世界最大の冒険者ギルド

 聖王都レーテルはユーグランド大陸の中央部に位置し、霊峰フランタールを中心とした豊かな自然と、大陸内で最長の河川・ラマナント川の恵みによって育まれてきた都市だ。


 王国の建国と共に生まれたレーテルは実に五百年以上の歴史があり、人口の増加と共に施設や住居、城壁などの増設と改築が繰り返されてきた。

 特に城壁は魔物からの襲撃に備え増設が進み、現在では宮殿からレーテルの周囲約60キロメートルをすっぽりと囲っている。


 レーテルの都市としての基盤は百年ほど前に完成しているが、古い考えにはとらわれず常に最良の形を模索し続けているのだ。


 その一方で、歴史や血筋を大切にする者も少なくない。

 レーテルも貴族街と平民街の二つに大分されており、さらに平民街は中央区、北区、南区、西区、東区の五つの地区に分けられている。


 地区ごとに様々な特色があるが、なかでも西区は『冒険者街』と呼ばれ独特の雰囲気を持っている。

 西区にはフランチェスタ冒険者ギルド・レーテル統括本部のギルドホールが置かれており、冒険者御用達の武具店や工房、飲食店などが多く見られる。


 ギルドホールの建材にはレーテルで一般的な、木材とレンガ、そして漆喰が主に使われているが、そのサイズは一般的ではない。

 普通の民家が百棟以上収まるほどの広大な敷地面積を持ち、なかなかお目にかかれない六階建ての構造で、地下二階までフロアが広がっている。


 ギルドホールは毎日休みなく、しかも昼夜問わず開かれていて、依頼の受付や斡旋・報告をするカウンター以外にも様々な施設が入っている。

 そのすべての設備が常に利用可能で、このギルドホールでは毎日二百人以上の職員が働いているのだ。


 レーテルの冒険者ギルド本部には、現在七千人以上の冒険者が登録をしている。これは国内外全ての冒険者ギルドを含めて圧倒的な数字であり、登録数二位のギルドに倍近い差をつけている。


 名実ともに、フランチェスタ冒険者ギルド・レーテル統括本部は、世界最大規模の冒険者ギルドなのである。

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