第6話 騎竜レース

騎竜レースはただ他の騎竜乗りが乗る騎竜を追い越し。先にゴールに到達する単純なものではない。騎竜乗りが騎竜を操作し。そして騎竜はレースで他の騎竜の飛行、妨害することが可能なのだ。普通に引っ掻いたり。尻尾ではたきおとしたり。翼で進路を遮ったり。魔法やブレス、その他騎竜特有な能力を使い妨害することが可能だ。ただレースでの殺しあいの戦闘はご法度で。もし殺生並の戦闘行えば即失格。永遠のレース出場停止をくらう。騎竜が騎竜乗りに基本直接攻撃は行えないが。騎竜を巻き込んだ間接的な攻撃ならばオッケイである。逆に騎竜乗りが騎竜に攻撃することは可能でそれはあくまで牽制妨害程度である。騎竜に連続的な攻撃行えば過剰攻撃とみなされ反則となる


ひゅううう

広大なマンゴスチンがなる果樹園上空をつきすすむ。他の騎竜達は体当りしたり。引っ掻いたり。ブレスを放ったりして他の騎竜乗りと騎竜を蹴落としていた。俺とアイシャお嬢様も例外ではなく同じ飛行する騎竜や騎竜乗りに妨害を受けていた。


ひゅん ぶあああ ザッ

四方八方からくるブレスや体当り、引っ掛き攻撃を難なくかわす。アイシャお嬢様は騎竜乗りとしては才能溢れ。優れた腕を持つ騎竜乗りであった。俺のような普通のノーマル種よりは他の上位種であるエレメント種やロード種、エンペラー種に騎乗していれば直ぐに風格を現したかもしれない。レース十勝でさえも容易かったかもしれない。マーヴェラス家ではアイシャお嬢様は才能がマーヴェラス家歴代一とされるほど長けている。それは彼女がどんな騎竜でも乗りこなせるからである。パールお嬢様からロード種レイノリアを借りたときも難なく乗りこなしていた。ゆえにアイシャ・マーヴェラスの騎竜乗りの才は天才の領域に達している。

マンゴスチン杯には上位種の竜や貴族は出場していないのでレース中に魔法を放つものはいなかった。俺とアイシャお嬢様はまだレース中に他の貴族の騎竜乗りや上位種の竜と戦ったことはない。

だか才能溢れるアイシャお嬢様がいればレースに敗北することはないと俺は余裕でそう想っていた。この次のレースまでは····


俺と俺の背中に乗るアイシャお嬢様は他の騎竜の攻撃をかわしながら全速力で飛行する。戦闘時間にロスされないようになるべく騎竜同士の戦闘を避け。レースコースのゴール地点を目指す。広大なハンフィール果樹園のゴール地点はマンゴスチンの実がなる巨大な大樹である。


全方に巨大な大樹が姿を現す。

大樹の枝からマンゴスチンの果実がツリーの飾りのように垂れ下がり実っている。


「ライナ、もう直ぐゴールだよ!。」


ガア

今日のレースも順調に優勝できそうだな。

特に支障もなくゴール地点である巨大なマンゴスチンツリーのもとへとむかう。


ぐがアアアア!ギャアアアアあああ!

「そこまでだぜ!。貴族のノーマル種!。」


いきなり目の前にさっき話しかけたノーマル種ルイードが立ちはだかる。


「ご免なさいねえ。ルイードがやっぱり貴女達をぶちのめさないときがすまないようなの。」


ルイードに騎乗している皮鎧を着た騎竜乗りの女性はすまなそうに詫びる。


ギィガアギィガアシャアギャアアアアガアシャア

「お前達に恨みはないが。貴族であることを恨むんだな。」


グルルル

ルイードの竜瞳が瞳孔を開き獰猛な唸り声を上げる。

はあ~嫌なのに目をつけられたなあ~。

緑の竜の顔をしかめる。


ガアギャアアガアギャアア

「殺しの戦闘はご法度だぞ。」

ギィシャアギャガアギャシャアギャガアギャギャ

「安心しろ。ほんの痛め付けるだけだ。レースに出場できないくらいになあ。」


ルイードの牙のくちばしが卑しい笑みを浮かべる。


ガアギャギャガアギャシャアギャガアギャギャガアギャ

「これじゃあ。此方の方が何のメリットもない。無意味で無益な戦いだ。だから賭けをしようぜ。」

ガアギィ?

