第154話SSユーアの放送禁止用語?



 ※このお話は少々性的表現が含まれています。

  あまりお好きでない方はご遠慮ください。


 そしてこのお話はここではない、ある記念のお話です。




「よく来たね。三人とも」


「こんにちはお姉さまっ! 今日は私たちに何かご用がおありだとか」

「こんにちはっ! お姉ぇっ!お邪魔するよっ!」

「お邪魔するわねっ! ユーア聞いてよ昨日師匠ったらねっ!」


 レストエリアに尋ねてきたナゴタとゴナタと弟子のラブナを出迎える。



「どうしたのスミカお姉ちゃんっ? あ、ラブナちゃん! ちょっと待ってぇ!」


 何も聞いていないユーアは慌てて玄関口に姿を現すが、ラブナに手を引かれ部屋の中に引っ張り込まれていった。


 その手にはハラミ用のブラシを持っていた。

 どうやらブラッシングの最中だったようだ。



「まぁ適当に座ってよ。飲み物は何がいい?」

「あ、ボクも手伝いますっ! ラブナちゃんハラミをぶらっしんぐしてあげて」

「うん、わかったわよユーア、アタシに任せてっ!」


 そして私は三人に席を促して、キッチンに向かう。


「あ、私たちあまり甘くないものでお願いします」

「うん、ワタシもナゴ姉ちゃんと同じでお願いなっ!」

「アタシはユーアと同じ物でいいわよっ!」


「わかったよ。それじゃユーアも手伝ってね。後は適当に摘まめるもの出すから」

「はい、スミカお姉ちゃんっ!」



※※※※



「で、今日集まって貰った訳はちょっとした200の記念なんだよ。それでみんなに色々と質問していくから答えて欲しいんだよ。まぁ、あまり変なのは聞かないから構えなくていいよ」


 みんなが飲み物を一口入れてから、簡単に説明してそう切り出した。


「200の記念? ですか。スミカお姉ちゃん」

「それって凄いの?」

「ううん、私には良く分かりませんね?」

「ワタシもだけど、記念なんだから別に悪い事じゃないからいいと思うなっ!」


 そんな私の説明にちょっとだけ首を傾げ、困惑するみんな。



『まぁ、そりゃそうだろうね? 数字の意味は言ってないし。それに実際は私も凄いかは知らないんだけどね? でもいい事だと思うからさ』


 疑問符を浮かべるみんなを見てそう思った。



「それじゃ最初はお決まりの年齢からね。私は30歳。で、ユーアは」

「へ? スミカお姉ちゃんそんな年上なんですか?」


「あっ!?」


「確かスミ姉ぇは15歳って言ってなかった? 前に?」

「私もそう認識していましたが、本当にお姉さんだったんですか?」

「30歳?そうは見えないけどなぁ」


 4人の視線が私に集まる。


 そしてラブナの視線は胸部に向けられていた。

 また、あの事を言い出すつもりなのだろうか。ぺったん娘と。



「あ、ゴメンゴメンっ! ラブナの言う通り15歳だよ私は。なんか勘違いしちゃったよ。あまり気にしてないからさっ! あはは」 


『設定上だけどね……』


 とだけは言わない。



「そうですよね? スミカお姉ちゃんはそんな大人じゃないですよね?」

「はぁ、倍以上間違える勘違いって…… スミ姉ぇ大丈夫?」


「ぐっ」


 相変わらずラブナの突っ込みは鋭い。毎回心を抉られるようだ。


 それとユーアは何をもってそう思ってたの?大人じゃないって?



