれでも策士なのよ。段取りや罠を仕掛けて相手を巧妙に罠にかけて手にいれる。そうやって商いもやってきたのよ。」
それを腹黒いと言うのですけど····。
反論するのも面倒なので俺は竜口を閉じる。
「そう、西方の商家のアキナイが仕掛けてくるとなると目的はロリ杯の1位やあの断然欲しくない金の鯱だけじゃないわね。」
ギャギャアガギャ?
「じゃ、何なんだ?。」
俺の問いにパトリシアは驚きより呆れたような表情を浮かべる。
「貴方、自分の価値解ってる?。貴方のような騎竜を知ったらどんな商家の令嬢も手に入れようと画策するわよ。」
ギャアラギャ?ギャアラギャガアガアギャアラギャガアガアギャアラギャガアガアギャアラギャギャアガアガアギャアラギャ
「そうなのか?。キルギディス家の騎竜の冥死竜マウラには図に乗るなと言われて。神足る竜の代用品呼ばわりされてたけど。」
冥死竜マウラにははっきり俺に価値はないと言われていた。
「そのキルギディス家の騎竜は見る目がないか。或いは······。」
ギャア?
「或いは?。」
「いえ、これに関しては上級貴族の政よ。大の商家の貴族が口に出すことじゃないわ。」
?。
『さあ、いよいよロリ杯が始まろうとしています。』
わーーー! わーーー!
実況のスタートの開始の放送に観客席から歓声が沸き上がる。
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