「賭けだと?」


ルイードの竜の眉間に紫波が寄り鋭い瞳で俺を睨む。

貴族だからといって難癖つけられて強制的に戦闘を行っても此方に何の利にもならない。戦闘しにきてるわけではなくレースしにきているのだ。

だから此方にも利になる為に賭けをする。特に俺の個人的な理由だが。


ギィシャアギャガアギャシャアギャガアギャ

「貴族様の騎竜が俺達庶民に何の要望だれ!?。」

ガアギャアガアギャギャ

「あんたの騎乗している騎竜乗り。」

ギィや~ギィシャアアアガアギャアア!!ギャガアギャシャアギャガアギィシャアギャ!?ギャシャアアア!!

「ああ!マーナに何させるつもりだっ!!。まさか貴族の慰めものにする気かっ!?。そんなこたあさせねえぞ!!。」


ルイードは激しく唸り威嚇する。

皮鎧の美人の騎竜乗りはマーナさんと言うらしい。


ギャガアギャギャラアガアギャラアラギャガアギャガアギャギャガアギャあラギャガアギャ

「いや、大したことじゃない。ただ俺の背中に抱きついて欲しいだけだ。身体全身を密着しながら抱きついて欲しい。ただそれだけだ。」

ギィあ~?ギィシャアギャガアギャ!

「はあ~?。何言ってんだ貴様(てめぁ)ー!。」


ルイードは目の前の貴族のノーマル種が意味不明なことを言い出したことに大いに困惑する。


ギャアラギャガアギャアアガアギャアアガアギャラアラギャガアギャアアガア!

「特に何もしない。ただ彼女に俺の背中におも一気し抱きついて貰いたいだけだ!。」

ギャアガアギィシャアギャ!ガアギャギャガアギャ!ガアシャアギャアアガアギャ!

「お前頭可笑しいんじゃねえ!。そんなことしてお前に!貴族に何のメリットがある!。」

ガアギャあラギャガアギャギャギャガアギャギャギャガアギャラアラギャ

「メリットはないよ。しいて言うならそこに二つの大いなる偉大な山があるからだ。」

ギィシャ!?

「山だと!?。」


ルイードは空中で竜のくちばしが半開きになり呆気にとられる。


ガアギャラアラギャガアギャアアガアギャギャガアギャギャガアギィガアギャギャギャラアラギャガア

「そう何者にも耐え難い。何者にも替えの効かない大いなる山だ。俺は全ての人間達の女性が持つ二つの大いなる偉大な山の為にここにいる。」


ライナは堂々と何の迷いもなく可笑しいことを言い放つ。


ギィ···ギガ····ギィシャアギャ!!

「お、お前は···お前はアホなのか!?。」

ギャアラギャガアギャシャアギャガアギィシャアギャガアギャギャラギャガアギャギャアガアギャギャ

「アホではない。俺は全ての騎竜乗りの大いなる二つの偉大な山の膨らみをこの背中に押し付けて貰いたい。····ただそれだけだ。」

ギィシャアギャ···」ガアギャラギャガアギャラギャガアギャラギャガアシャアガアギャラギャギィシャアギャシャアギャラギャ

「意味解らないが····。まあ、そんなことならマーナに頼んでやるよ。だがそんなことにはならないがなあ。何故なら俺がここでお前達をぶちのめすからだ!!。」


ギィシャアアア

ルイードは甲高い咆哮を放つ。


「ライナ、行くよ。」


アイシャも身を低くし俺の背中に密着し臨戦態勢にはいる。


ガアギャアアガアギャラア!

「賭けの約束は守って貰うぞ!。」


俺は緑の翼を広げ構える。


ギィシャ!ギャアアシャアギャハ!!

「はっ!出来るものならやってみろ!!。」


二匹のノーマル種はマンゴスチンツリーの大樹の前にぶつかる。


ドラゴンFight!! カン!

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