第20話 リベンジカップ

「ライナ、やっとここまで来たね。」


ガア

あれから四年経ち。俺とアイシャお嬢様は再びクリムゾン杯開催の地ファイアマウンデー山にいる。目的は当然因縁の相手炎竜ガーネットとその騎竜乗りレイン、炎帝とのリベンジである。3年の修行終え。四年の間にレースで6連勝し。アイシャお嬢様と俺の戦績は9連勝1敗。後一勝すれば念願の騎竜女学園の入学が認められる。だがアイシャお嬢様は既に15歳になっていた。ここで優勝しなければ後がない。だが残り一勝はわざとクリムゾン杯に出場することで勝利を飾ることにした。ノーマル種では騎竜学園でやっていけない。上位種の騎竜にしている貴族と渡り合うには上位種との闘いは避けて通れない道である。だからこそクリムゾン杯で必ず出場する炎帝のレインと炎速のガーネットを対戦相手に選んだのだ。ノーマル種が上位種に勝てない。それを覆す為に俺とアイシャお嬢様は因縁の相手である炎帝と炎速の1人一匹を残りの一勝の相手に定めのである。


アインヤ~ ぷるんぷるん

インヤ~  ボいンボいン


相変わらずおっぱいが関係していそうな唄声が聞こえる。

四年たっても原住民のような簑のズボンとペイントした肌の村人の生活は変わりはなかった。

村の真ん中にいつも通り屋根が支柱に支えられただけの造りの舞踏場が建っている。そこで太鼓、笛、鈴を鳴らし。火の精霊を祝う焔舞祭の躍りを繰り広げられている。


舞踏場にレインと炎竜ガーネットを視覚して確認したがいないようだ。


「アイシャ、応援に来たよう!。」

「お父様!?何故?。」


マーヴェラス伯爵に笑顔で村から現れる。後方にはメイドのカーラとリリシャが控えていた。


「娘の最後の晴れ舞台なのだ。観に来ないでどうする?。私はアイシャの為に全財産をこのクリムゾン杯に賭けたよ。勿論、アイシャが一着でねえ。」


マーヴェラス伯爵はにこやかな笑みでどや顔を決める。


「お父様何をしているんですかっ!!。」


父親であるマーヴェラス伯爵のとんでも行動にアイシャお嬢様に大いに激昂する。

アイシャお嬢様の前でマーヴェラス伯爵は娘の機嫌を損ねたので何度も平謝りし謝罪していた。

何だろう?このオッサン。何だかどんどん駄目人間になる方向に行きそうで恐いんだが…。

アイシャお嬢様の父親が典型的な駄目人間になる前兆に当てはまるような気がした。


「アイシャお嬢様、頑張って下さい!。ライナも頑張ってねえ。」


ボイン ボイン

ガア

リリシャが豊満な胸を揺らし声援を送る。


「お嬢様の勝利は揺るぎないと思いますが、駄竜ポカしたらお仕置きですよ。」


メイドのカーラさんは俺に対してだけ冷たく叱咤する。

相も変わらずカーラさんである。


「それじゃ、行ってきます。」


アイシャお嬢様は胸を張り。クリムゾン杯のスタート開始地点に向かう。

スタート地点ゴール地点は前と同じファイアーマウンデー山の麓である。

既に騎竜乗りと騎竜が集まっていた。

俺は辺りを確認すると直ぐに見つかった。

スカーレット赤髪短髪の少女とタンゴドレスのような赤っかなドレスを着た角を生やした赤髪の美女をスタート地点の他の騎竜乗りと一緒に集まっている。

四年過ぎてもガーネットの容姿は変わりはなかった。


スカーレットの赤髪短髪の少女と角をはやす真っ赤なドレスを着た美女は俺達の存在に気づく。


近づいてくる。


「貴女···もしかしてアイシャ・マーヴェラス。」


スカーレットの赤髪の少女はアイシャお嬢様に問いかける。四年の間に炎竜の騎竜乗りも大分成長したようである。レイン・ルポンタージュの容姿も幼さ薄れ。すらりした体型になっていた。引き締まった細身の身体に胸の辺りが盛り上がり。形のよい膨らみが出来上がっている。バランスのとれたすらりとした細身の身体にそれに合わせるように美しい美乳が膨らんでいる。それと同時に肉付きの良い美脚もしている。俺は脚フェチじゃないけど。

巨乳でなかろうと容姿端麗とは彼女のことを指すのかもしれない。別にアイシャお嬢様が容姿端麗とは言ってはいない。アイシャお嬢様はアイシャお嬢様でかなり特に胸が物凄く成長したのである。リリシャさんの爆乳ほどとは言わないが。四年の間に見事な巨乳体系に成長したのである。というかこの異世界の胸の成長率可笑しくない?。


「レイン・ルポンタージュ。今度こそ私とライナでクリムゾン杯を優勝する!。」


アイシャお嬢様の青い瞳がメラメラと炎を宿している。

レインはアイシャのその姿を一瞥すると深いため息を吐く。


「レイン、どうやらこやつらはまだ理解できぬようだな。」


レインの隣で燃え上がる炎の赤い髪を靡かせた人化の炎竜ガーネットがルビー色の縦線の瞳孔が開く。人の身でいるが相手を威圧しているのだと理解した。

俺は竜の脚を踏みしめ前に出る。


ギャアラギャアガアギャア!

「前のようにはいかないぞ!。」


俺は鋭い竜瞳を向ける。


「ほう、威勢がいいのう。確かに前よりは身体つきも良くなっている。だがノーマル種が鍛えたところで上位種には到底及ばぬ。」


赤ドレスの美女の身のガーネットは傲慢にふんと鼻息を鳴らす。


ギャアラギャアガアギャアラギャアガアギャアラギャアガアギャアガギャア

「炎竜ガーネット、ならノーマル種が上位種に勝利する前例を与えてやるよ。」


俺は技とらしく挑発する。


「ほざいたなあ。良いだろう。そこまで言うのならもし我に勝てることをできたなら何か褒美をやろう。炎竜ができることなら何か一つお主の願いを叶えてやる。炎竜族は寛大故にな。」


炎竜ガーネットは俺に敗北することないという余裕の笑みを浮かべる。炎竜ガーネットが勝利の暁には何でも一つしてくれるというのなら願ったり叶ったりだ。なら俺の願望というか欲望つうか転生理由を述べることする。


ギャアガギャアラギャアガアギャアラギャアガアギャア

「ガーネット、俺の背中に抱きついてくれ!。人化のままで。」


ぴく

ガーネットは俺の言葉に外見が美人の顔が赤眉がつり上がった。


「今、何と言った?。」


真紅の艶の唇から圧を込めた言葉が発せられる


ギャアラギャアガアギャアラギャアガアギャアラギャアガアギャアラギャア

(だから俺の竜の背中に抱きついてくれ。おもいっきり密着するように。)


俺は堂々と迷いなく言い放つ。倫理観が欠如していると思われようが。竜相手に倫理の糞もありはしない。俺は背中に抱きついてもらうチャンスがあるなら惜しみなく使う。

アイシャお嬢様を騎竜学園に入学することが目的だが。それと同時に俺は全ての女性の二つの膨らみを背中に押し付けて貰いたいのだ。それが俺が転生した理由であり。そして俺が歩む道。パック・ザ・バストタッチロード(押し付ける胸の背中道)なのだから。


「貴様ああ!。それでも竜族のオスかあっーーっ!!。」


ガーネットのルビー色の瞳の瞳孔が開き怒号を放つ。

放たれた怒号にビリビリと電気を発したように鱗の鳥肌がたつ。

予想通りの反応か。竜のメスはプライド高くて背中に抱きつくことを嫌うとノーマル種のルーイドから聞いていた。


「どうしたのガーネット?。そんなに怒り満ちたように興奮して。」


ガーネットの突然のいきり立つ姿にレインは戸惑う。


「こやつ我に勝利した暁には自分の背中に抱きついて欲しいとぬかしおったのだ。」


ふー ふー

ガーネットは姿が美女でありながら興奮して真紅の唇が歯を軋ませヒステリックな状態になっていた。


「ライナは背中に抱きつかれるのが好きなだけよ。」


アイシャお嬢様は隣でガーネットに反論する。

レインはそれを聞いて納得する


「嗚呼、そういうことね。竜のメスがオスの背中に抱きつく行為はプライドが高くてやらないと聞くけど。炎竜族はちょっと違うのよ。」


ん?どういうことだ。てっきりプライド高いからぶちギレたのかと思っていたが。

俺は竜の首を傾げる。


「炎竜族にとって背中を抱きつく行為は上下関係の現れなの。つがい以外で相手の背中抱きつく行為は抱きつかれた相手が抱きついた相手に屈服します化し跪きますという意味なのよ。上下関係に厳しい炎竜族ならではなんだけど。」


レインは炎竜族の習性を説明する。

なるほど。

俺は竜の首を頷く。

何となく犬のしつけにも似ているなあ。犬が飼い主に言うこと聞かない。よく吠える場合飼い主をその飼い犬が主人として認めておらず。寧ろ主人が自分で飼い主を下僕と見なしている場合が多い。そう言った場合上下関係をはっきりさせるために飼い主は飼い犬の背中に乗ったり。犬の口に自分の口をあけて鼻ごと噛むことで自分より上なんだぞとしらしめて改善させる。背中を乗ることで自分が上だと示し。口も自分の方が大きく開けられるんだぞっと伝えて上下関係をはっきりさせると犬のしつけの習性方法というテレビ番組で観たことがある。

て、竜は犬なのかよっ!と突っ込みたい。



「こやつ勝負もせずに嫌、勝負して勝利して尚我に抱きついて欲しいと抜かしおったのだ。貴様にはプライドはないのか!!。オスとしての威厳尊厳はないのかっ!!。」


ガーネットは鼻息を鳴らし声を荒げる。


ギャアラギャアガアギャアラギャアガアギャアラギャアガアギャアガギャアラギャアガアギャアラギャアガアギャギャアラギャアガアギャアラギャアガアギャ!

「あんたの炎竜族の上下関係の在り方はよくわかった。だがそれは俺には関係ない。俺はただあんたみたいな美女(人間の姿)に抱きついて欲しいだけだ!。」

「まだぬかしおるか!。」


グルルル

ガーネットは鋭い眼光を放ち竜のような唸り声をあげる。今にも飛び掛かりそうな剣幕である。


「ちょっとガーネット抑えて、勝負はレースでつけましょう。それに敗北しなければすむことでしょ。」


レインは慌ててガーネットを静止する。

ふーふーと興奮した息遣いをガーネットは落ち着かせる


「善かろう。ノーマル種。」

ギャア

「ライナだ。」

「ライナ、決着はクリムゾン杯でつける!。背中に抱きついて欲しいなどプライドども威厳もない竜のオスなぞに敗けるものか!。」

ギャアラギャアガアギャアラギャアガアギャア

「それはこっちの台詞だ。約束守って貰うぞ。」

「その前に我がレースで貴様を焼き殺す!。今度はレースに出れない身体にしてくれるわ!。」

「ちょっとガーネット。」


レインはガーネットの問題発言に慌てる。


ギャアガギャアラギャアガアギャアラギャアガ!

「上等だ。首、じゃなく胸を洗ってまっていろ!。」


そしてお互い宣戦布告してスタート地点であるファイアーマウンデー山麓でお互い別れた。




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