第16話 ドラゴンマッスル
3日後俺はマーヴェラス領内の納屋の牧場付近に向かっていた。
女神アルピス様の紹介の助っ人(竜)待ち合わせの場所に向かっているのだ。
鍛えてもらうなら調教師の人間だろうに何故に竜なのか理解できない。
俺は邸から離れたマーヴェラス領内の牧場の納屋についた。
辺りを見回すとふと牧場の柵に竜の腕をかけている竜に瞳がはいる。
鱗の色は青緑で今のところ何の竜種か判断できない。
その青緑の鱗に覆われた竜は納屋近くの牧場を囲む柵に前腕を乗せて黄昏れていた。
俺はその青緑の竜に元に近づいていく。
ピクピク
近づいて気付いた。その青緑色の鱗に覆われた竜は変だった。とても変だった。格好が変というよりは存在そのものが変だった。
普通に尻尾と翼を生やした竜ではあるのだが。その出で立ちは他の竜とは全く異質異なっていた。竜なのに何故か竜瞳には昔の刑事がよくかけていた黒い丸いサングラスがかけており。そして全身がとてつもなく筋肉質であった。大胸筋の胸をピクピクさせ。全身筋肉質なその青緑の竜は突然意味不明な言葉を竜口から吐き出す。
ピクピク
ギャドラギャアギャ···♥️
「筋肉って良いよねえ···♥️。」
「···········。」
その筋肉質な竜に意味不明な言葉を突然俺に投げ掛けられ返答に困る。
ピクピク
ギャアドラギャアギャ♥️
「筋肉って良いよねえ♥️。」
ギャア······
「そうですね···。」
取り敢えず会話を合わせることにした。
ギャアガアギャアギャアガア!
「筋肉があれば何でもできるっ!。」
いや、出来ねえよ!。何言ってんだ?この竜は·····?。
俺は微妙な竜顔を浮かべる。
ピクピク
ギャアドラギャアギャ···♥️
「筋肉って良いよねえ···♥️。」
しつけっーっよ!。何度繰り返すんだよ‼️。この押し問答っ!。
突っ込みたくても俺は喉の奥の底に押し込めた。今は女神アルピスの紹介でこの筋肉質な変な竜に教えを請う立場だからだ。
ギャアドラギャアガアギャア?
「君は筋肉を付けにきたのかい?。」
柵に腕をかけ丸い黒眼鏡をかけた筋肉質の竜は俺に問いかける。
ギャガアギャアギャアラギャアガアギャアガアギャアギャアガアギャア
「いえ、女神アルピス様の紹介の助っ人と聞いて力をつけに貰いに来ました。」
ギャアガアギャアギャアギャアガア
「なるほど。つまり筋肉付けに来たんだねえ。」
ギャガアギャアラギャアガアギャアガアギャアラギャアギャアガアギャ!ギャアガアギャアギャアガアギャアギャ!
「いえ··ですから!。筋肉を付けに来たのではなく。力を付けに来たんです!。筋肉を付けたいわけじゃありません!。」
どんだけ筋肉に執着してるんだよ。
しつこいほどか筋肉に執着しているので筋肉フェチなのだろうかと疑ってしまう。
ギャアドラギャアギャアガアギャアガアギャアガアギャアドラギャアギャアガアギャアラギャアギャ!
「『筋肉付ける=力を付ける』ということだよ。筋肉に二タイプの筋肉がある。一つは魅せる筋肉っ!。」
ふんっ
ミシ メキメキ
目の前の筋肉質な黒丸サングラスをかける竜は腕を折り曲げ腕の筋肉を盛り上げてみせる。
ギャアガアギャアギャアガアギャアガ!!
「そしてもう1つが力を付ける筋肉だ!!。」
ふんっ
ミシ モリモリモリ
筋肉質の竜は前屈みなり。両腕を下の腹辺りに合わせ両腕と大胸筋の筋肉を盛り上げモスト・マスキュラーのポージングをする。
いや、それどうみても魅せる筋肉だろう?。
俺は心の中でそう突っ込む。
ギャアガアギャアラギャアガアギャアギャアギャアガアギャア
「筋肉つけたところで上位種に対抗できないとおもうんですけど。」
俺は正直な気持ちを伝えた。
筋肉がついたところであの炎竜のような規格外な飛行方法についていけないと思う。それ以外にも火の精霊の加護が与えられた必殺技まであるのだ。筋肉つけたところでどうにもならない。
ギャドラギャアガアギャアギャアガアギャアラギャ?ギャドラガアギャアラギャアガアギャアガアギャアラギャアガアギャアラギャアギャ
「君はノーマル種として上位種に勝ちたいのだろう?。ならば対抗するには筋肉をつけるしかない。筋肉をつければこう言うこともできる。」
スッ
筋肉質の黒丸サングラスの竜は納屋付近の柵の向こう側に距離の離れた大岩に向きを変える。
あの牧場内にある大岩はいつもそこにあり。どかすこともできなく。よくメイドのカーラさん邪魔だとぼやいていた大岩だ。
筋肉質の黒丸サングラスの竜は鉤爪の片腕をスッと上げ。その大岩を目掛けて軽く空を裏拳するように振った。
ガッ
ヒュン
ドッ ガーーーーんっ!!!
ガラガラ パラパラ
目の前にあった大岩は無惨にも粉々に砕け散り。跡形もなく無くなる。
ギャッ!?
「なっ!?。」
俺は竜瞳を見開き絶句する。
ギャドラ?ギャドラギャアギャ?
「どうだい?筋肉は凄いんだろ?。」
筋肉質の黒丸サングラスの竜はどや顔を浮かべる。
ギャギャギャギャアガアギャアラギャアガアギャアガアギャアギャアガアラギャアガアギャアガアギャアラギャアガアギャアガア!
「いやいやいや、可笑しいでしょう。筋肉つけたところで裏拳でしかもかなり離れたところで振っても大岩が壊れるわけないでしょ!。」
筋肉つけたところでこんな魔法みたいなことができる訳がない。常識的にも可笑しすぎる。
ギャアガアギャアガアギャアギャ?
「まさか魔法をつかったのですか?。」
離れたところで裏拳を放って大岩が壊れるなんて魔法以外に考えられなかった。
ギャドラギャアガアギャアラギャアガアギャアギャアラギャアドラガアギャアドラギャアガアギャアガアギャアギャアギャアギャアガアギャアギャアドラギャアガアギャアガアギャア
「いや、魔法は使っていない。魔力も使っていないよ。まあ、とあるエネルギーを活用してはいるがねえ。それでも魔力も魔法も関係ないからノーマル種でも使える。君にも使えるよ。」
ギャガ?
「マジか?。」
俺は砕け散って粉々になった大岩を呆然を見つめる。
ギャドラ?ギャアガアギャアギャアギャアガア?
「どうだい?筋肉つける気になったかい?。」
変な筋肉質の黒丸サングラスの竜に俺は期待満ちた眼差しを向ける。
これならばもしかしたら上位種のエレメント種の炎竜と渡り合えるかもしれない。いやそれ以外にもロード種、エンペラー種、レア種の全ての上位種と渡り合えるかもしれない。
ギャアガアギャアギャアガア!
「ご指導宜しくお願いします!。」
俺は丁寧に敬意を込めてお辞儀する。
ギャドラギャガアギャアギャア!
「うむ、共に良い筋肉を付けよう!。」
そして俺はこの筋肉質な黒丸サングラスの変な竜に筋肉付けるではなく力を付けて貰うことになった。
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