第395話水着パーティー(いもうと編)




「うん、みんな可愛いねっ! 似合ってるよっ!」


 それぞれに、カラフルなに着替えたみんなを見て称賛の声を上げる。


「「「うう~~~~っ」」」


 そんなみんなはお互いを見やり、頬を赤く染め、体をモジモジと揺らしていた。

 きっと着慣れてなくて、恥ずかしいのだろう。



 そんな艶やかな、みんなの水着は――――



 第一のコース。


 最近、お肉が付き始めてちょっと悩んでいるユーア。

 

「ボ、ボク、こんなにお外でお腹出すの、初めて、かも……」


 胸に手を当て、ちょっと自信なさげなユーア。 

 そんな一番の妹の水着は、というと……


 ビキニ型で、胸の部分はピンクのリボンと花柄になっている。

 下は同じ色のフリルスカートになっていて、こっちも花柄になっている。


『うう、こ、これは…… ゴクリ』


 白い肌にピンクが映えて、肌の白さを更に引き出している。

 それに、紅潮して涙目なのもポイント高い。


 思わず抱きしめて、もっと赤くしたいと陵虐心が芽生えそうだ。

 まぁ、そんな事したら後が恐いからやらないけど。


「ユーアがロリ可愛くて、お姉ちゃん嬉しいよぉ~っ!」

「あ、ありがとうねっ! スミカお姉ちゃんっ! えへへ~」



 第二のコース。


 普段着のチョイスが謎過ぎる、106歳でも幼女なナジメ。


「ううむ、これはこれで中々着心地がいいのぉ。ちと、布地が足らないようじゃが」


 他のシスターズとは違い、水着の方に興味津々なナジメ。

 元々外でも着慣れているからか、その態度はいつもと変わらなかった。


 そんなナジメもユーアと一緒でビキニタイプだ。

 ただどちらかというと、体にぴったりとフィットしてる三角タイプ。


 胸の部分は△の形で、上下ともナジメの髪の色の青緑色のストライプ柄。


『うんっ! これもちょっと背伸びした感じでいいねっ!』


 無邪気なナジメの雰囲気と相まって、逆に大人な感じのギャップが素晴らしい。


「ナジメっ! 本当に100歳なの? 6歳ぐらいに見えて可愛いよぉっ!」

「ね、ねぇねっ!? それは褒めているのかわからないのじゃっ!」



 第三のコース。

 

 初対面で私にペッタンコとの妄言を吐いて、怒りを買った事があるラブナ。


「ま、まぁ、アタシは何着ても似合うから、み、水着でも気にならないわっ!」 


 独りだけ仁王立ちで胸を張り、何やら自信ありげなご様子。


 ただ、その言葉とは裏腹に、仁王立ちでありながら内股だ。

 何だかんだ言ってても恥ずかしいらしい。口元もヒクついてるし。


 そんなラブナの水着は片方の肩のみ露出した、ワンショルダーのビキニタイプ。

 上下とも白と赤のモザイク柄で、アダルトな感じのものだ。


『うん、大人と子供との間の、微妙な年齢だから、これはこれで…… うっ!』


 子供じゃないっ!? 大人……………… だとっ!?


 ラブナの胸部ランクを目の当たりにし絶句する。

 服の上から分析した以上に、たわわに実っていたその膨らみに。


「このペテン師っ! 嘘つきっ! でも似合ってるっ!」

「はぁっ!? 何が嘘つきなのよっ! スミ姉っ!」



 第四のコース。


 不在。 



「それじゃ、着替えも終わったし、魔法でスライダーも作ったから、みんなで遊んできなよ。日暮れにはまだ時間あるしね。私は見張りでもしてるからさ」


「「「えっ!?」」」


 それぞれの水着姿も堪能したので、みんなにはそう提案する。


 因みに、みんなの水着は私が用意し、

 それぞれに似合いそうなものを見繕って配ったものだ。

 

