第5話 マンゴスチン杯

わいわい がやがや


俺とアイシャお嬢様はマンゴスチン杯のレース場に来ていた。

マンゴスチン杯は普通のレース会場ではなく。ハンフィール果樹園敷地がレース場とレースコースになっていた。ハンフィール果樹園にはマンゴスチンが樹林に沢山実っていた。マンゴスチンはジャングルとかの熱帯に実るのだが。この果樹園の持ち主であるハンフィール・ドン・マクライヤ男爵はだいのマンゴスチン好きで。本来は栽培することも難しいのだが。上手く魔法を使い果樹園を経営をしているそうだ。


『さあ、今日もやって参りました。マンゴスチン杯。私、実況のモロスと解説にはここのハンフィール果樹園の経営者でもあらせられる領主ハンフィール・ドン・マクライヤ男爵様に来て頂きました。宜しくお願い致します。ハンフィール・ドン・マクライヤ男爵様。』

『うむ、皆様も我が果樹園に来て頂き。誠にありがとうございます。我が開催するレースに一位をもぎとった方には賞金だけでなく。もれなく我が果樹園で栽培した高級マンゴスチン一年分を贈呈致します。』


わ~~! わ~~!

農園に用意された観客席にすわる観客(ギャラリー)から歓声をあがる。


「聞いた?ライナ、高級マンゴスチン一年分だって、高級フルーツ食べ放題だよ。食費も浮くし。」


ライナの緑色の竜顔が渋くなる。

いやいやいや、どうみてもマンゴスチンは一年持たないでしょ。劣化しやすいデリケートなフルーツと聞いているぞ。容易にマンゴスチン一年分手に入れた後の想像がつく。


「駄竜(だりゅう)、何呆けているのですか!。必ず一着とって一年分のマンゴスチンを手に入れてくるのです!。これは命令です!。」


隣でキリッとした眼鏡が光り。カーラさんが激しい口調で俺を鼓舞する。

最早俺のあだ名駄竜になってますよね?貴女。

微妙に竜顔をしかめる。

アイシャお嬢様だけでなく何故かメイドのリリシャさんとカーラさんも来ていた。邸の仕事をほっぽってというよりはお目当ての高級フルーツマンゴスチンを手に入れる為のようである。そんなに高級フルーツのマンゴスチンが食べたいんかい!。


「頑張って下さいお嬢様。ライナも優勝したら背中に抱きついてあげますからね。」


ボイン ボイン

リリシャも盛り上がる胸を弾ませ声援を送る。


よっしゃあああーー!テンション上がってきたあーー!。

俺は激しく尻尾を振り翼を広げ竜の両腕をぐるんぐると回しやる気をだす。


レースコースであるハンフィール果樹園のスタート位置へと向かう。そこにはマンゴスチン目当て?の騎竜乗りと騎竜達が集まっていた。


俺とアイシャお嬢様はスタートの定位置につく。スタートラインとかはなくある果樹園の一ヶ所をスタート位置に設けている。ハンフィール果樹園は広大であり。大事な果実園をまるごとレースコースにするのだからハンフィール・ドン・マクライヤ男爵は相当太っ腹である。


アイシャお嬢様はドラグネスグローブを嵌め俺の竜の背中に股がる。


むに♥️

アイシャお嬢様は背中に俺のドラグネスグローブの手を背中上部にあて身体を密着する。アイシャお嬢様の未成熟な胸の膨らみが竜の背中から伝わる。


アイシャお嬢様の胸はまだまだ発展途上国である。何度か股がり背中に密着することで少しずつ成長していることが解る。このままのペースなら相当な膨らみになるのではないかと俺は予想推測する。将来が楽しみである。


ぐろろぐろろギャあガアガギャぐろろ

(おめぇ、貴族様を騎乗しているんかい。)


隣に騎竜乗りを騎乗している騎竜が俺に吠える。


ガアギャ····

(そうだけと···)

ぐろろギャガガぐろろギャガガギャアラギャアガア

(ふん、気に入らねえなあ。お高く止まりやがって。)

ギャアガアガアギャアラギャアガアガアギャア

(言っとくけど。家(うち)は貧乏な没落貴族だぞ。)

ガア ギャアぐろろギャ!ガガぐろろギャガガロロぐろろギャガガ

「ふん、だからなんだ!。貴族あることじたい気にいらねえんだよ!。」


このノーマル種の騎竜は相当貴族に嫌悪感を抱いているようだな。


「止めなさいルイード。ここは正統なレース場よ。ご免なさいねえ。ルイードが貴女の騎竜に喧嘩を売ってるみたいで。」

「いいえ、気にしていません。」


ルイードの主人だろう騎乗する女性が謝罪する。女性は風の抵抗を防ぐ皮鎧を着ていてかなりの美人である。胸のサイズもD以上ありそうだ。


「ルイードはこの前貴族の上位種の竜に敗けて機嫌が悪いのよ。気を悪くしないでね。」

ぐろろギャガガロロぐろろギャガガ

「上位種の竜は魔法も使えて身体能力がうちらより高いからってお高く止まりやがって。今度は貴族がノーマル種の竜でレースに出場だあ?。俺への当て付けかあ!。」


ルイードというノーマル種は忌々しそうに唸り声を上げる。


ギャアガアガアギャアラギャアガアガアギャアラギャアガアガアギャア

「悪いけど家は貧乏だから上位種の竜は飼えんぞ。騎竜は俺だけだし。」

ギャ ギャガガぐろろギャガガギャアガアガアぐろろギャガガロロぐろろギャガガギャアガアガアギャアラギャアガアガアギャアラギャアガアガア

「けっ、そうかよ。だったら気を付けな!。上位種は俺等ノーマル種よりはるかに能力が上でけっして勝てないからよ。あいつらは本当に化け物だぜ!。」


ルイードというノーマル種は牙のついたくちばしを軋ませ吐き捨てるよう吠える。


女神アルピスが言っていたノーマル種と上位種の能力の差を思い出す。


ファンファンファーンファンファー

ファンファンファーンファンファー


開始のファンファーレが農園中に鳴り響く。


「ライナ、レースが始まるよ。飛び立つ準備をして。」


ガア

俺は身を低くして助走の準備をする。

他の騎竜乗りも身を低くし騎竜も屈み飛び立つ為の助走の準備をする。


『さあ、いよいよマンゴスチン杯が開始されようとしています。今宵の騎竜乗りと騎竜達はどんなレースを繰り広げるのでしょうか?。楽しみですね。ハンフィール男爵様』

『私も楽しみですよ。ああ、家で採れたマンゴスチン食べますう?。』

「ああ、どうも···」


実況モロスはハンフィール男爵にマンゴスチンをお裾分けされ。放送席で剥いてお互い揃ってマンゴスチンをほおばりはじめる。


実況解説中にマンゴスチン食べないでよ。ていうかどんだけマンゴスチン推しなんだよ。

ライナは心の中でそう突っ込む。


スターター役が台にたち。レーススタート合図の角笛を吹く。


ファーー!


バサッ

俺は竜の翼を広げ鉤爪の脚を蹴りあげる。

ダダダダダダダダ

前方を駆け出し竜の翼をばたつかせる。

全速力で走り助走をつけてジャンプし一気に翼を広げ農園上空へと舞い上がった。


バサアッ


他の騎竜乗りを騎乗した騎竜達も一斉にハンフィール農園上空へと羽ばたく。

ハンフィール農園上空は騎竜乗りが乗る騎竜達で埋め尽くされる。

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