第54話SS蝶の少女は見た!ボクっ娘少女の悩み?


 前前々回に続いて、今度は澄香視点のSSになります。

 何気にこの前の続きになります。


 次回からは本編に戻ります。




「ねえ、スミカお姉ちゃん、ボクもしたいんですが、いいですか?」



 脱衣所で、いつもの様にユーアの服を、頭からスポッと脱がした後、ユーアは私にそう言ってきた。



「? したいって何を?」


 すっぽんぽんになったユーアを見ながら、そう聞き返す。


「えーとね、スミカお姉ちゃんがお風呂から上がった後、お布団でしている運動なんですけど」


「えっ!?」


 お風呂から上がって、私がやっている運動!?

 それって、もしかして――――



「ボク、最近、んです」


 そう言ってユーアは、腕を頭の上に上げ、鏡に自分を映し、クルっと回ったりして、しきりに鏡に反射する体を見ている。

 それはまるで、私が一人の時にやってる事と同じように……



「ねえ、いいでしょう? スミカお姉ちゃんのやってる運動しても」


「っ!!」


 間違いないっ! これって、

 私が毎日やってる『バス〇アップエクササイズ』だよねっ!


 

『ちょっと待ってっ! やっぱりユーアも気にしているって事!? 女の子になりつつあるって事! あのノーパン疑惑のあるユーアが!?』


 ユーアの体を見てみる。


『う~ん』


 以前よりも健康的に見えるし、背もなんとなく大きくなったような?

 気がしないでもない。


 だがしかし、私のアバターの体は、ユーアのように成長するかわからない。


 私の年齢は15歳設定だけど、体はある理由で小さい設定にしてある。

 当然、現実世界では持て余していた胸(自称)も、この世界では小さくなっている。


 それでも私は夢見て、希望を捨てずに日々頑張っているのだ。

 成長するユーアに抜かされないように。



 何度か、ユーアはエクササイズの真似をしていた。



 でも私はそれを止めてきた。

 だって、年下の小さい妹に抜かされたら、姉の威厳やら、私の優位性がなくなってしまう。



 だから今回も私は――――



「ユ、ユーアにはまだ早いってっ! もうちょっとたってからにしよ?」

 

 冷静に対処し、


「え――っ! だってスミカお姉ちゃんっ!!」


「わ、わがままばかり言ってないで、風邪ひくから早くお風呂に入りなさいっ!」


 そうお母さんのように言って、うまくごまかす。


「は~いっ!」



 ふぅ、危ない危ないっ!

 今回もなんとか切り抜けたようだ。




※※



 その次の日の朝。



 今日もユーアに起こしてもらって、私は目が覚めた。

 私は朝はあんまり強くない。っというか慣れてないだけなんだけど。


「んん、おはよう、ユーア。どうしたの?」


 そう挨拶をして、ユーアをみると、自分の着ているTシャツ風のパジャマの上半身をつまんで引っ張っていた。


「う――、スミカお姉ちゃん。ボクやっぱりしたいです」


 そう言うユーアは、今度は小さい手で胸のあたりをさわさわと触っている。


『ええっ!』


 し、したいって何を? も、もしかしてブラ〇ャーなの?

 胸のあたりを触って、気になるって事はやっぱりブラジ〇ーだよねっ!

 

 『バス〇アップエクササイズ』に続いて、早すぎない!?まだ昨夜の話だよ!

 そ、それに、私だってなのにっ…………


 も、もうダメかも―――― これ以上ごまかすのは。



 ユーアもやっぱり女の子なんだ。ボクって言ってるけど。


 姉の威厳なんて、つまんないこと気にしないで、年上として、女としてユーアを導いてやろう。


 そう私は覚悟を決める。

 ユーアを立派な女性にする為に。



「ユーア、わかったよ。ニスマジのところに買いに行こう。きっと、私とユーアに合うサイズもある筈だから」


 私は優しくそうユーアに伝える。



「え、なんで、ニスマジさんのところに行くんですか? サイズって?」

「だって、ニスマジのとこならありそうじゃない? 大丈夫。私がちゃんと選んであげるからね」


「選ぶって何をですか? スミカお姉ちゃん」

「へ?」


 あれ? なんか噛み合わないな話が。


「ね、ねえ、ユーア。ユーアはブラ〇ャーが欲しいのよね? 気になるから」

「ぶらじゃあってなんですか? 食べ物ですか?」

「え? 食べ物?」


 もしかして、この世界にはないの? 

 ブラ〇ャーって。



「ユ、ユーア、え~と、あれだよ『胸を隠す装備』!」


 何言ってんだ私っ!

 それもう下着じゃないじゃんっ!


「え、そんなのいらないです。どうせだったら少し大きいパジャマが欲しいです」

「な、なんで!?」


 意味がわからない!


「だって――――」


 そう言いながら、ユーアはまたパジャマをつまんで引っ張る。


「――ちょっと、きつくなった気がするんです」

「…………………え?」


 はぁ!?

 それって、ただ単に…………


「………………ユーア、ちょっと太ったもんね」


 そう、私と会う前のユーアは、かなり痩せすぎだったけど、最近は少し肌のツヤも出てきたし、体全体もふっくらしてきた。


 それでもまだ痩せている方だと思う。

 体の線は一直線だけど。


 きっと大好きなお肉とレーションを食べていた効果だろう。

 体型が変わってきたのは。



「ちょっと、スミカお姉ちゃん! ボク気にしてたから、スミカお姉ちゃんの運動したかったんだよっ! 鍛えて、少しでもお肉を…………」


「は?」


 えっ!? 別に私はダイエットの為じゃなかったよっ!


 痩せてどうするのこれ以上っよっ!!


 そんな勘違いをしているユーアに、


「大丈夫だよユーア。それはユーアがきちんと成長してるせいだから、当たり前なんだよ」


 だから、からね。と付け加える。


「そうなの? 良かったぁっ!」


 ユーアは、そんな私の言葉に安心したようだった。


『それにしても…………』


 ユーアは自分を女の子として、自覚しているのか、いないのか、

 私はそれを、喜んでいいのか、悪いのか。



 なんとも複雑すぎる心境になる澄香でした。





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