第20話とある日の戦場2




 ――とある日の戦場―― (2/3) 




「はい、ご名答。よくできました。あと、そんな簡単に私に勝てると思わないで? あの程度の攻撃で、長年守ってきた最強の称号を奪える事なんてないから」


「なっ!?」

「あっ!」

「えっ!」

「はぁっ?」

「なんだとっ!」


「なかなか良かったけど、目視での確認だけじゃなくて、ちゃんと索敵モードで確認しないとダメだよ? さすがにこの透明化の鱗粉も、索敵には映っちゃうからね」



 驚愕の表情の5人に向かって人差し指を立てて、私はそう説明をした。


「さて……」


 それじゃ、スキルレベルが上がったばかりの、

 最新ゲーム内個人ランキング一位の賞品。


『M.Swallowtail butterfly(ゴスロリ風)』


 の試し斬りと行こうか。


 て言っても、斬れないんだけどね、この装備では。

 元々防具扱いだし。



「さて……」


 クルっと勢いよく回転して、透明化の鱗粉を解除する。



 私は、私を強襲してきたこの5人で、レベルの上がったスキルの試運転をしてみようと思った。


『うんっ! 楽しみだね、どのぐらい使いやすくなったのかっ』


 知らず知らず、口角が上がってニヤニヤとしてしまう。



 そんな私に対し、5人のプレイヤーは、


「ち、ちっくしょぉっ! ニヤけた顔で見下しやがってっ!」

「クッ!」

「こ、この人が、可愛い…………」

「ええいっ! もう一度だっ! もう一度囲んで逃げられないようにしてやるっ!」

「そ、そうだっ! もう一度だっ! さ、散開しろっ!」



 最後のプレイヤーの言葉で、5人は私を囲むように包囲する。



『う~ん…………』


 てか、それじゃ、私を的に外したら同士討ちにならない?


 なんだろう。

 興奮してそんな当たり前な事まで頭が回らないのかな?


 それとも、が、目の前にあるから抑えきれないのかな?


 まぁ、なんでもいいんだけどね。

 私にとっては、ただの練習台みたいなものだし。



「よ、よしっ、撃て――――っ!!」



 ダダダダ――ッ!!

 タタタタ――ッ!!

 ババババ――ッ!!

 ヒュ――ン、 ドゴォ――ンッ!!

 ドシュ――ンッ ドシュ――ンッ!!


 リーダーらしき者の号令で、全員が一斉に攻撃してくる。


「よっ」


 私はすぐさま、自分の周りに透明壁[□]を展開する。


 私一人に対して、過剰過ぎるその凶悪なほどの銃撃や砲弾の攻撃を、次々と透明壁スキルで防いでいく。


 すると、私を中心にして、辺りは大量の爆発の煙でモワモワと満たされる。

 その威力で、地面も大きく抉れ、近くの木々も吹き飛ばされ幹だけが残っていた。



 そして、その煙やらが舞って、視界が少し鮮明になった頃。



「や、やったかっ?」

「ほらみろっ! もう何も残ってないぞっ! あの攻撃をまともに喰らったんだっ!」

「ほ、本当だ、な、何もない、で、でも」

「………………? あそこの、アイツがいた付近の地面だけ――」

「あ、ああっ! そこの地面だけ全くの無傷だっ! 気を付けろ奴はまだっ!」



「気付くのが、遅すぎたね。って言うか、さっきも言ったと思うけど、索敵はきちんとしなさいよね。それだからいつまでたっても、底辺プレイヤーなんだよ」



 私は各々に、逡巡している5人の中心でスキル[□]を展開した。


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