 アイテムボックスの肥やしになっていた、記念日系の衣装の。


 これは毎年、8月14日の『水着の日』限定で入手できる衣装で、

 装備の上からでも装着できる代物だ。


 要は、見た目だけを変更できるネタ装備と呼ばれるもの。


 なんだけど、みんなにはそんな事を伝えないで、透明壁スキルで作った更衣室で生着替えしてもらった。だって、服の上から水着なんてシラケちゃうからね。



「じゃ、私はキューちゃんと遊んでるから、何かあったら――――」


「あ、あのぉ~ お、お姉さま? 私たちには何もないのですか……」

「お、お姉ぇっ! 待ってくれよぉ~っ!」


「………………な、なに?」


 みんなを見送って、椅子に戻ろうとしたところで呼び止められる。

 その二人を見て、上擦った声で返してしまう。


 なにせそこには、水着選びに姉妹がいるからだ。



『くっ! なんでこんな事に……』


 露出を減らそうと選んだはずのスクール水着タイプが、逆に……


「あ、あの、お姉さま? これはもっと大きなものはないのでしょうか?……」

「うう、なんで、こんなにキツイんだ~っ!」


 そんな二人は肌を隠そうと、しきりに胸元やお尻部分の生地を引っ張っている。


 上を引っ張れば、お尻の一部が、下を引っ張れば、今度は胸元が露出する。

 そんな嬉し恥ずかしの無限ループを繰り返していた。



『これは、絶対におかしいってっ! だってこの衣装は、サイズ変更機能が付いてるんだよ? なんでナゴタとゴナタには調整しないのっ!? 壊れちゃったの?』


 艶めかしい、と言うか、エロいと言うか、色々と目のやり場に困る。


 華奢な体つきで低身長の割に、女性特有の部分だけが、発達している姉妹を見て。


『ううう、世の中不公平だよっ! 私だって、努力してるのに……』


 ラブナは脱いだら予想以上だし、

 姉妹は調整機能が限界突破して、今にもはち切れそうだし。


 一体、なにが違うと言うのだろう……



 ツンツン


「スミカお姉ちゃん?」

「ん? どうしたの、ユーア」


 脇腹をつつき、私を呼ぶユーア。


「あのね、ナゴタさんとゴナタさんも、スミカお姉ちゃんから褒めて欲しいみたいなんだよ? だからよく見てあげて下さいね?」


「え?」


 傷心気味な私に、更に傷口に塩を塗ってくる、我が愛しの妹。


『うう~~』



 第四のコース。


 またまたランクアップしそうな、双子姉妹のナゴタとゴナタ。


「うう、生地の面積は多いのですが、色々と見えそうで、不安です……」

「あ、ナゴ姉ちゃんっ! お尻半分見えてるぞっ!」


 そんな破廉恥な二人の水着は、さっき説明したスクール水着タイプ。

 ただ、ナジメの普段着の旧型タイプではなく、競泳水着に近い物だ。



「あ~、え~と……、う~ん……」


 並んだ姉妹のスク水姿を見て、正直、言葉が出て来ない。

 いや、正確には考えてはいるけど、それを言っていいのかわからない。



「もう、スミカお姉ちゃんっ! ナゴタとゴナタさん、待ってるよっ!」

「うぇっ!? わ、わかったから」


 言葉に詰まっていると、業を煮やしたユーアに怒られてしまう。


『うう~、ユーアが怖い、なら早く終わらせようっ!』


 だったら仕方ない。

 嘘偽りなく、思った事を二人には伝えよう。



「エ、エロスっ!」


 なので、素直な感想を一言だけで伝えた。


「え? 『えろす』ってなんでしょうか? お姉さま」

「どこかの国の言葉かい? スミ姉ぇ?」


 ただし、幸か不幸か、そんな二人には伝わらなかった。



「そ、それじゃ、私は戻るからみんなで楽しんできなよっ!」


 これ以上要求されても困るので、逃げるように椅子に座る。


 すると、


「ダメだよ、スミカお姉ちゃんも水着にならないと」

「え?」


「そうよっ! アタシはスミ姉のも見たい…… じゃなくてズルいのよっ!」

「ズルいって、何でっ!?」


「そ、そうですよ、わ、私もお姉さまの照れるお姿を拝見…… ではなくっ!」

「お姉ぇもみんなと遊ぼうよっ! 可愛い水着着てさっ!」

「拝見っ!? 私も遊ぶのっ!?」


「ねぇね、見張りはハラミがしてくれるのじゃっ! じゃから着替えるのじゃっ!」

『わうっ!』

「マジでっ!?」


 シスターズ全員に囲まれて、水着になれとせがまれてしまう。

 そしてグイグイと手や足やらを引っ張られる。



「ちょ、危ないからっ! もう、わかったからっ! なら、私は装備の形を変えてそれっぽくするから、それでいいよねっ!?」


 今にも簡易更衣室に、強制的に運ばれそうな、私。

 なので、妥協案として『変態』での形状変更での提案をする。



「それじゃ、ダメだよぉ、スミカお姉ちゃん。みんなで同じの着ようよぉ~」


 すると、それを聞いたユーアが縋るよう目で懇願してくる。

 ちょっとだけ涙目だ。


「わ、わかったから、ユーアも泣かないでっ! お姉ちゃん困っちゃうからっ!」


 そんなユーアを宥めながら、着替える事を了承する。


『うう~』


 だって、ユーアにあんな風にお願いされたら、断れないんだもん。

 お姉ちゃんは、妹の涙とお願いには弱いのだ。


「それじゃ、着替えてくるから、先に準備運動してて待っててよ」


「「「はいっ!!!」」」


 そう言い残し、簡易更衣室の中に入る。



「うう~、何となく予想はしてたけど、やっぱりこうなったかぁ。発案者が着替えないのはおかしいもんね。やっぱり……」


 独りぼやきながら、アイテムボックスの中身を確認する。


「あれ? 可愛いのはみんなに配ったので、最後だったのかぁ。他には何かあったかな? 早くしないとまたユーアに泣かれちゃいそうだし…… あ、あったっ! え? でもこれって――――」


 最後の1着を出して固まる。


 確かに水着の日限定の衣装なんだけど、これはさすがに……



((スミカお姉ちゃん~っ! みんな待ってるよぉ~っ! 早く~っ!))


 着替えるのに躊躇していると、外のユーアから催促される。


「くっ! ああ、もうっ! どうにでもなれっ!」


 バババッっと着替えて、簡易更衣室のスキルを解除して、みんなの前に姿を現す。


「「「………………」」」


 そんなみんなは私の姿を凝視しながら、口を開け硬直している。



『ううう~っ! 誰だこれを水着ってカテゴリーに振り分けた奴はっ! こんなの着たらただの変態じゃんっ! これ絶対に水着じゃないってっ!』


 みんなの痛い視線を浴びながら、知らない運営の誰かを呪った。


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