第21話 オパパッイーヨ‼️
『さあ、今宵もやって参りました。私実況のコマネチと解説はお馴染み焔舞祭主催するこの村の族長ンパポさんです。』
『ンパポー!。』
『ンパポーさん、今宵のクリムゾン杯はどのようになるでしょうか?。』
『ンパポー!。ヒンニュウ!ビニュウ!キョニュウ!爆っ乳ーっ!!ンパポー!!。』
『なるほど、炎竜ガーネットと騎竜乗りレイン・ルポンタージュ、炎帝の圧勝、一人勝ちですね。実況コマネチと解説ンパポがお送りした。』
『ンパポー!!。』
魔法具のスピーカーから実況と解説の放送が流れる。
最後の解説の言葉完全にカタカナじゃなかったのよねえ?。もうツッコミ入れるのも疲れるよ。
解説者のエセ解説に俺は微妙な竜顔を浮かべる。
ファイアーマウンデー山のスタート地点の先頭では竜化した炎竜ガーネットとそれに乗るレイン・ルポンタージュがいる。メラメラと翼や尻尾に既に炎が灯り怒髪天状態だった。他の騎竜、騎竜乗りは近寄りがたい様子で炎竜から離れていた。相当怒らせてしまったらしい。
「ライナ、今度こそクリムゾン杯を優勝しよう。」
アイシャお嬢様は俺の背中の上で呟く。
ガア
俺は鳴き声を上げ返事をする。
三年間の修行で集気法は完全に習得した。元トレーナーであるレッドモンドさんから身体をみっちり鍛えられ。引き締まった筋肉が首、腕、胸、脇腹、背中、翼、脚、全てに付いた。レッドモンドさんみたいにぴかぴかとテカったボディービルダーみたいな筋肉質になるかと心配していたがそうはならず。緑の鱗がバネのようにしなやかな筋肉がついていた。どうやらレッドモンドさんは本当に魅せる筋肉ではなく強くなる筋肉を付けてくれたようである。
スタート地点であるファイアーマウンデー山麓の様子を観戦できるように村で手作りベンチの観客席が用意されていた。マーヴェラス伯爵とメイドのカーラとリリシャがアイシャと騎竜ライナの様子を観察しやすいように高台の後部座席座る。後部座席から娘のアイシャと相棒の騎竜ライナの様子を観戦する。
のっし のっし
黒丸眼鏡をかけた筋肉質の変な竜が現れ。マーヴェラス伯爵達が座る後部座席の覆う壁に寄りかかる。
マーヴェラス伯爵とメイドのカーラとリリシャが後ろで筋肉の胸板をびくんびくんさせた竜を観て何でこの竜ここにいるのだろう?と困惑する。
マーヴェラス家のものは特に四年間に親しくなったわけではなく。あまりにも変な竜なので寧ろ近寄りがたいオーラを発していたので関わらないようにしていた。メイドカーラさんに限ってはあの竜は生理的に無理と相容れないと断言する程である。
後ろの壁に寄りかかり筋肉の胸板をびくんびと脈打つ竜に対してマーヴェラス伯爵達は何とも言えない気まずさを感じる。
「ああ、お構い無く····。」
筋肉質の黒丸眼鏡をかける竜は人語でかえす。
え?しゃべれるの!?。
竜の姿のままで人語を話せる竜はこの世界では現実には存在しない。上位種でも思念を通して会話をするのだ。
三人は驚愕の眼差しを変な筋肉質の竜にむける。この竜本当に何者だろうか?と疑念の視線を注ぐ。
「ガーネット、貴女言いすぎよ!。レースは殺し合いの闘技じゃないのよ。」
ファイアーマウンデー山麓のスタート地点に先頭で竜化したガーネットに股がる炎竜レインは反論する。
『ふん、あやつは竜族としての男の誇りさえも捨てたのだ。そんな奴に恩情かけるつもりは毛頭ない。我が炎で焼き殺してくれる!。』
ガーネットは頭に血がのぼるほど激高していた。炎竜族がこうなってしまったらもう手の施しようがない。
「ガーネット、レースで騎竜乗りと騎竜を殺すと出場停止になるのよ。それ以上に殺しは御法度よ。私はそれは御免だからねえ。だから最初から獄炎噴の翼を使うわ!。」
レインはもうこうなった以上は獄炎噴の翼を使って早々に決着つける必要があった。今の頭に血が登った状態であるガーネットなら何をしでかすか解らない。獄炎噴の翼で早々に一着もぎ取りレースを終わらせる必要があった。
『何だとっ!!レイン、』
ガーネットは怒りに満ちた唸り声を上げ。
「貴女がノーマル種に殺意を抱くのは勝手だけど。そのとばっちりを私までに向けないでよね。獄炎噴の翼でスタート開始から使うわ!。早々に決着を付ける。文句ないわよね。」
レインは念を押すように呟く。
『ぐぬぬ····。』
ガーネットは紅いくちばしが苦渋に歪む。
「どちらにしろノーマル種が上位種である貴女に太刀打ち出来ないのだからいいでしょう。誇り高き炎竜族なら上位種としての余裕を持ちなさいよ。」
炎竜は強さを重んじる最もプライド高い竜族である。故にレインはガーネットの性格上も理解していた。
『解った。だが向かってきたなら容赦なく反撃するぞ!。それで善いなっ。』
「ええ、いいわ。」
レインは頷く。
どちらにしろノーマル種が炎竜のスピードに追いつく筈もないのだから勝負にもならないだろうと腹を括っていた。
『それではクリムゾン杯が今正に開始されようとしています。』
実況のコマネチがレース開始されようとしていることを伝える。
高台に角笛を所持した村人が角笛を持ち上げ吹き口に唇をあてる。
ブオオオオオーーーー!!
