第195話寝起きのルーティンといざ決戦の地へ
※この物語は作者の創作の世界になります。
他の作品の設定や、現実の倫理観とは
異なる場合がありますので予めご了承ください。
「う~ん……………」
私は寝ぼけ眼のまま、ふらふらとお風呂場に向かう。
眠気覚ましには熱いお湯が一番だからね。
別にそんな事しなくても目は覚めるけど、もはやこれは日課みたいなもの。
だって誰にもあるでしょう? そういう無駄な事。
やらなくてもいいんだけど、やった方が良い事って。
その方が気持ちも、気分もいいなんて事。
人間なんてきっとそんなものだよ。
それに無駄を全部省いたら、色々とつまらなくなるからね。
食事にしても、買い物にしても、
遊ぶにしても、生活するにしても。
そんな話。
「あれ、先に誰か入ってる?」
フラフラと洗面所に着いた時に水の音が聞こえてきた。
それに曇りガラス越しに、影が動いてるのが見える。
きっとユーアかな?
「珍しいね、私より先に入るなんて」
そう思いながら全裸になりお風呂場の扉を開ける。
ガララ
と、そこには、
「………………」
「ちょとナジメちゃん動かないでよぉ!きちんと洗えないからぁっ!」
「うぬぁっ!め、目が痛いのじゃっ!!助けてくれなのじゃっ!」
「ユ、ユーアっ!これ止まらねぇっ!どうすんだよぉっ!!」
扉を開けたお風呂場の中では、ユーアとナジメとゴマチの幼女三人組が、わちゃわちゃと仲良く入っていた。どうやら可愛い先客がいたようだ。
『……ああ、そう言えばナジメもゴマチも泊まったんだよね』
まぁゴマチは元々泊めるつもりだったし、ナジメは後から泊まりたいって言ってたんだっけ?そんでナゴタたち姉妹とラブナは自分のレストエリアに帰って行ったんだよね?そう言えば。
グッスリと寝過ぎて、まだ頭が働いてなかったよ。
「おはよう。何か満員みたいだから私後から入るね」
私はユーアたちにそう声を掛け脱衣所に戻る。
無理すれば入れない事もないけど、先客の子供達に迷惑になりそうだし仕方ない。あ、ナジメは子供じゃなかったね、そう言えば。
「あ、スミカお姉ちゃんっ!ボクとゴマチちゃんはお風呂に浸かるからしゃわーは使えるよ?だからナジメちゃんを洗って上げて」
脱衣所に向いた直後、お風呂場のユーアから声が掛かる。
「う~ん?それじゃそうしようかな」
私はユーアとゴマチが浴槽に入るのを見てお風呂場に戻る。
これなら充分に広い。
まぁ、元々大人3人分のスペースがあるからね。
子供数人なら問題ない。
「ね、ねぇねっ!は、早く洗い流してくれなのじゃっ!目が痛いのじゃぁっ!」
「わかったから目を擦らないでナジメ」
目を抑えジタバタするナジメにシャワーを掛け、泡を流し落とす。
それにしても――
『……本当にナジメは幼女だね。これで100歳くらいでしょ?』
私はナジメの体を観察してみる。
「も、もう目を開けてもいいじゃろうか?ねぇね」
うん、ユーアと一緒で凹凸が殆ど無いね。
しかも手足も小さくて、短いし。
そしてくびれなんてものは存在しなかった。
「ストン」と至る所がストレートだった。
『あ、でもお腹が少しポッコリしてる。ふふ、小さかった頃の妹を思い出すね』
私は微笑み、シャワーをかけながら、張りのあるお腹を押してみる。
「んひゃっ!?ね、ねぇね何をやっておるのじゃ?」
『おおおっ!!』
なんか今にも破裂しそうな程の弾力だった。
そのついでに手の平でサワサワしてみる。
「っ!?ねぇね? うひゃひゃひゃひゃひゃっ!!」
『うん、思った通りにスベスベだね。ユーアと同じくらい。かな?』
色の白さはユーアが上。
ポッコリお腹の弾力はナジメが上。
肌のスベスベ感は――――引き分け。かな?
『まぁ、総合優勝はユーアで一人勝ちだけどねっ』
私はナジメの観察と感触を終えて、浴槽のユーアを見る。
「どうしたんですか?スミカお姉ちゃん」
そこには「うん?」と首を傾げるユーアと、
「ス、スミカ姉ちゃん、き、きれいだな……、長い黒髪も、彫像のような白い体も、細い腰も……、ブクブクブク――」
口までお湯に浸かって、何かを呟いているゴマチがいた。
「はぁはぁはぁっ、い、いったい何だったのじゃ?ねぇね……」
そして私の傍らには、涙目で息を荒げるナジメがいた。
※※※※
「それじゃみんな行こうか。案内よろしくねユーア」
私はラブナと一緒にハラミの背に乗るユーアに声を掛ける。
「はい、わかりましたスミカお姉ちゃん!」
そんな快活に返事するユーアとは対照的に、
「うう、何か緊張するわねっ」
「ラブナ、あなたが別に戦うわけではないでしょう?」
「そうだぞラブナっ!ワタシたちの事は心配するなっ!」
「そ、それもそうなんだけど、アタシ街の外にあまり出ないし、戦い見たのも数回だけだし、だから緊張するのは当たり前でしょっ!!」
とユーアの後ろのラブナは何故か顔が強張っていた。
そしてラブナの師匠の姉妹の二人に宥められていた。
「ラブナ、お主に危険な事は別に起きぬぞ?もし何かあったら、わしが颯爽と救い出してやるのじゃ。だから緊張はいらないのじゃ」
「いや、いやっ!そんなところにいるナジメに言われたって、ラブ姉ちゃんは安心なんかできないからっ!何だってそんなところにいるんだ!子供かっ!?」
最後は緊張するラブナに気を使うナジメと、それにツッコミを入れるゴマチ。
因みにゴマチの言うそんなところとは、ゴナタの肩の上だった。要は肩車だ。
そういうゴマチも、ユーアとラブナと一緒にハラミの背に乗ってるけど。
『ああ、ナジメは高い所が好きだって言ってたね。そう言えば。でも私と孤児院爆散した時は怖がってたような。あれは単純に高過ぎたのかな?』
何て考えながら、ゴマチも加えて賑やかなシスターズたちを眺める。
どうやらゴマチもみんなに打ち解けているようだ。
※※※
そんなこんなで、朝早くお風呂終えて軽く食事をし、ナゴタたちと合流し、
今はアマジの待つゴシキの森に向かう街の中を歩いている。
通りを歩いてると、色々な街の人たちに声を掛けられた。
朝の挨拶とか、何処に行くんだ?とかゴマチの事とか。
私たちはそんな街の人たちに当たり障りのないように返事をしながら、ワナイたちが守っている街門を抜け広い街道に出る。
ここからはユーアの案内でゴシキの森を目指す。
「みんな乗ったね?」
「はいお姉さまっ!」
「大丈夫だぞっ!お姉ぇ」
「ふむ、魔法で運ぶとは、……ねぇねはやはり凄いのじゃっ!」
「ユーアとハラミもお願いね」
「うん、ハラミあっちに行ってっ!」
『わうっ!』
姉妹たちを乗せた透明壁スキルの前を、ハラミに乗ったユーアが先頭に出る。
「それじゃ出発するよっ」
「「「「はいっ!!」」」
そうして私たちはここから東のゴシキ森に向かってスピードを上げるのだった。
私の誇りと妹たちを守る事。
そしてそこにある真実を知る為に。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます