第97話 炎を背中で浴びてみろ!
どおおおおお
3首の竜口からブレスが放たれる。
ライナは鉤爪の素手を撫でるように振るい払う。
ギャああ!!
「竜風掌!!。」
びゅううううううううううーーーーー!。
ごぉおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーー!!。
放たれた3つのブレスが振り払った竜の素手からつむじ風が巻き起こり。放たれた3つのブレスを巻き込み粉砕される。
『何だと!?。風も操るというのか!?。』
「嘘でしょ。水だけじゃないの?。」
一体化したみつ子の跪伏竜と騎乗するエリシャ・ハフバーレンは驚愕する。何故なら水を操るだけのノーマル種だと先入観を持っていたからだ。しかし目の前のノーマル種は風をも引き起こしたのだ。
「風の精霊までも····。」
セシリアも呆けたようにライナを起こした自然現象とも呼べる技を凝視する。
『く、だがこれで終わりではない!。』
跪伏竜は魔方陣を3つ展開する。
『我の3竜の力が凝縮された魔法を受けてみよ。』
展開された3つの魔方陣が発動される。
『33sフレア(3重連炎爆)!!」
ドドドドドドドドドドドド
三重の魔方陣が発動され。爆竹のように爆発が連鎖する。まるで導火線を辿るようにライナの元へと爆発が駆け巡る。
『我々の魔法は回避不可能だ!ノーマル種。何処へ逃げようと我々の魔法はお前を何処までも追いかける。』
ドドドドドドドド ババババババッ
追尾型の魔法か!?。俺を目指して爆発するなら回避は無駄か。ならば。
バサッ
ライナは翼を広げ。真っ直ぐと真下へと急降下する。真下はまだ森林地帯であり。ゴール地点までまだ数キロ先である。
『逃げる気か!。無駄なことよ。』
三首から伸びた竜顔が揃って勝ち誇るように笑みを浮かべる。
「セシリア・サウザンド。貴女もノーマル種と一緒に巻き沿いになりなさい!。」
最早身分とか階級など関係なく。エリシャはセシリア・サウザンドを倒すことしか頭になかった。
んぅ~~~~ ほぉ~~~~~
ライナの竜口から大地が蠢き震動するような呼吸を行う。
右腕の竜の鉤爪を気を練り込み。尚且つライナの竜の右腕には茶色の光の粒子が集まりだす。
ドドドドドドドドドド!!
『そのまま爆発に巻き込まれて朽ち果てよ!。ノーマル種っ!。』
茶色の光の粒子が集まった鉤爪の竜の素手をライナは地面に叩き込んだ。
ギャあああああああああ!!
「竜地掌(りゅうちしょう)!!。」
ドオン ドガガガガガガガガガ‼️‼️‼️
ライナが鉤爪の素手を叩きつけた地面から営利な氷柱のような突起物が幾つも出来上がる。ライナの周囲がまるごと針地獄のような岩石に埋め尽くされる。
ドドドドドドドド ドガガガガガガ‼️‼️ パッ パン!
発動させた魔法は連鎖しながら辿るようにライナに向かっていったが。途中に地面からつきだした針地獄ような突起物に連動する爆発は防がれ妨害される。ライナの針の形をした岩が防壁のような役割を果たす。
「ヴェルギル、私は夢を見ているのか?。」
「カーネギーちゃんが夢を見てるなら私も夢を見てることになるけど。違うと思うわ~。セシリアちゃんに貸し出されたノーマル種の騎竜ちゃんが風を起こしたり。地面から刺のような岩石がわきあがらせたり。凄いのね~。ノーマル種ってあんなことできるのね~。私初めて知っちゃった。」
ぷるんぷるるん
ダイナマイトボディの胸を揺らし。ヴェルギルはおっとりした様子で感心する。
「いやいやいや、普通ノーマル種があんなことできないぞ。アイシャ・マーヴェラスの騎竜ライナがBoin走行という変わった加速飛行や魔法を打ち消したりすることができる変わった竜だと知っていたが。あそこまで破天荒に大自然を操れるなど····。いや、しかし、妖精竜や神足る竜なら可能か·····。」
救世の騎竜乗りの伝説に出てくる神足る竜なら大自然の元素を操ることも不可能ではない。万物に精通した神と名を付くドラゴンなら自然界の全ての元素の精霊を使役することも可能である。
「まさか···本当にアイシャ・マーヴェラスの騎竜は神足る竜なのか?。」
アイシャの騎竜は確かにノーマル種であるが。しかし神足る竜の出生は未だ謎とされている。7大貴族の隠蔽も影響しているが、神足る竜がどのように誕生するかなど。どの記述にも乗っていないのだ。ただ神足る竜を崇めている神竜聖導教会に安置されている救世時代の古い石版には刻来る時神の竜在りて災いを討ち滅ぼさんと記載されているだけである。神足る竜がどのように誕生するかなど明確には記されていないのだ。
