第21話とある日の戦場3




 ――とある日の戦場―― (3/3)



「なっ!? あれだけの攻撃を喰らって――」

「い、いいから撃てっ! じゃないと――」

「ああああああっ!――」

「ちょっ! 気を付けろっ! 避けられたら同士討ちに――」、

「い、一旦距離をとるんだっ! そうすれば――」



 驚愕する男たちの中心で舌なめずりをし、レベルアップしたスキルを試す。


「まずは、と。ちょうどいい具合に5人いるんだね。ならっ!」


 展開した5機の透明壁[□]スキルを、驚く男たちの、それぞれの足元から突き上げるように、両手を挙げて操作する。



 ドゴァ――ンッ!! ×5

 

「グッ!」

「ガッ!」

「ウグッ!」

「なっ!」

「アガッ!」


 男たちはそれぞれに苦悶の声を上げながら、その威力に20メートル程空中にカチ上げられる。


「おおっ! やっぱり使えるスキルの数が増えたのはいいねっ!」


 ダメージを受けながら空中に舞う男たちを見て感嘆の声を上げる。



「グウッ、たったこれしきの攻撃でッ――」

「う、撃てッ! 奴はまだ下だァッ!」

「は、はいッ!」

「ま、まだまだいけるぜッ!」

「ああッ!」



 男たちは空中に浮きながらも態勢を整えて眼下に銃口を向ける。 

 ハチの巣にせんと私に向けて、それぞれが攻撃を再開する。


 ――が、



「なっ! 消えただとっ!?」×5


 私はもうそこにはない。



 声を合わせて驚愕する5人の追撃の為、男たちと同じ空中に飛び上がっていたのだから。

私は透明壁[□]を足場にして更に上昇する。そして、


「最後だけは、なかなか良かったよ。それでも、まだまだだけどね」


 私は足場にしていた透明壁を解除して、今度は男たちの真上に、黒で視覚化[■]してたその巨大なサイズの25メートルの壁の塊を、


「そお――――れっ!!」


 男たち全員に向かって叩きつける。



 ドゴォ――――――ンッッッッ!!!!



 男たち5人は激しく錐もみしながら落下し、


「「うがっ!」」


 高速で地面に叩きつけられて大量の土煙が舞う。


「よっ!」


 男たちを確認して、足場にしていた透明スキルを一度解除し、今度は円錐[▲](先が鋭く尖ったもの)を5機を私の周りに展開する。


「これでお終りだよっ!」


 ヒュンッッ! ×5


 そのスキルで、立ち上がろうとしている5人を串刺しにする。


「ガッ!」

「ウッ!」

「アッ!」

「ゴッ!」

「グッ!」


 攻撃を受けた5人はそのまま透明になって蒸発したように消えていく。


 トンッ


 それを確認した後で、私は誰もいなくなった地面に着地する。

 念のために索敵するが、この辺りには反応がない。



「ふぅ~、さて、と。展開できる数もいいけど、形も変形できるようになったのはもっと良かったかも。でもまだまだ練習が必要かな? おっと近いね?」



 軽く息を吐き、次に比較的ここから近くの反応を見つける。


「ん? 今度は10人かぁ? どこに誘い出そうかな?」


 そう呟いて、その場所に向かって早速空を駆けていく。

 まだまだ経験値が足りないからだ。



「さあ、プレイヤーのみんな。スキル上げの経験値になってもらうよっ!」


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