かん高い角笛の音がファイアーマウンデー山麓に一帯に響く。
バァサッ! バァサッ!バァサッ!バァササッ!!
騎竜乗りを乗せた騎竜が一斉に飛び立つ。
「ガーネット、獄炎噴の翼を!。」
『あい、解った。』
ガーネットの翼と尻尾に赤い光の粒子が集まり出す。
『ノーマル種観るがよい。これが火の精霊の加護が与えられた炎竜族の力よ。』
ボオオオオオオ
紅い尻尾と翼が燃え上がり纏う。
脚をたたみ。炎を纏った翼と尻尾から炎熱が噴き出す。
ド ドドオオオオーーーーーッッ!!
バッグドラフトのような爆音が後方に響くと炎竜ガーネットは炎に包まれながらもうスピードで先頭を突っ切る。
爆音と炎が噴き上がり一気に後方の騎竜達を突き放した。
『おおっと炎帝、レインと炎竜、炎速のガーネットは最初から獄炎噴の翼を使った!。最初から使っていれば他の騎竜、騎竜乗り達との被害が最小限なんですけどね。』
コマネチは皮肉交じりに実況を伝える
『ンパポー!。ボインボインプリンプリンボンボン。』
『族長ンパポさんも矢張炎帝の圧勝と申しております。』
放送席からレースの実況解説が流れる。
初っ端から獄炎噴の翼を使ってきたか。一気に決着付けるつもりだな。
ライナは遠くジュット機のように飛行する炎竜ガーネットを見据える。
「ライナ、アレやるよ。」
ガア
俺は返事をする。三年間の修行と一年の間に炎帝の対策をしていなかった訳じゃない。あの炎を噴射する超高速飛行と炎纏った攻撃に対して対応策はきっちり練ってきた。俺が集気法を会得し。そしてアイシャお嬢様が俺の特徴捉えた100倍までの力を引き出す方法を見出だしたのだ。それは俺がとある執着とアイシャお嬢様が四年の間に成長しすぎた胸の膨らみによってもたらされたものである。偶然というべきか或いは必然なのだろうか。アイシャお嬢様の成長した二つの柔らかな胸の膨らみが俺に最大限の力を与えるのだ。
俺は大気中に漂う気を竜の身体に集める。
黄色の粒子が俺の身体に集まり吸収される。
むにゅう♥️
アイシャお嬢様は俺の背中に胸を押し付け密着する。そのままアイシャお嬢様は自分の身体を左右に揺らし始めた。
スリスリ スリスリ
『おおっと炎帝から離れた後方の騎竜乗りアイシャ・マーヴェラスが左右に身体を揺らし始めたぞ!。な、何をしているのだっ!?。』
「ンパッ、ンパポー!!。」
隣の放送席に座る族長ンパポの顔が硬く強張る。
ゴゴゴゴゴゴ
活火山であるファイアーマウンデー山に地鳴りが響き始めた。
「「「族長!族長!族長!族長!族長っ!」」」
活火山であるファイアーマウンデー山だがこの10年一度も地鳴りを起こしたことがなかった。簑ズボンをはいたペイントだらけの裸体の村の若者は慌ただしく族長の元に集まる。
「ええい、静まれえい!。」
放送席で族長ンパポは大声を上げて騒ぎをしずめる。
「あんた、普通にしゃべれたんかい!。」
隣で座っていた実況のコマネチは思わずツッコミを入れる。
「族長、お山が地鳴り響いた。天変地異の前触れか?。」
一人ペイント裸体の若者は怯えた顔で訪ねる。
「大気がざわめいておる····。火の精霊が騒がしい。これは····歓喜?。何かが起ころうとしている。災いではない。これは喜びに満ちた祝歓喜の祝福。」
族長ンパポは真顔で伝える。
スリスリスリスリ
俺の竜の背中でアイシャお嬢様が密着しながら左右に身体を揺らしている。押し付けられる柔らかな二つの膨らみの肉圧が交互に圧迫される。
スリスリ
おお、アイシャお嬢様の柔らかな胸が左右に俺の背中に擦れる。
二つの大きな柔らかな膨らみが背中に左右に均等に触れてすれる。
キタァーッ!キタァーッ!キタァーッ!!みなぎってキタアァーーッ!!
バァサッ
俺は二枚の緑の翼を強く大きく広げた。
ギャガアアアアあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!
〘オパパッイーヨ!!オパパッイーヨ!!オパパッイーヨ!!オパパッイーヨ!!オパパッイーヨ!!オパパッイーヨ!!オパパッイーヨ!!オパパッイーヨ!!オパパッイーヨ!!オパパッイーヨ!!オパパッイーヨ!!オパパッイーヨ!!オパパッイーヨ!!オパパッイーヨ!!オパパッイーヨ!!オパパッイーヨ!!オパパッイーヨ!!オパパッイーヨ!!オパパッイーヨッ!!〙
ヒュッ
ライナは絶叫というなの咆哮を上げると一気に加速する。目にも止まらぬ速さで次々に前方の騎竜達を追い越す。
尋常ならざるスピードであっというまに前方に炎を噴射する紅い竜が姿が見えるところまで追い付く。
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