「何ですか!?。あのノーマル種!。ただのノーマル種だと思っていたのに。また学園の敷地が破壊されたじゃないの!!。」
風紀委員長のセランはライナが風や地を操った事よりもまた学園の敷地が破壊されたことに激しい憤りと怒りにじまて文句を垂れている。
「これは···一体······。」
シャルローゼもライナが引き起こしたとされる有り得ない自然現象に戸惑いを覚える。
「これは気ではない···。まさか!?精霊なのか····?。」
カイギスも昔の旧敵、ライバルであった騎竜とあのノーマル種の扱う力に面影が重なるところがあったが。それとは別にあのノーマル種が精霊を使役できていることに驚きを隠せなかった。
『ふんふん、私の教えたことをちゃんと実行に移せているようですね。よこしま竜も少しはましになったものです。ふんふん。』
妖精竜ナティは性悪な人間の令嬢とみつ子の苦戦するみっともない姿にスッキリしたように満足そうに気分よく鼻歌を歌う。
それを横目にエルフのリスが微妙で複雑な表情をさせる。
「ねえ?。アイシャのライナがどんどん変になってない?。」
「そうね。どんどんと普通のノーマル種のドラゴンとかけ離れていくような。いや、元々出逢った時から変なドラゴンだったけれど。」
パールもレインもアイシャの騎竜のライナが段々と普通じゃなくなっていることに驚きを通り越して疑問を抱いてしまう。
「そう?、ライナならあれが普通だと思うけれど。そ・れ・よ・り・も!。」
アイシャの金の眉が不機嫌に寄る。
「やっぱり!私のBoin走行よりもセシリア先輩のBoin走行が速い!。絶対絶対!!。今度こそ強く問い詰めるんだから!!。」
ぷんぷん
アイシャが怒る要点のズレに親友のパールもレインも微妙な表情を浮かべる。
「ふざけないで!何なのあのノーマル種!。水も風も大地も操れるなんて。」
『このような事がある筈は···。』
エリシャ・ハフバーレンと3つ頭の跪伏竜はなす術はなかった。たかがノーマル種だと侮っていた騎竜にここまで追い詰められたのだから。
ライナは再び呼吸を行う。
ごおおおお~はあああ~~~
熱く煮えたぎる炎が吹き出すような呼吸がライナの竜の口が漏れる。
右腕の竜の鉤爪を腰まで引く。
赤い光の粒子がライナの竜の鉤爪の素手に集まりだす。エリシャ達を瞳孔が開かれた静かな眼差しを向ける
ギャガアギャアガアギャアラギャガアギャアラギャガアギャアラ?
「あんたら焼けつくような炎竜の炎を背中に浴びたことはあるか?。」
『何を言っている?このノーマル種は。』
意味不明な言葉を突然投げかけられ。エリシャ達は困惑する。
ギャアラギャガアガアギャアラギャガアガアギャアラギャガアガアギャアラギャガアガアギャアラギャガアギャ
「俺はある。あれは本当に熱かった。焼け付くようなヒリヒリした痛みが今でも背中に鮮明に記憶に蘇ってくる。」
ポッ ムッ
炎竜のガーネットが自分のことを言われたのだと知り。初々しげに紅く頬を染める。それを横目にレイノリアは不機嫌に口をへの字に曲げる。
ギャアガアギャアラギャガアギャアラギャガアギャアラギャガアギャア!
「あんたらも浴びてみろ。炎竜の炎の熱さは。本当にトラウマものだぞ!。」
赤い光の粒子が凝縮された鉤爪の右腕をそっとゆっくりとした動作で振り払う。
ギャああ!!
「竜炎掌!!。」
ごおおおおおおおおおおお!!!!!
長い炎のアーチが出来上がり。アーチはそのままエリシャ達を包みこむ
ギャあああああああああーーー!!!
跪伏竜の竜の悲鳴上がる
「熱い!熱い!。熱熱熱ちちち!!」
それと同時にエリシャの絶叫も上がる。
エリシャ達は炎に包まれる。しかし炎はエリシャ達を燃やさず。ただただ炎の熱さと痛みを与えるだけであった。しかしライナの放った炎は何故かエリシャと跪伏竜の背中に燃え移り炎をメラつかせたままを維持する。
ギャアガアギャギャギャ!
「炎を背中で浴びてみろ!。」
エリシャ・ハフバーレンと跪伏竜はまるでカチカチ山の狸ようにあたふためきながら背中の炎の熱さに悶え喘ぐ。
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