「私たちはお姉さまがいくつでもお姉さまなので気にしませんよ?」

「うん、うんっ!」


「なんか私のせいで話がズレちゃったけど、で、みんなは?」


「12歳で、冒険者になって半年くらいですっ!」

「ア、アタシは一応13歳だからっ! ユーアのお姉さんだからっ!」

「私たち姉妹は同い年なので、ゴナちゃんも16歳です」

「うん、そうだなっ!」


「で、ハラミは…………ああ、寝てるのね」


 ハラミはユーアにブラッシングを変わってそのまま寝てしまったようだ。


「そう言えばハラミってオスなのメスなの? 確認したことなかったけど」


 ふと気になって、ユーアとラブナの座椅子となっているハラミに視線を向ける。

 ハラミもシスターズの一員だけど、オスかメスかは気にしてなかった。



「えっ? ハラミは女の子ですよ?」


 ユーアが即座に私の疑問に答えてくれた。


「あ、そうか、ユーアはハラミの言葉が少しわかるんだよね?」


 そうそう。ユーアは正体不明な能力?でハラミと意思疎通できるんだった。

 ならユーアはわかっていても不思議はなかったって事だ。



「ううん、違うよ? ボクはハラミと初めて会った時から知ってたよ?」


 きょとんとした顔でそう答える。


「あれ、最近じゃなかったの? ハラミと話せるようになったのは」


「そうですけど、最初に会った時にハラミを見てみたんです。付いてるか付いていないか、それですぐにわかっちゃいますから」


「ユーア、それってもしかして……」


「うん、ハラミには付いてなかったよ? おちんち〇。だから女の子だよ?」


 当たり前のようにあっけらかんと言い放った。


「~~~~~~っ!!」


「ユ、ユーアいくら女の集まりだからって、そんなあからさまに言うことないじゃないっ! ア、アタシが恥ずかしくなっちゃうじゃないのっ!」


「ええっ、なんでっ! ラブナちゃんも孤児院の子のおちん〇ん洗って上げてたでしょう? ボクと一緒にっ!」


「そ、それとこれは話が別でしょうっ! 声に出すのと洗ってあげるのは全然違うわよっ! それに相手は子供だしっ!」


「ユ、ユーアちゃんっ! 年頃の女の子がそんなに、おちん―――― くっ言えませんっ! ゴナちゃんに任せたわっ!」


「へ? えええっ! ワ、ワタシかいっ!? ユ、ユーアちゃん、ワタシたちは女の子なんだ。あまり、そのぉ、おちんち―――― って、お姉ぇに任せたっ!!」


「はあぁぁっ!? わ、私ぃっ! ユ、ユーアあのね、ここではいいけどっ、てっ、それほど良くもないけど、外ではあまり言わないでねっ。特に変な大人の前では、お、お、ちん、――――」


「お、お姉さま頑張ってくださいっ! 後一息ですっ!!」

「お姉ぇ頑張れっ! ワタシたちが付いてるぞっ!」

「スミ姉ぇなら言えるわっ! アタシが保証するわっ!」


「ええっ!?」


『くっ、一体何これっ! なんで私はこんなに応援されてるのよぉ!』



 私はナゴタとゴナタとラブナの声援を一身に受けている。

 ここまで誰かに応援されたのは初めてだった。


 だったら私はバタフライシスターズのリーダーとしても、

 そしてユーアの姉として教育の為にも、私は――――


「うん? どうしたんですか? スミカお姉ちゃん。それにみんなもお顔赤くなってるよ?  ボクがお〇んちんのお話したから? おちんち〇の事言ったから?」


「~~~~っ!!」

「ちょ、ちょっとユーアっ!!」

「ユ、ユーアちゃんっ!」

「お、おちん――――ってダメだぁっ!!」


 またもやユーアは私たちの心中も分からずにそれを連呼する。

 それを聞いて、またもや悶絶するユーア以外の年頃の女の子たち。



『や、やっぱり私がきちんと教えないとユーアの身に危険がぁっ!』



「ユ、ユーア、あのね、おちん………ち……」

「うん、何ですか? スミカお姉ちゃん」


「行けえぇ――っ! スミ姉ぇっ!!」

「お姉さまっ――!!」

「お姉ぇっ――!!」


 未だに言いよどむ私に三人が勇気をくれる。

 背中を力強く押してくれる。


 よし、今の追い風ならっ!

 それにこの中では一番のお姉さんなんだから、


 だからきっと私は――― 言えるっ!!


「お、おちんち――」


 ガチャッ


「なんじゃ先ほどから、おちんちんと連呼しておって。一体何を話しておるのじゃ? 廊下まで聞こえておったぞ。それとユーア、あまり外では言う出ないぞ? 変な輩が勘違いするやもしれぬのでな」


「うん、わかりましたっ! ナジメちゃん。ボク気を付けるよっ!」


 突然乱入してきたシスターズで一番の年長者にハッキリと言われてしまった。

 さすがは100以上も生きているナジメ様だ。



「はぁ~~~~ なんかどっと疲れたよ。殆ど質問してないよ」


「ふうぅ~~~~もうユーアったらさっ! はぁ」

「…………ゴナちゃん大丈夫? 随分顔赤くしてたわよ?」

「う、うん、何とか落ち着いたから大丈夫。はぁ~~~~」


 ユーアとナジメを抜いた私たちはどっと疲れ果て、それぞれが、安堵の溜息を漏らすのであった。ナジメのお陰で助かった。



『まぁ、ナジメもその容姿で、外でそんなこと言ったら危ないんだけどね』


 スク水幼女を見ながらそう思った。

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